第98話
「執事サン執事サン、報告書用の紙ってどこだっけ?」
音も無く姿を見せた灰銀の髪の黒ずくめの男に、執事は書類を分類する手を止め顔を上げた。
主であるヴェルシュタイン公爵の執務室には、いつでも用命を受けられるように、執事が待機する小部屋が併設されている。
その部屋と主の執務室とを往復していた所で登場した予想外の人物に、執事が軽く眉を上げた。
「おや、この間持って行きませんでしたか?」
「追加で必要になったからあと一枚欲しくて」
軽い雰囲気で笑いながらぽりぽりと頭を搔く灰銀の男に、執事は、ふむ、と納得した後、自分で持っていた予備の紙を一枚差し出した。
「なるほど……そういえばシンザ、例の物はどうなったんです?」
「今日見付けたから、旦那サマに送る報告書が追加になっちゃった訳なのよ」
「……ふむ、回収出来たんですか?」
紙を受け取りながらの問答をする灰銀の男を視界に入れつつ、執事は思案する。
それは世間話と言うよりは、任務の進捗状況の把握だった。
「それがさー、奴の子供の手に渡っててね」
「……それはまた、厄介ですね」
相手が大人であれば、様々な説得も可能。
しかし幼子であるなら、わがままを通されてしまう可能性がある。
「そうなんだよねー、しかも産まれる所を見たいのか片時も離れずだよ」
「子供の歳は?」
「八歳」
なんとも、微妙な年齢である。
「どうしたものでしょうね……」
「さすがにさー、旦那サマの判断仰ぎたいよねー」
無理矢理取り上げる事も出来るけど、と続けながら、彼は頭の後ろで手を組んだ。
「それはそれで騒ぎになりそうですね……」
「代わりの卵用意しようかと思ったけどさー、今はもう時期じゃないんだよなぁ」
ワイバーンの卵の孵化までの日数は一週間と短い。
もう子育ての時期に入っており、孵化出来なかった卵は親子ワイバーンのご飯になってしまっているので、もう卵の存在すら怪しい時期である。
しかしそれは専門家しか知らない事実なので子供が知る訳がないのが現実であった。
「早ければ今晩には返信があるでしょうから、早目に仕上げてしまってください」
「分かってるって」
こういう時の為の連絡手段として、転移スクロールと呼ばれる魔法陣の描かれた巻物がこの世界には存在している。
郵便よりも機密情報が守られる事もあり、高位貴族は愛用している者が多い。
人間を転移させる事は出来ないが、スクロールからスクロールへと文書や小物を転移させる事を主として使用されている為、重宝されていた。
現代の地球で似たようなものというと、固定電話だろうか。
声を届ける事は出来ないが、決めたスクロールに物を届ける事が出来るのは、利便性が高かった。
今回の訪問の為に新たに用意されたスクロールは現在、主であるヴェルシュタイン公爵の乗る薄青い鱗のドラゴンの背に積まれた荷物の中に入っている。
一日に一度、それを使って連絡を取り合うように決めていた。
とはいえ、主の居ない屋敷はまるで火の消えた暖炉のようで、なんとも物寂しく感じられる。
それは執事だけの感覚ではなく、灰銀の男も同じであるようだった。
「はー、旦那サマ不足になりそう」
執事としても気持ちは分かるが、その表現はどうなのだろう。
如何ともし難い気持ちだというのは理解出来るのだが、もう少しこう、ヴェルシュタイン公爵に仕える者としての矜恃の見える言動をして貰いたいと思ってしまう。
執事はこめかみを指で押しながら、溜息を吐いた。
「ねーねー執事サン、なんで俺旦那サマに着いてっちゃ駄目なん?」
「あなたは仕事があるでしょう、それが終わったならどうぞ」
「隣国、卵、領内、ついでに宰相、全部終わるのいつだと思ってんだよ」
「知りませんが」
というか、着いて行けるなら執事だって着いて行きたかった。
しかしエルフの里など普通の人間が辿り着けるような場所ではない。
それが分かっているからこそ、二人してこんな所でくさくさしているのだ。
「かーっ! やってらんねぇ! 旦那サマが見たい! 声が聞きたい! なんだよスクロールなんて使わなくても俺でいいじゃん!」
「喧しいし気持ち悪いですよシンザ、旦那サマのお気遣いなんですから素直に受け取りなさい」
「うるせぇよ! 俺だって自分が気持ち悪ぃんだよ! なにこれやだもう!」
「良いから早く戻りなさい」
「うっせぇ冷血漢! 言われなくても戻るよ! ばーかばーか!」
子供のような捨て台詞を吐き散らかしながら、しかしそれでも音も気配も無く姿を消した灰銀の男。
「……なんなんだ……」
執事は盛大に溜息を吐いてしまったのだった。
「ふむ」
スクロールとかいう謎の紙からヌルッと出て来た隠密さんの報告書に目を通すと、自然とそんな声が漏れた。
ハゲチラさん息子居たの……。いや前に会談した時に聞いた事あるような気もするけど、オーギュストさんの記憶この辺りはめちゃくちゃ曖昧だからなぁ。
そしてその息子(八歳)が卵持ってっちゃったと。
いや回収してよ。前には魔獣とかいう謎の生物始末してくれてたじゃん。なんで今回はわざわざ判断仰いじゃうの?
確かに不測の事態の場合は上司に判断を仰ぐってバイト先の店長から教えて貰ったけどさ、不測の事態? ねぇこれ不測の事態?
いかん、落ち着け私。このままじゃなんも進まん。
なお現在地は樹海の入口らしき所というか、なんかそんな場所の手前で野宿しています。
なんで野宿なんだよこっちは公爵家当主やぞ。
そう思いはするが辺りには建物なんて存在してないし、樹海か山肌しか見えない現在地でどこにも立場に相応しい泊まれる場所なんてある訳が無い訳で。
マジで魔法って便利だね!
何がどうなってこうなったのかさっぱりわからんけど、なんか石が組まれて木が出て来て火が着いて寝る場所も作れてご飯も作れたよ!
小さい頃にキャンプとか連れてってくれたお父さんマジでありがとう、お陰で大雑把でも何が必要なのか分かるよ。
あとオーギュストさんの知識も本当にありがとう、公爵家当主でも野宿したことあったんだね、お陰で保存食で晩御飯が作れたよ。
いやだからなんで一人なんだよ!! 寂しい!!
今まで人に囲まれて生活してたからめっちゃ寂しい!!
青ドラさん居るけど出来れば人間が良い!! 安心出来る知り合いの人間が良い!!
そんな訳で知り合いとの唯一の繋がりなスクロールとかいう謎の紙から出て来た書類に目を通していたのです。寂しい。
さて、結局どうしよう。
八歳かぁー、性格は、……素直で可愛い?
うーん、元暗殺者な隠密さんがたったそれだけで卵が回収出来なくなるとも思えないんだけど、もしかして他にも何か理由があるんじゃ?
そう考えて報告書を読んで行くと、原因が色々書いてあった。
「なるほど」
ハゲチラさんは黒い噂が絶えない貴族として国中で有名だから、色んな家から隠密やらスパイやら裏切り者やらに監視されているそうな。
オーギュストさんもやられてたらしいね、隠密さんから聞いただけだから詳しくは知らんけど。
まあそんな中でドラゴンの卵としてワイバーンの卵に良く似た卵が来た訳で、でもどうせ産まれるのはワイバーンだろうってなってる現在に、誰かが卵盗もうとしたらどうなるか。
もしかして本物のドラゴンの卵なんじゃないかと大騒ぎになって、色々とめちゃくちゃになる可能性が高い。
ドラゴンの卵の強度もよく分からないのに、そんな事になったらもう目も当てられないくらいの大惨事になってしまうのではないだろうか。
今私が考えたら他にも色々と理由は出て来そうだけど、隠密さんが考える主な原因はそれらしい。
確かに騒ぎになったとして、その時はそれでいいかもしれないけど、問題はその後だよなぁ。
街中でドラゴンが大暴れして、その原因が隠密さんで、つまりはヴェルシュタイン公爵家とか、ヤバ過ぎる。
ただでさえ評判がヤバいのに、そんな事になったらヤバ過ぎて無理だな。
何が言いたいか分からんくなって来たのでもうこの話は置いとこうと思います。
問題はどうするかだよ。
青ドラさんにこの情報を知らせる訳にもいかないから相談する事も出来ないし、マジでどうしよう。
とはいえ、こうなると勝手に盗むのも出来ないし、このまま置いてたら孵化しちゃうし。
何が正解なんだろう。手紙? いや、それはそれでアカンな。
あーもー、ハゲチラさんが卵持ってたままだったら、冒険者に騙されたって事だけで終わらせられるからもう少し小さい騒ぎで済んでただろうに、なんで子供に渡しちゃうかな。
大体の大人は自分が騙されたくらいなら自業自得だってそこまで騒がないけど、自分の子供がそうなったら大騒ぎするからなあ。
「卵の孵化はいつ頃か、分かるか?」
『ええ、はい、ドラゴンは基本的に孵化予測が出来ますから』
「ふむ、どのくらいの猶予がある?」
『ええと……あと一週間程でしょうか、前後するとは思いますが、大体そのくらいです』
詰んでるなぁ!
一週間で何とかしなきゃいけないのに出来る事がなさ過ぎる!
こうなったら偽物の卵を作って用意してこっそり交換するしか浮かばない!
私が頑張って作るから隠密さんの実力を信じて託すしか出来ない!
そうと決まれば偽卵の製作だ。
確かワイバーンとかいう生き物の卵に似た色と大きさなんだっけ?
…………それって具体的に何色?
いや、大丈夫だよ、薄緑色ってのは知識で知ってるから。
問題はそれがどのくらいの薄緑色かなんだよ。
ワイバーンの卵見た事ないのねオーギュストさん。
ていうことは大きさも分からんなぁ。
…………やっべぇ、詰んでる…………。
よし、じゃあこうしよう、隠密さんに卵の詳しい特徴とか大きさとかそういうのをしっかり確認して貰ってから作って、こっそり交換して貰おう。
そんな訳でそういう感じの内容でお手紙書いた私は、お願いします隠密さん! と脳内で両手を合わせてお祈りしてから、スクロールとかいう謎の紙の上に載せた。
ヌルッと紙に吸い込まれていったのを確認した私は、やっぱりこれ地味に気持ち悪いなあと思うのでした。
まあ、それはどうでもいいので、一息つく為にシンデレラに出て来る魔法使いが使う魔法みたいなあんな感じに紅茶を淹れる。
空中に色々と浮いてる様は、焚き火の炎に照らされてなんというか、不気味だ。
なんでこんな不気味なんだろう、下からの光が駄目だったのかな。うん、今度からもうやらない事にしよう。
一人で納得しつつ紅茶を飲む。なんか地味に熱いけど、平気なのでまあいいや。そんでもう味とかもどうでもいいや。
「それで、何の用だ?」
「気付いていたのか……!?」
いや、気付くよあんだけガン見されれば。むしろなんで気付かれないと思ったの。
そんな事を考えながら、声が聞こえた方へと視線を向ける。
そして木々の合間から姿を現したのは、なんか、ごっついオッサンだった。
あの、うん、なんか耳が横に長いけど、ムキムキでゴツゴツでバキバキなオッサンである。
ボディビルダーとかやってるのかと思ってしまうくらいにガチムチだ。
背中に斧とか背負ってるから木こりとかそういう感じの職業なのかもしれない。知らんけど。
「この近くに集落は無い筈だが、何故このような場所に?」
「……それはこちらのセリフだ、ここより先は森の民が住まう土地、人間が何故こんな所に?」
質問を質問で返されてしまった。
この人のこの言いようから考えると森の民とかいう人達の中の一人がこの人なんだろう。
この世界で森の民っていうとエルフ一択らしいので、必然的にこの人もエルフという事になるのだが、なるほど確かに見目は良い。
問題があるとすれば美麗な顔面に反して肉体がガチムチ過ぎる事だろうか。お陰で地味に怖いんですけど。
どうしてそんな成長をしてしまったのこの人。なんでそこまで肉体を鍛えてしまったの。
しかしそれを顔や態度に出す訳にはいかないので、いつものように息を吸って、オーギュストさんのガワを被るみたいなイメージをする。
そうするだけで一気に冷静になれるんだから、演技というものは面白い。
「……その森の民に用がある以外に、何の理由があると思っているのだね」
「その理由を問うているのだ!」
「なるほど」
『先程から聞いていればなんなんだ貴様は! 偉そうに!』
初対面の時に話全然聞いてくれなかった青ドラさんが何か言い始めたなぁ。お前が言うのかよとしか思えないんですけど。
「ど、ドラゴン!?」
そしてこの人は青ドラさんに気付いてなかったんですね、こんなにデカいのに。
アレかな、デカ過ぎると気付けない的な、なんかそんなやつ。
ウチのお父さんも眼鏡を探してたけど額に上げてただけだった事もあるから、視界に入ってなかったら分からないというなんかそんな感じなのかもしれない。
知らんけど。
「青ド……うむ、……私はこの人と話している、静かにしなさい」
やっべぇ、今、素で途中まで言いかけた誤魔化せたかなコレ。
『アオドというのは、もしや、私の名前ですか……!?』
駄目だった。
キラキラした眼差しを向けられた挙句に涙まで流し始めている青ドラさんである。シバきたい。
「…………静かにしていなさい」
『かしこまりました!!』
「ドラゴンを、使役している、だと……!?」
驚く耳の長いガチムチオッサンの様子を見て、しえき、ってなんだっけと思ったものの、次の瞬間には意味が脳内を駆け巡るので、考えるよりも早く意味が理解出来てしまうのがなんとも言えない。
驚愕に目を見開き、血の気が下がった真っ青な顔色で凝視してくる耳の長いガチムチオッサン、長いな、ガッさんにしよう、ガッさんを見据えながら、紅茶を一口、口に含む。
ゆっくり飲み込んで、心を落ち着けてから改めて口を開いた。
「使役ではない、おいたが過ぎるので躾けたら懐かれだけだ」
「それを使役と言わずになんと言う! こんな、こんな粗末な鞍まで付けて! 野蛮極まりない! 山々を護る高貴なドラゴンになんということを!」
鞍に関しては知らん間に付いてたから私なんも言えんのですけど、それより青ドラさんが高貴なドラゴンという呼ばれ方してるのが気になる。
「ふむ、山々を護っているのか?」
「当たり前だ! 子供でも知っている常識だろう!」
「……だそうだが」
『……ナワバリと
「だそうだ」
「は? ふざけているのか貴様は、まるで会話でもしているように話しおって」
あっ、そういやこれ隠しといた方が良いんだった。
ガッさんの顔面と肉体のミスマッチ過ぎるインパクトのせいで吹っ飛んでたよ。危ない危ない。
「それはどうでもいいだろう、それで、貴殿は偵察もしくは真偽を確かめる為の斥候、で間違いは無いかな?」
「……くっ、それがどうした!?」
「ただの確認だが、他に何か理由が必要なのかね?」
「知らん!!」
なら聞くなよ。
「さて、私の目的をご所望だったか……しかし、素直に言った所で許可してくれるとも思えんが……」
「ふん! 言わなければ分からぬわ! 戯けめ!」
『あの、こいつ殺して良いですか?』
「静かにと言ったが?」
『失礼しました!』
マジで話が進まないから口を挟まないでくれ青ドラさん。
「私の目的は、知識の取得だ」
「……………………は?」
「気に病まずとも、情報漏洩させるつもりなどない」
