第8話 総括
私は土日は友達と会うと嘘をついて、水島さんには平日夜しか会わなくなった。週2回ほど夕飯をご馳走になっている。ありがたいけど、いつまでも甘えているわけにはいかない。水島さんは大人だ。私が週末誰に会っているかなんて野暮なことは聞いて来ない。まさか婚活してるとは思っていないだろう。
「今度、土日どっか行きませんか?」
「土日は習い事をしてて・・・すみません」
「そうですか」
水島さんはがっかりしたように言った。モテる女になったみたいに勘違いしそうだった。がっかりすることありませんよ。私は安い女ですから。もし、水商売や風俗をやっても指名をもらえないタイプだと思う。頑張って笑っても、客から好かれない。なぜ、水島さんは私にお金を出してくれるのか。私なんて全然価値がないのに。次第に、私でよかったらという気がしてくる。お酒を飲んで泥酔して、その間に・・・というなら何とかなるだろうか。
それにしても、私はセックスが好きじゃない。性欲がほとんどないのも、なかなか彼氏ができない理由なのではないかと思う。それこそ、誰でもいいというくらい肉食だったら、顔や職業で選んだりしないだろう。
私は水島さんとのデートと並行して、ずっと婚活をしていた。そんな生活がもう、半年も経っていた。その間、何人もの人と出会って、デートしてホテルにも行った。そのうち、ホテルに行った人は4人いたけど、リピートされたのは1人だけで、その人にも3回目ホテルに行った後に、Lineをブロックされて終わった。
今までの経験人数は10人になった。30歳の時が初めてで、相手は全員婚活で知り合った人だった。私もそろそろ水島さんとしてもいいかなと思っていた。ご飯を何度も奢ってもらったんだから、相手が誘って来たら応じてあげようと決めた。ずっと水島さんと飯友を続けて、誰も見つからなかったら、流れで結婚してもいい。顔がでかくて恥ずかしいけど、結婚したからと言って旦那ですって紹介する相手もいない。でも、結婚して、子供ができた時、旦那が不細工だと恥ずかしいだろう。仕事もフリーライターという不安定な職業。公務員や医者と結婚した同級生が羨ましかった。私も国立大学出身なのに・・・。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます