第4話 再度
軽やかな足取りで家まで帰り着く。薄暗い廊下を抜け、自室に入る。朝目覚めた時のまま、ベルトが放置されていた。私は鞄を放り出し、薄汚れた制服を脱いだ。インナーだけの姿になって、床に座る。ドアノブに引っ掛けてあるベルトを手に取った。
真っ黒なベルトは、カーテンの隙間から漏れる光で鈍く照らされている。その艶を見つめていると、自分の意識すらも吸い込まれそうだった。私は誘われるように首を通していく。不思議なほどに心は落ち着いていた。
体重を下にかける。首が締まり、苦しいを通り越して痛みがやってくる。昨日と同じだ。昨日はここで、失敗した。しかし今はこの痛みさえ心地いいものだった。
あの女に殴られた記憶。黒髪ロングたちに蹴られた記憶。たくさんの痛み。数え切れない痛み。それが頭の中に次々浮かんでは消えていく。その痛みの記憶に比べれば、こんなものどうってことない。
私は沈んでいく。身も心も沈んでいく。
それに合わせるように意識は遠のいていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます