第一ルポ 港町ソレイスタ

潮風しおかぜが海の香りを運んでくる。

町を出入りする隊商キャラバンは、荷物を満載にしている。


西大陸の人間の国、レント王国の東にその港町はある。

レント王国は、東と南を海に、西と北を山に、それぞれ囲まれた国だ。

国土の形から古い時代より「つちの国」とも呼ばれる。

頭を南東に向けたの短い戦槌ウォーハンマーの形の国土には、

肥沃ひよくな平地の南東部と峻険しゅんけんな山岳地帯の北西部が存在しており、

王国首都オルベールは柄と槌の付け根に位置している。


この港町はソレイスタ。

ここから王国の別の港へ物資や人を運んだり、

海を隔てた向こう側の獣人の国、カレザント国との輸出入の拠点となってる。

そのため、この港は王国東部において、一段と活気のある町なのである。


町を囲う防壁ぼうへきは、かつての王国戦乱期を生き残るために作られたものだ。

今なお現役であり、大門だいもんでは隊商や旅人に衛兵が目を光らせている。

大門で2人組の衛兵に声をかけ、笑顔で王都で貰った通行証を見せる。

皮製の手帳に差し入れた白金プラチナ製の名刺サイズの通行証である。

手帳はそこそこの厚みがある通行証を複数入れる事が出来るようになっている。

私はこの手帳を複数持っている。それだけあっちこっち行っているという事だ。

普通の旅人は木製の通行証が普通であり、金属製その中でも白金プラチナ製など、

普段差し出される事などそうそうない通行証である。

驚いた衛兵のうち1人が慌てて衛兵長を呼びにいく。

残った衛兵と少しばかり雑談をする。


「この町でオススメの食べ物は何です?」

「え、ああ。ここに来たなら白身揚げフィッシュフライを食べないと。

 卵ソースをたっぷりとつけて、手掴みでかぶりつくのが最高に旨い!」

「ほほう。」


にやりと口角を上げる。

ちゃんとした揚げ物は中々食べられない。王国では油が高価なのだ。

代わりに小麦が良く育つので、パンやパイや麺なんかは種類豊富である。

だから揚げ物が名物になる、という事はほとんどない事だ。

油菜アブラナ栽培と菜種なたね油の生産が盛んなカレザント国との玄関口であるが故、だろう。

その土地の美味しい物は旅の醍醐味だいごみだろう。

衛兵からオススメの店の場所を聞き出した頃合ころあいで、

先ほど駆けて行った衛兵が衛兵長と思しき人物を連れて戻ってきた。

挨拶を交わし、再び通行証を見せる。

衛兵長はそれを確認し、うやうやしく入口に案内してくれた。


町中は活気に満ちていた。

大門から港まで続く大通りには左右に食料品や輸入品を取り扱う商店が立ち並び、

広場には簡素な露店が沢山出店していた。月に1回、3日間開催されるの露店市だ。

今日はその1日目。このために今日、この場所を訪れたのだ。

露店は等間隔とうかんかくに設置されており、勝手に露天商を始める者もいない。

これは衛兵たちによる統制がちゃんと効いている証拠だろう。

町中を巡回する衛兵も多い。治安の面で心配は全く無い。

露店市は許可制で、許可証が無ければこの場所で商売は出来ない。

許可申請を行うと後日、出店許可日が記載された許可証が送られてくるのだ。

だが、それ故に競争倍率が高く、このチャンスを掴むのも一苦労、だそうだ。

だからこそ露店の店主達は行きう人を呼び込む為に威勢よく声を飛ばす。

だが、私は旅の身。

嵩張かさばる物は要らないし、食品については店で食べればいいだけだ。

呼び込みをかわしながら露店の間をふらついていると一つの店に目が付いた。


鮮やかな売り物を扱う露店が並ぶ中、その露店は逆の意味で目立っていた。

扱う商品は木製の器や工芸品、色味がほとんどない。

それ故に、足を止める人はほとんどいない。

店番は若い、と言うか幼い少女だ。

道行く人に声をかけようとしているが、声をかけるタイミングを掴めずにいる。

どうやら、こうした市での商いは不慣れなようだ。

上手くいかず、ついにはうつむいてしまった。

店に近づいて、店番の少女に声をかける。


「こんにちは。」

「えっ」


パッと少女が顔を上げる。目の前にいつの間にかお客さんがいる。


「あ、い、いらっしゃいませ!」


一拍いっぱく遅れて少女は声をあげた。


「このお店では何を売ってるの?」

「あ、私の村、コルネって言うんですが、そこで作った工芸品とかを売っています。

 村はここから荷馬車にばしゃで2日位行った山のふもとにあって・・・」

「ふぅん。」


店の商品を一瞥いちべつする。

木製の器、コップやフォークに、細かい加工がされた浮きり細工だ。

ちょっと見るだけで、製品の品質が良い事が分かる。

この町で露店を開くだけはあるという事だろう。


「売れ行きはどう?」

「あ・・・」


少女はしゅんとしてしまう。


「その、全然売れてない、です。

 本当はお父さんとお母さんが市に来る予定だったんですが病気で寝込んで。

 ここの市の許可証なんてそうそう取れるものじゃないから、

 私が代わりに来たんですが、その・・・」


そう言って少女は目に涙を浮かべる。


「そっか。んー、じゃあ、ここにある物を全部1つずつ売ってもらえる?」

「えっ!」


少女の顔がパッと晴れる。


「た・だ・し、条件がある。」


ぴっ、と人差し指を立てて少女の前に突き出す。


「条件、ですか・・・?」


一旦晴れた少女の表情に影が差す。


「一気に買うから割引して?」

「わ、割引ですか!?」

「そ。2割引きなら1種類1つずつ買うわ。ダメなら買わない。」

「に、にわり・・・」


ここまでの旅費や加工の手間賃を考えれば、2割引きはかなり厳しいだろう。

おそらく利益は雀の涙、無いにも等しいレベルだろう。

商売をする側からすると普通は絶対に飲めない条件だ。

だが・・・


「ううぅ・・・」


今のこの少女の状況では断るのも決断しにくい。

今後売れなければ、雀の涙程度の利益すらも見込めない。


「わ、分かりました、2割引きで・・・。」


逡巡しゅんじゅんの結果、割引を苦渋くじゅうの表情で飲んだ。


「ふふっ、ありがと!」


それに対して私は満面の笑みで答える。

道行く人や隣の店の店主からは、幼い少女をいじめる悪魔に見えている事だろう。

私は正義やらの信念に従うのは昔で辞めたのだ。

自分勝手に生きると決めたのだ。自分本位の自分のための旅だ。

ルポライターの仕事も自分のためだ。

路銀は節約するに限る。必要な物しか買わないようにしている。

少女に代金を払い、商品を受け取る。


「ありがとうございました・・・。」