「ま、待て、知識?」
「そうだが?」
真顔なので無表情だとは思うのだが、しかしガッさんの動揺が凄まじい。
何か変な事を言った覚えもなく、何事だコレ。
「襲撃でも、掃討でも、蹂躙でも戦争でもなく、知識? そんな馬鹿な、それだけの為にこんな樹海に来る者がいるだと?」
いや目の前におるやん。
「まさか、国ごと乗っ取る気か!? そうはさせんぞ!」
「お言葉だが国など不必要だ、足枷にしかならん」
「なんで!?」
こっちが聞きたいわこの野郎。
なんで!? じゃねぇよなんなのコイツ。
「そんな顔で知識とか言われても信用出来る訳が無い!! 本当の目的を言え!! 言えないのならばそういう事だろう!?」
なんだコイツめんどくせぇな。
こうなったらアレだ。
正攻法+泣き落とし作戦に移行します。
「君に妻は?」
低い声の問い掛けと、真剣な顔、それからピリッとした空気。
それだけで目の前の男の動揺を誘う。
上手く引っかかってくれた男が、ぎくしゃくと体を強ばらせた。
「……唐突になんだ!?」
「では命よりも大事な存在は?」
質問に答えるよりも先に新たな問いをぶつける。
すると、とうとうガッさんは無言になった。
それなりに歳を重ねている者であれば、私が何を言いたいのか理解出来る筈である。
己の命よりも大事な存在の為に、ここへ来たのだ、と。
「…………12年前、ここに医者が来ただろう?」
無言なガッさんに畳み掛けるように、断定的な問い掛けをすると、心当たりがあったらしい彼が、ハッと目を見開いた。
「彼は私の妻の主治医でね、妻の病の治療法を探る為にここを訪れた」
静かに、しかし声は通す。
現代演劇の呼吸法での発声を、オーギュストさんのスペックで活かしながら表情を作った。
「だが、間に合わなかった」
悲しげで、どこか自嘲しているような顔と声を。
「私は真実を知りたくてここに来た」
ぐっと拳を握りしめ、軽く俯く。
するとそこでようやく言葉を見付けたらしいガッさんは、真剣だが落ち着いた声で問い掛け始めた。
「……知って、どうするんだ」
「…………報復したい、と思っていないと言えば嘘になるな」
私が悲しげに顔を歪ませると、何故かガッさんの方が傷付いたような顔で眉間に皺を寄せる。
こういう脳筋タイプは感動系に弱い人が多いってどっかで聞いた気がするのでやってみたけど、意外と上手く行きそうだ。
「……しかし過去は変えられない、報復したところで、第二、第三の私が生まれるだけだ」
「ならば何故、今、知ろうとする?」
ガッさんの問い掛けを聞いたタイミングで軽く息を吸って、腹筋に力を入れる。
それから、顔を上げて台詞を吐き出した。
「繰り返さない為だ」
決まりました素晴らしいイケオジです!
クールなイケオジの真剣な表情! 実に素晴らしい!
脳内でわたしがスタンディングオベーションである。出来る事なら正面から見たい。無理だけど。
「……恨んでいないとでも言うつもりか?」
「いいや勿論恨んでいるとも、もしかすれば間に合ったのではないか、医師に聞いた時からそう思わない日は無かった……、だが、それでも私は、同じ悲劇を繰り返したくない」
「この国に何もしないという保証が出来るのか?」
その言葉に答えようと口を開いた、その時だった。
「それはワタクシが保証致しましょう」
「な、貴女様は!! 何故このような所に!?」
聞いた事のない声に振り返る。
しかし見覚えの一切無い、金髪ワンレングスロングヘアな耳の長い美女が一人居るだけで余計に困惑してしまった。
え? なになに? だれ?
「精霊達から聞きました、ようこそ、オーギュスト・ヴェルシュタイン。新たな人間の賢人」
落ち着いた声音で、穏やかに私を歓迎する見た事ない美女。
どうやら、新たな人物の登場である。
今めっちゃいい台詞言おうとしてたのだが、謎の美女の登場でキャンセルされてしまったらしい。
あーぁ! 今めっちゃいい台詞言おうとしてたのになー! あーぁ!
すみません嘘ですごめんなさいなんも考えてなかったです。
むしろ邪魔してくれてありがとうございました。
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