なぞなぞしよう!
@J2130
第1話 もっているもの
「なぞなぞしよう!」
病院の待合室の椅子に座って、ママはぼくにそう言ったんだ。
絵本も全部読んじゃったしね。
「じゃあぼくから…」
ちょっとむつかしいのにしようっと。
だってママはおとなだからすぐにわかっちゃう。
「パパのよく行く動物園はどこ?」
ママはわらっている。
パンダがいるところでも、コアラがいるところでもないのはやっぱりわかっているんだ。
「ふちゅう」
「ピンポン…あたり…」
あ~あ、やっぱりあてられちゃった。
ふちゅうってさ、パパは僕に「動物園」って言うのだけれど、そこにはお馬さんしかいないんだ。みんなでかけっこするんだよ。
パパは好きなお馬さんを応援するキップを買うんだ。
応援したお馬さんが負けても勝ってもパパはニコニコしているよ。
走る前のお馬さんを近くで見ることができるのだけれども、どのお馬さんも大きいんだ。
パパはお馬さんが好きなんだって、キップはうちの近くでも買えるらしいけれどふちゅうに来てお馬さんを見たいんだって。
パパがおうどんを注文してくれるので、ふちゅうは好きなんだ。
「次のなぞなぞは?」
ママが言った。どうしようかな、つぎもちょっと変わったのにしよう。
「それじゃあ、みんなで買い物に行くとき、パパがカゴにいれちゃうものは?」
ママはわらって、
「ビールでしょ」
「ちがうよ、はっぽうしゅっていうんだよ…」
「そうか、まちがえちゃったね、ざんねんだなー」
「やった!」
ぼくはうれしくて飛び跳ねた。
「それじゃあ、次はママね…」
ママもニコニコしながらそう言った。ちょっと考えるふうに上を向いて、でも両手はおおきなおなかをなでている。
ママの手はやわらかいし、頭でもほっぺでもなでられると、あたたかくてきもちいいんだよね。おなかのなかの赤ちゃん。きっと今ごろきもちよさそうにしているんだろうな。
「う~んとね、そうだ! たっちゃんの持っているものにしようかな? ママが今頭のなかで考えているもので、たっちゃんの持物を当ててみて!」
なんだろう? 仮面ライダーのベルト…
ミニカー…?
「うん、いいよ。でもヒントだしてね。あとズルはなしだよ。今思っているものをたっちゃんが言ったら、ぜったいにピンポンって言ってよね」
ママはうんうんとうなずいて、それじゃあヒントね、と言ってこう続けたんだ。
「そうね…、それはたっちゃんがもらったものです。パパとママからもらったものです、なーんだ?」
たくさんあるぞ…、おじさんからもらった野球のバットはちがうんだね。おばさんからもらったながぐつでもないし…。
「仮面ライダーのベルトは去年サンタさんがくれたし、ミニカーのスカイラインはおじいちゃんが買ってくれたし…」
ぼくはおもいついた、これだ!
「じてんしゃだ! パパとママと、かどのじてんしゃやさんに買いに行ったよね、じてんしゃ、ピンポン?」
「ピンポンじゃないんだ…」
ちがうらしい。
でもすごくおもしろいや!
「ねえ、だいにヒントちょうだい!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます