落丁1 龍神公ゼルカディア

龍闘は終わりを告げて、ゼルカディアからブレクへ称賛が送られてる。


ほうの武勇、見事であった。」


ブレクは片膝をついてこうべを垂れて、下賜された言葉を受け取ってる。

こういう堅苦しいの、私はあんまり慣れない。


「さりとて、それは龍闘この場での事。」


ブレクは疑問を抱きながら顔を上げた。

会場に集まった観客もどういうことだ、と互いに顔を見合わせてる。

そんな中、私は買ってきた串焼きにかじり付く。

正直言うと、龍闘さえ終わってしまえばゼルカディアの賛辞なんて興味ない。

この串焼き、本当に美味しいな、使ってる香辛料後で聞いておこう。


「其の方よりも強き者と闘ってみたいとは思わぬか?」


ブレクは驚きに目を見開いてると思う。

ああ、ダス将軍と闘うのか。多分まだダス将軍の方が強いだろうな。


「恐れながら。」

「申してみよ。」

「はっ、有難ありがたき幸せ。強者つわものという事は、

 ダスカロス様とお手合せ願えるという事でございましょうか。」


まあ、一応確認するよね。

ん?ダス将軍と目が合った。なんで笑ってんの?


いな。さにあらず。」

「では、スラノス様でございましょうか。」


ほほぅ。

普段こういう場で表立って戦わないスラノっちゃんなら面白くなりそう。

ん?スラノっちゃんと目が合った。なんで微笑みながら小さく手振ってんの?


「否。・・・私は世界最強になる、であったか?」


どこかで聞いた事のある言葉に右眉がピクリと動く。

ブレクや観客は訳が分からず困惑してるようだ。


「いつか我にも勝ってみせる、とも言うておったな。」


今度は左眉がピクリと反応する。

ゼルカディアが、すぅっ、と右手で何かを指さそうとしている。

これは良くない流れだ、前を向くのはよくない、目をらすべきだ。

目の前の串焼きに注力ちゅうりょくしよう。

いやぁ、串焼き美味しいなぁ。


―――視線を感じる。

一人二人じゃない、なんかすごい人数から見られてる気がする。

いや~な汗が出る、真正面からは猛烈なプレッシャーを感じる。

ずっとうつむいてるわけにもしかない、嫌だけど頭を上げよう。


うわぁ、会場の全員がこっち見てるぅ・・・。

周りの人も席を詰めて席二つ分位離れて私の事見てる、満席なのに器用だな。

真正面を見るとこちらを指しているゼルカディアと目が合った。


(何でこっち指さしてるのよ、嫌よ)

(逃げられると思うてか、観念せよ)


くそ、悔しい事に言いたいことが手に取るように分かる。

ここから逃げ出してもダス将軍とスラノっちゃんが追いかけてくるだろう。

普通の平地ならともかく、雪山で二人から逃げるのは結構大変だ。

・・・これは、観念するしかないか。

食事の載ったプレートは横に置いて立とう、すっごい嫌だけど。

前の長椅子を跨いで超えて闘技場へ飛び降りる。


「これより、龍闘優勝者ブレクと救世きゅうせいの英雄ハルカの試合を執り行う!」


ダス将軍が会場を揺らすような大声でそう言った。

いや何言ってんの、ちょっと待て、こら。

会場はかなりどよめいている。そりゃそうだ。

ブレクは驚いて立ち上がってこっち見てるし。

ゼルカディアはなんか薄く笑ってるし、くそったれな自己中心的の神様め。

こうなってしまったらもうどうしようもない。


試合開始のために所定の位置に立つ。

少し離れた所で同じように立つブレクが突然、ばっ、と頭を下げた。

そして勢いよく頭を上げた。


「かの名高き救世の英雄と闘えるとは望外ぼうがいの喜び!」


勢いがいいなぁ。

武人って暑苦しい人多いよね、別に嫌いじゃないけどさ。

さっきの決勝戦と同じように構えるかと思ったけど、なんか構えが違う。

両手を引いて腰の横に構えて手を開いて指先に力を込めて、

身体を少し低くし、背を猫背に・・・これは、二足龍と同じ姿勢か。

両腕の筋肉に力が入って血管が浮かんでる。

いやコレ、私を殺す気だよね、小間切こまぎれにするつもりだよね?

ちゃんと戦わないと大変な事になりそうだ。

仕方がない、やろう。


すぅっ、と息を吸い込んでゆっくり吐く。

足から頭へと順番に力を込めていき、全身の力が入ったら力を抜く。

両足は肩幅に、両腕は身体の横に、自然体で。

目は相手を見ながらも周囲を見渡せるように視野を広く。

心は冷たく、重心は低く、魔力ちからは全てを呑み込むように。

ただ、昔のように・・・。


両者の威気いきに飲まれ、会場が静かになる。

互いに睨み合いその時を待つ。


「始めッッッ!!」


ダス将軍の声が会場に響いた。

その瞬間、相手はこっちに突進してくる。

決勝戦や準決勝の動きよりもずっと速い。

瞬きをした一瞬で視界が相手の姿で埋まる。


まずは左の爪撃、これは半歩前へ出て右腕で前腕を止める。

次に下からまくる右の爪撃、これは左手で相手の右肩を押して当たらないように。


次は・・・右腕を振りぬいた勢いを使って体を回転させて左の飛び回し蹴りか。

地面に付くくらいに体をかがめてかわす。

左脚を回し切った状態で右脚振り上げ、かかと落としがくるな。

右手を地面に付いて、体を前方に移動させて、

自分の右脚を落ちてくる相手の踵に当てる。


反撃で相手は右脚を弾かれて、そのまま後方転回バック転して体勢の立て直し。

相手は回転して一瞬私が視野から消える。

足が地面に付いて、再び顔を上げた。

ここだ、今度はこちらの番だ。素早く距離を詰める。


腹に向かって右フック。流石に左腕で止められる。

だが、そうすると思っていた。右手にはそれほど力を込めていない。

そのまま衣服の右肩を掴む。

左手は素早く相手の胸倉むなぐらを掴み、左半身側面を相手に密着させ、

左脚で相手の脚を払う。

相手を担ぎ上げるようにして投げ飛ばす。

大きくを描く形で相手の体が宙を舞う。

相手の体が地面に付く直前で右手を離し、拳を握る。少々魔力を込める。

相手の体が地面に付いた瞬間に鳩尾みぞおち目掛けて拳をめり込ませる。


「ごっ・・・がはっ・・・・」


声にもならないくぐもった音を発して相手が地面に沈む。

相手の体の上から退くと、相手は気を失ってはいないものの、もう立てないようだ。

ふうっ、と息を吐く。


その様子を見て、やしろの中から声が発される。


「そこまで、勝負ありッッ!」


ダス将軍のよく通る声が響く。

少しおいて、観客席から歓声と拍手が沸き起こる。

決勝戦以上の大盛り上がりだ。

だがその歓声も少ししたら静かになった。

ゼルカディアが立ち上がったのだ。


「見事なり。その力、おとろえてはいないようだな。」

「無理やりやらせといて何を。」


冷たい目線をゼルカディアに向ける。

あ、この、鼻で笑いやがった。


「この場にある全ての者に命ず。この試合、他言無用。

 破らば神罰があるものと思え。」


あ、そこはちゃんと秘密にしてくれるのね。

なんだかなぁ。


「ハルカよ。こののち、我がやしろへ来るがよい。」

「ちなみに拒否する権利は?」

「あると思うておるのであれば、なれおろかであるな。」


深いため息がでる。神とそれに類する者、というのは大体こんなんだ。

他人ひとの都合なんて考えない。まあ、それが許されるからだから神様なわけだけども。

この場にいるよりは、まだその方が良いかもしれない。

他言は無用、とされているだけで、私に何か聞く事を禁止している訳じゃない。

放流されたら、もみくちゃにされるのは間違いない。

愚か、というのはそれも含めてだろう。

他人ひとの事考えないわりに、退路は着実にふさいでくるの、なんなんだ。


「はいはい、分かりましたよ。じゃあ、このままお伺いしましょうか。」

「それでよい。こやつを案内あないせよ。」


はいっ、と元気に返事をしたのは闘技場の入場口に控えていたプラータだ。

どよめく会場をそのままに、プラータに促されて闘技場から出た。

限られた者しか入れない会場の裏通路に入り、社へ続く道を行く。


「ハルカ様、流石さすがです!」

「おおぅ、どうどう。」


人気ひとけが無くなったあたりで、プラータは突然振り返り、

目をキラキラさせて、ずいっ、と顔を私に至近距離まで寄せて、

綺麗な尻尾をぶんぶん振って、称賛しょうさんの声を上げる。

いや、これ絶賛の声だな。


「あのブレク様をあんなに簡単に倒してしまうなんて!」

「いや、全然簡単じゃないよ?あとちょっとでやられるかも、だったよ?」

「いやいやご謙遜をー!」


満面の笑みで私の事を褒めそやすプラータ、正直照れるなぁ。

こののこういうところは昔から変わらない。純粋にカワイイ。

純真で、実力もあって、真面目で、可愛い。

そりゃ、人気になるのも当たり前だろう。

な~んで私みたいなのに懐いたのかな、今でも不思議だ。

世界中に散らばる写し絵の事は本人のためにも黙っておこう。


ワイワイと二人で騒ぎながら歩いて行くと、ちょうど会場の裏手に東屋あずまやがあった。

周りには腰高くらいの細い木のくいが円状に等間隔で設置されていて、

杭同士はつなで結ばれてる。

2つの杭を結ぶ綱の丁度中間部分には白い紙がわえ付けられてる。

東屋の地面には多重に四角形が描かれ、中心に文字に見える文様が描かれた魔法陣、

屋根の中心には大きな白い魔石が取り付けられてる。

二人でその中心に立つと、ぼわっ、と淡い光が魔法陣から出てきた。


一瞬、世界が白に染まったと思ったら、次の瞬間には別の場所にいた。

こういう転移ってどういう仕組みなのか、本当に分からない。


ここは神のやしき

町の裏手にそびえる高山こうざんいただきに存在する。

先程の龍闘会場とは比べ物にならないほど巨大な建物だ。

廊下は広く、天井は高い。

龍が通る事も可能なほどだ。

日の光が入ってきている訳ではないはずだけど、

邸の中は日の光が柔らかく照らしているように明るい。

邸はやはり木製、柱は朱色だ。

廊下の等間隔にこれまた巨大な朱塗しゅぬりの鳥居がある。

これをくぐっていく事で神の領域へと入っていく、という事なんだと思う。


進んでいくと一気に開けた空間に出た。

とんでもない広さだ。

人間だったら小さい国の全兵士が入りそうな広々とした空間。

真正面の最奥に長い長い階段があり、その上にゼルカディアは鎮座している。

左右の一段下にはダス将軍とスラノっちゃん。

階段の中頃なかごろには踊り場がある。

この踊り場も龍が1頭立てるほどの広さだ。

というか、広すぎて階段までが遠すぎる。あと階段長い!

ようやく踊り場にたどり着く。


「ふう、ここ、どうにかならないの?ここまで来るの面倒めんどいんだけど。」

「気安いな、なれは。」


本来はひざまずいてかしこまる場所だろうけど、そんなのは関係ない。

私は形式よりも実質を重視している。

というと聞こえがいいけど、その実は単純に面倒だからだ。

堅苦しいのは苦手。


「で?わざわざここへ来させるってことは何かあるんでしょ?」


プラータは私がつっけんどんな態度であわあわしている。

ダス将軍とスラノっちゃんは笑っている。


「ふむ、話が早いな。スラノス。」

「はい。」


スラノっちゃんが静々と私の方へ来て、一封いっぷうの封書を手渡してきた。


「私は手紙配達員ではないのだけれど?

