忘却の彼方へと
そこには、戦争が存在した。
我々が観測してきた、戦争の中で……
信じ切れなかったもの
新たに表れたもの
憎まない物
それらすべての人間がここにいる。
我々は、きっと失敗したのだ。
自分が思っていたよりも、人は見にくかった。
死後は平等だった。
この狂気の世界で苦しむ人々は決して加害者だけではない。
そう遠くない過去に、
みな平等に苦しんでいるのだ。
顔のただれた少女は、駅のホームで人々をあざ笑う。
死んでも戦争、生きても戦争。
学ばない馬鹿ばかり。
「あははは、あゝこれぞ生ける地獄。」
彼女の笑い声をかき消すように、銃剣をそろえる東洋の蛮族が叫び走る。
「突撃しろ。」「鬼畜米兵を殺せ。」
「我々は、曲進している。」 「母ちゃん」
「It's monkey!」「All Jap are enemies! Shoot! Shoot!」
88 「 Baka Bomb collides with the Second Fleet.」
「Es lebe das Deutsche 」「Jemand findet meine Füße!」
「露助を追いやれ」
「Борьба! Борьба! для Родины」
「мать! мать! "Где ты!"」
「Non cedere agli etiopi!」
俺は、歴史を知った。
100年前も80年前も60年前も30年前も
そこにいた悪魔の正体は、人間であることを知った。
落ちていた、
生き残らないといけない。
このヴァルハラを生きて脱出しなければならない。
神は死んだのだ。
戦争の神は、戦争に殺された。
俺は、一人孤独にさまよう、よそ者。
この悲惨な世界で生き残るために、歩き続ける。
飽食で安全な、輝かしい日常へと帰還して見せる。
両親に会うために、歩く。
前線を越えて
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