第20話 余談:映画『リズと青い鳥』のこと

 ところで、私は京都アニメーションの山田尚子監督作品『リズと青い鳥』を観たとき、「セロ弾きのゴーシュ」と、この天沢さんの解釈を思い出しました。

 こちらもネタバレを避けるために最低限のあらすじ紹介にとどめますが。

 高校の吹奏楽部でオーボエ奏者を務める鎧塚よろいづかみぞれは、天才的な才能を持ちながら、ある事情があって、その才能を発揮できない。部のなかでも孤立していて、親しくしてくれている友人にもどうしても心を開ききることができずにいる。指導者の先生たちからもいろいろと指導を受けるのだけど、どうしても、その才能に見合った演奏ができない。

 それで、いろいろなことがあって、あるとき、その才能を十分に発揮したすばらしい演奏をし、指導者の先生たちをも圧倒するのだけど。

 それで、みぞれは孤独ではなくなったのか?

 楽団の一員として迎えられて、ハッピーだったのか?

 観終わってふとそう考えたとき、私はこの天沢さんの解釈を思い出したのでした。

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