 誰かに送るなら外を飛び回ってる龍とかに頼めばいいじゃん。」

「封書をよく見よ。」


そう言われて封書の表に書かれた文字を見る。


天宙てんちゅうの神よりはっし、黒淵こくえんの神へ至る―


ああ、そういう事か。

この世界には多くの神がいるが、ほとんどの神は人の目には見えない領域にいる。

その内で現世げんせとどまっている神はたった3人だ。

天宙はゼルカディアの事。ゼルカディアは大空と星の神。

黒淵はクロちゃんの事。クロちゃんは死と闇の神だ。

ほぼ対極の立場にある。

だから龍はクロちゃんに近寄れない。

誰かに任せないといけないけれど、神から神への書状をそこらの人に頼めない。

だから私か・・・。


「なるほどね。で、依頼する以上報酬はくれるのよね?」

「無論だ。我の妻として迎え入れよう。」

「ふざけんな、この神様。」


毎度毎度、この神様はこれを言う。


「何が不服であるのか。不死たる神と同等の存在に至れるのだ。

 定命じょうみょうの者にとっては至高の褒美であろう。」

「私は自分の人生を自分で決める。神様だろうと私に干渉はさせない。

 あの時に宣言したはずだけど?」

「惜しいものだな。

 なれならば人の身で我が子を成すことも可能であろうに。」

悪寒おかんがするからそういうのやめて。」


両手で体を抱くジェスチャーで答える。


「まあよい。報酬に関してはスラノスに任せる。良きように計らえ。」

かしこまりました。」


うやうやしくスラノっちゃんは礼をする。


「して、なれがただ観光に来たわけではあるまい。何用であるか。」

「まあ、観光も目的なんだけどね。正直これで目的一つ済んだんだけど。」


受け取った封書をひらひらさせる。


他神たしんへの引接いんせつが目的か。

 なれば、金糸きんしの神への書状も与えよう。」

「話が早くて助かるわ。」


神への謁見は結構、面倒めんど臭い。

一番失礼が無いのは他の神様からの紹介状をもらう形。

でもこれは本来は困難。普通、複数の神様に会う事なんてまず無い事だし。

一般的には貢物みつぎものだったり祈りだったりするわけで。

それでも神様は気まぐれだから只の人に謁見を認める事なんてまずあり得ない。

神様は人にそんなに関心が無いのだ。

たまに恩寵を与えるけど単なる気まぐれが多い。

神様は本来、自然とか災害に近い存在だ。


「しかし何故、書状を求める。

 なれならば二神にしんこばまれる事は無かろう。」

「そこはそれ。私はちゃんと礼儀をわきまえる人間なの。」

「どの口が言うか。」


ダス将軍はがはは、と笑い、スラノっちゃんは口元を着物の袖で隠して笑ってる。

あ、スラノっちゃんこれツボに入ってるな、ちょっと笑い過ぎて顔赤くなってる。

横にいるプラータもちょっと笑ってる。

私はそこまで無礼な人間だと思われているのか、心外だ。


戯言ざれごとは聞き流すが。」

「おい。」

「帰りはプラータを付ける。龍に化身けしんして背に乗せ、国外まで案内あないせよ。」

「はいっ、畏まりました!」

「あら、国外追放って事かしら?」


悪戯っぽくうそぶく。

ぶふっ、と噴き出してスラノっちゃんが笑い出す。ああ、もうあれはだめだ。


もう一人の神への紹介状を作った事で謁見は終わり、

ゼルカディアは転移魔法によって、ふっ、と姿を消す。

転移魔法って高度なんだけど、神様ってポンポン使うんだよね。

そういうところは流石って言うべきなんだろう。

このまま帰るのも何なので、ダス将軍とスラノっちゃんとちょっと話していこう。


「しかし、やはりハルカ殿の戦い方は面白いですな。

 どこの流派の型でもない。」

「まあそりゃ、武術とか学んだことろくに無いからね。」

「それで強いという事は独自の鍛錬の賜物たまものでしょうな。」


ダス将軍は腕を組み、うんうんと頷く。

まあ、鍛錬した事は間違いないか。


「それでいて、国一くにいちの武人よりも強いのがおかしいのですよ。」

「そうは言ってもねぇ。

 だからと言って手を抜くわけにもいかないでしょ、バレるし。」

「それもそうですが。

 しかし、会うのは久しぶりですが雰囲気が随分と変わりましたね。」


スラノっちゃんは柔らかな笑みを浮かべながら目を細める。


「そうでしょうか。私は以前お会いした時と変わっていないように思うのですが。」

「だよね~。流石プラータはよく分かってる。」


素直な意見に頭をでて返してあげる。

プラータは、えへへ、と喜んでいる。


「あなたはハルカの戦場での姿を見ていないからそう言えるのですよ。」

「うむ。かつては我らですら冷や汗が出るような、鬼神の如き姿であったからな。」

「女子を捕まえて、鬼神は無いでしょ。」

「で、ですが、ハルカ様はお綺麗でお優しいです!」


プラータの必死の援護が涙ぐましい。

虐める二人に対して、本当に良い娘だ・・・。

抱きしめてわしゃわしゃと頭を撫でてやる。

今度は少し困惑の表情。ちょっとやり過ぎたか。


「こほん。では依頼の報酬は前払いします。こちらを。」


スラノっちゃんから袋を受け取る。

この町でしか作られていない黄色に赤の刺繍ししゅう巾着きんちゃくだ。

中には金貨が5枚と魔石が一つ。


「この魔石。結構いいものじゃない?純度高そう。」

「ええ、最上級の品質です。」


スラノっちゃんはさも当然のように言う。

いや、最上級品質の魔石なんて、場所によっては小っちゃい領地貰える位の代物。

そんなもの、ポンとくれるとは。


「こんなのただのお使いの報酬で貰っちゃっていいの?

 使い道いっぱいあるでしょ。」

「よいよい。というのもつい先日、良い鉱脈を見つけてな。

 正直に申すと少々魔石が余っておるのだ。

 このまま倉庫に腐らせておくのももったいない話だ。

 ハルカ殿ならば良い使い方をしてくれるだろうと思ってな。」


ダス将軍はそう言って肩をバンバン叩いてくる。痛い。


「そ、そう。じゃあ遠慮なくもらっておくわ。

 でももしかしたら届けないかもしれないわよ?」

「それは無いでありましょうな」「それは無いでしょう」


ダス将軍とスラノっちゃんは同時に声を発する。気が合うな。

どんだけ信用されてんの、私。


「ん~、あと、もしかしたら結構時間かかるかもよ?

 ここ出た後もあっちこっち行く予定だし。」

「神にとっては1年や2年、そう大した問題ではありませんよ。」

「神様の時間感覚はいい加減だなぁ。」


神様はほぼ不老不死、人間なんかとはやっぱり全然感覚が違う。

まあ、そう言う事ならのんびり行けばいいか。


「さてと。じゃあそろそろ行く事にするわ。」

「そうですか。また顔を見せに来てくださいね。」

「今度は兵たちに教練をしてくれると嬉しいがな。」

「ごめん、それは無理。」


4人で笑い合う。昔馴染みって言うのは、やっぱりいいもんだ。

ダス将軍とスラノっちゃんと別れて、プラータと来た道を戻る。


「それにしても、プラータってかわいいよね。」

「な、何ですか、いきなり。」


いきなり変な事を言われてプラータはぎくしゃくと返答。

こういう、あしらいが慣れていない所がまた可愛いんだ。


「いや、あなた目当てにやってくる人がいるのも納得だなー、って思ってさ。」

「ううう・・・。」

「これは、変な男の所にはお嫁にはやれないね、私が許さん!」

「そう言ってもらえるのは嬉しいですけど、なんか変な感じです・・・。」


何処から目線だー、とか言わないのが真面目だよね。


「さてと、じゃあ町に戻りますかー。」


再び2人で魔法陣に立つ。

翌朝に町を出る事を伝えて、惜しむ素振そぶりでプラータと別れた。


さてと、これでこの町での用も済んだ。

―――次は何処に行こうかな。

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