物は売れたが、少女の顔は暗い。

それに対して私の表情は晴れやかだ。いい買い物ができた。

その足で露店から離れて目的の店へと向かう。

衛兵から聞き出した白身揚げフィッシュフライの店だ。


露店が開いていた大通りから南方向 ―大門から見て右手― の道。

その1つ裏手の道にそのお店は有った。

あらしなぎさてい―――

店の入り口上に通りに突き出す形で設置された金属の棒に下げられた木製の看板には

風と海岸のレリーフがられている。

ガチャリと音を鳴らして勢いよく扉を開いた。


―――3日後、露天市の最終日。

すでに日はかたむき、今日の市の終了が近い。

日が沈み、衛兵長が壇上だんじょうから終了の喇叭ラッパを吹くことで、この市は終了となる。

終了後は、大規模な慰労会いろうかいをするのがならわしだ。

この夜ばかりは高価な魔石を使用した魔石灯ませきとうともされる。

町の住人や観光客もこれに参加して大騒ぎになるのが通例である。

こっちが目当てで町へとやってくる者も実は多いのだ。

既に片づけに入っている者や隣の店主と慰労会について話している者もいる。


そんな慌ただしい中、少女はほうけていた。

ここ3日で起きた事が信じられなかったからだ。


1日目、朝から店を開いていたが、昼過ぎまで誰も足を止めてくれなかった。

昼が過ぎて少しした頃だろうか、一人の女の人が声をかけてくれた。

とてもきれいな人で優しく声をかけてくれた。女神様に見えた。

でも、悪魔のような人だった。

わざわざこっちの事情を聴いた上で、断れないと踏んで条件を出してきた。

一式買うから割引を、と言われたときはものすごく悩んで、でも首を縦に振った。

お父さんたちが作った物をとても安く売らなきゃいけなくって、とても辛かった。

でも、夕方、ある店の店員さんがやってきて、食器類をいっぱい買ってくれた。

物凄く嬉しかった。でも何で突然に?そう思って聞いてみた。

いわく、店主から誰かに買われる前に買ってこいとかされた、のだと。


2日目、昨日みたいに一杯買ってくれる人がいるといいな、と思って店を開けた。

少ししてから、何だか身なりのいい女性がやってきて、

店頭に並べた浮きり細工を全部買って行った。

気になって聞いてみたら、これから異国に商売に行くので仕入れに来た、そうだ。

私のお父さんお母さんが作った物が別の国の人の手に渡るんだと思うと、

何だかとても嬉しかった。


3日目、昨日で店頭に並べていた商品が少なくなったので、知り合いの商人さんに

借りた倉庫から残りの在庫をありったけ店頭に並べた。

売り切らないと、全部持って帰るか、この町で二束三文にそくさんもんで投げ売りするしかない。

ぱんっ、と両手でほほを叩いて気合を入れて店を開ける。

びっくりすることが起きた。朝からお客さんが途切れない。

今日はいろんな人が来た。

飲食店の店主さん、同じ露店市で店を出している商人さん、

これから船に乗る船員さん、この町に住んでるおばさん、

遠くから来た旅の人、この町のお屋敷で働いているメイドさんと執事さん。

メイドさんや執事さんなんて初めて見た。

聞いてみたら口々に、ここの商品がとても良いと聞いてきた、らしい。

時間も人手もお金も無かったから宣伝なんてしてないのに、なんで?

