第2話 ヒント


「ヒントいくね」


 またママはおなかをりょう手でなでている。いいな~赤ちゃん。

「それは誰かにあげられません」

 むつかしいな…。だけど大事なものは人にはあげないもんね。

「やっぱりおもちゃだよ」

「ちがうんだな~」


「ママ、そのなぞなぞたっちゃんにわかるものなの?」

「わかるよ、たっちゃんかしこいもん!」

 ほんとうかな…?


「ねえ、つぎのヒント!」

 ママちょっと首をかしげて、でもえがおで考えている。


「ママもパパも持ってます! ママとパパのを、ママもパパも持ってまーす!」


 ママとパパも持ってる?

 ママようのクレヨンなんてないし、パパようのミニカーもないし。


「コップだ!、ハブラシだ、ママよう、パパよう、たっちゃんようってあるし、人にはあげないもんね」

「ざんねんだな…」

 

 ママはわらっている。

「じゃあ次は、だいなんヒントになるのかなあ? 言うよ…」

「うん…」

 ぼくはりょうてをにぎりしめてママのヒントをまった。


「それはいつも持ってます、今日も持ってまーす…」


「なんだと思う…」

ママとぼくの話を聞いていたほかのママがこどもにきいていた。こどもは女の子で、ぼくとおなじくらいだ。


「なんだろう? りさもわからないよ…」

 その子がちいさなちいさな声で言っていたが、ちいさくてもぼくにはしっかり聞こえっちゃった。


 ぼくもわからないけれどさ、あるはずだよね、こたえ。


「ママ、ぜったいピンポンにするからこたえ言わないでね。ヒントだけだよ!」

「うん、大丈夫。それじゃあ次ね!」

 ママはまた考えている。


「どうしようかな~? そうだ、たっちゃんから質問して。どんなものがせいかいは言わないから、ヒントでこたえてあげるから…」

 そうだね、そうゆうほうほうもあるね。


「ねえ、それってお店のどこで売っている? おもちゃかな? おかしのところかな?」


「それはね、買えないんだ」


「えー! そんなものあるの! それじゃあ、大きさは?」

「むつかしいな~、大きさは言えないけれど、重いんだ、すっごく」

「重いの? ぼくが持てるくらい?」

「うん、すっごく重いけれど重さを感じないの…。きっといつも持っているから慣れっこになっているんだね」


「わからなくなってきた…」

 フフってママは笑ってそれじゃあって言ってからこんなヒントを出した。


「それはね、パパやママだけじゃなくておじいちゃんもおばあちゃんも持ってます」


 もっとわからないよ。

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