最後に来た執事さん達に恐る恐る聞いてみた。

そしたら、ここの商品の良さを町中で喧伝けんでんして回っている人がいる、らしい。


いわく、長い髪を首の後ろで縛った眉目秀麗びもくしゅうれいな明るい印象の女性で、

人を引き込むような話術の持ち主で、

身振り手振りをまじえた人の眼を引き付けるような宣伝が巧妙こうみょうで、

なによりも、商品の良さを流麗りゅうれいに記載した文書を手渡ししていた、との事。

文書を見せてもらった。

魅力的に商品をたたえて、それでいて華美かびになり過ぎず、

商品を手に入れた経緯けいいが少しばかり大げさに書かれていて。

自分の商品の事を書かれているのに文字に飲み込まれるように読んでしまった。


そうして、今回持ってきた商品は完売御礼かんばいおんれい

露店はすっからかん、代わりに手元の麻袋あさぶくろはパンパンだ。

ここまで売れるとは思わなかった。

はっ、とほうけていた表情に正気が戻った。

この宣伝をしてくれた人にお礼をしないといけない。

少女は店を片付けてその人物を探し始めた。


―――がぶりっ

この町の白身揚げフィッシュフライはとても美味しい。

卵ソースもばっちり合うし、何より魚自体が旨い。

ここ2日はお店を巡って食べていたが、今夜は屋台で食べる事にした。

店ごとに個性が出ていて、ある店では衣がザックザク、ある店では隠し味に香辛料、

またある店では使っている魚が違うのか、旨味がじゅわっと口に広がる。

明日にはこの町を出る、この白身揚げフィッシュフライともお別れだ。

後悔しないように目に付いた店の商品を買っては食べる。

広場から港側に少し歩いた所にある噴水広場で噴水のへりに腰掛け一息付く。


ここ良い町だ。

人は優しく、食べ物が美味しく、町は清潔で、そして活気がある。

国外との物流の中継地点であるから文化が混じり新しい物が産まれる。

そして―――

魔法の本の傍らにひもで取り付けた小さな木製の細工を見る。

レント王国で幸運の象徴とされる神馬しんばをモチーフとした細工で、

胴体の上部分に紐を通す穴がある。

素朴ではあるが丁寧な仕事が伺える、きれいな細工だ。

―――こうした旅の記念が手に入る。


これを買った店の少女には少しばかり悪い事をした。

市での商売を考えれば、あのままだと最終日に安値で買い叩かれていただろう。

だから少しばかり意地悪した。

商売には時には思い切りが重要だ、と昔の知り合いに教えられた。

それが商機しょうきつかむ、という事なんだそうだ。


もし、2割引きで納得しないのなら、ただ買わないだけ。

もし、商機を掴むようなら、ちょっとだけ手を貸してあげよう、そう思いついた。

結果、あの子は商機を掴んだ。


割引されて良い思いをしたからいろんな人に教えてあげた。

言葉だけじゃ伝わらないから、大げさに身振り手振りで伝えた。

毎回それをするのが面倒だから文章にした。

でも文書を刷りすぎたのでいろんな人に手渡した。

ただそれだけだ。

同じような商品を扱う商人にとってはたまったものじゃないだろう。

いきどおる者もいるかもしれない。

だが私はそんなことは気にしない。

この旅の行先も、ルポライターとして書き記す文章も、全ては私の自由だからだ。

関わった人以外に配慮する気持ちなどありはしないのだ。

私は自己中心的な人間なのだ。昔の知り合いに話したら笑われるだろうか。

さて、一息つくこともできたし、そろそろ宿に戻ろうか。


少女は走っていた。

あの人は何処にいるのか。

この町の露店市の時期に来て、今夜の慰労会いろうかいに参加しない者は少ない。

2日目以降は船は出航しなかったし、まだ町にいるはずだ。

陸路で外に出てしまった可能性もあるが、そんな事は考えたくない。

走る。

走る。

周囲をきょろきょろと見回しながら、人の波をかき分けて。

つまづいて転んでもすぐに立ち上がって。

露店から漂う良い匂いも振り払って。

息が切れ、足が棒のようになった頃、噴水広場にたどり着いて息をんだ。


魔石灯の光が色とりどりに夜の町を照らす。

噴水に乱反射らんはんしゃした光がその人を照らす。

手元の本を見つめるその優しい表情が、まるで物語の中の妖精か女神の様だった。

ほうっ、と一息吐いて、はっ、と気が戻る。

ほうけている場合じゃない。

急いでその人に近づいて声をかける。


「あの!」


目の前に、今まさに思いを巡らせていた相手がいた。

髪はぼさぼさで、服には土埃つちぼこりが付き、ぜいぜいと荒く息をついている。

なりふり構わず走り回ってきたことが分かる。


「あの!えぇと、あの!えぇっと・・・」


少女は二の句が繋げないようだ。

それだけ、ただ私を探していた、という事なのだろう。


「落ち着いて。ほら、ここ座って。」


自分の左隣ひだりどなりの噴水の縁石えんせきをぽんぽんと叩く。

少女はトコトコと歩いて、すとん、と縁石に座った。

ぼさぼさになった髪を手櫛てぐしいて整えてあげる。


「その、お礼が言いたくて。」

「お礼?何の?」

「私の店の商品を沢山宣伝してくれましたよね、そのお礼を・・・。」


んん~、と腕を組んで夜空を見上げる。


「それはちょっと違うかなぁ。」

「え?」


空を見たまま言葉を繋ぐ。


「私は良い買い物ができた。いい買い物が出来たから人に教えた。

 私はルポライターだから経験したことを文章にした。それだけ。」

「るぽらいたー・・・?」


少女は頭の上に「?」が浮かんだ表情で私を見る。

まあ、そうか。普通の仕事じゃない。


「経験した事や見た事、聞いた事、他にも色々。

 それを文章とか絵とかにしていろんな人に伝えるの。

 この魔法の本を使ってね。今回はちょっと応用。」

「へぇ・・・」


少女はなんとなく分かったような、分かってないような表情をする。


「ま、自由に旅してるだけなんだけどね!」


はははっ、と笑う。


「でも、そうだとしても何かお礼がしたいんです。

 だから、これを・・・」


差し出されたのは麻袋。そこそこの重量があるようで差し出した腕が震えている。

受け取って中を確認すると中身は銀貨で満ちていた。


「どういうつもり?」

「宣伝されなかったら多分商品は売れませんでした。

 だからそのお礼として―――」

「ちょっと待った」


手を差し出して停止を告げる。少女の前に立ち目線を合わせて正対する。

表情には険しいものがある。


「いい?今回の事は私が勝手にやった事。

 貴女あなたは遠くの町で商品を褒めてくれた人にも銀貨を渡すの?

 そんなことしないでしょ?だから運が良かったと思いなさい。」


そう言われて少女は、うぅん、とうなる。どう見ても納得はしていない。


「じゃあ、私があなたに銀貨を渡すのも勝手にする事なんですから、

 運が良かったと思って受け取ってください。

 要らないから渡すので、受け取られないなら後ろの噴水に投げ入れます。」


少女は真っすぐに私を見て告げる。これは一本取られた。

だが、あの量の銀貨は受け取れない。対案たいあんを出そう。


「はぁ、分かったわ、受け取る。

 じゃあ、この銀貨であなたの時間を買う事にするわ。」

「え・・・」

「一人で屋台を巡るのも飽きたのよね。だから一緒に来て。」

「でもその対価がこの銀貨じゃ、価値が合わないです。」

「あなたは自分の時間に値段を付けられるの?付けられないでしょ?

 だから私が勝手に値段を付ける。この後の貴女の一刻いっこくの価値は銀貨袋1つ分よ。」

「むむむ・・・」


意地でも受け取ってほしい少女とそれを言葉たくみにかわす私。

少女は納得しない。このままでは押し問答だ。


「じゃあ、これだけ貰う。これで手打ちにしましょ。」


袋の中から銀貨を10枚だけ取り出す。


「はぁ・・・言ってもそれ以上は受け取らないんですね。」

「もちろん!」


満面の笑みで答えてやった。つられて少女も笑い出す。

噴水の縁石から立ち上がり、明かりで照らされた夜の町を歩きだす。

慰労会いろうかい喧騒けんそうはまだまだ続いていた。


―――翌朝


少女が宿の部屋まで会いに来た。

今日この町をって、自分の村へ戻るそうだ。

完売したことで懐に余裕が出来た上で身軽になったので、早馬車はやばしゃで帰るそうだ。

今日の夜には村までたどり着くだろう。

彼女はおくびにも出さなかったが、やはり病にせった両親が心配なのだろう。

もし近くへ来たら必ず寄ってくださいね、と強く念を押して、彼女は去っていった。

露店で泣きそうだった彼女はこの数日で大きく成長したようだ。

私も今日の昼前の船で海を超える予定だ。


船の時間までまだまだ時間がある。

魔法の本を開く。

今までの旅のルポが書かれた最後のページをめくると、真っ新まっさらなページが現れる。

そのページに筆を落とす。


―――レント王国 港町 ソレイスタ―――


さて、見出しはどうするべきだろうか。

少しばかり考えを巡らせ、ぴんっ、と閃いた言葉を書き入れる。


―――人の絆と新たな文化がつむがれる町―――

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る