好きの温度計

ハナミ

第1話捕獲したい

銀髪に染めた髪

いつも黒のスーツ

ブルーサファイアのピアス

初めて出会えたのは

私が

キラキラ光る包丁を握りシメテ

川で釣った魚を捌こうとしたのを

ケイは

自殺志願者だと勘違いして

私を

ちょっと

か弱い女性を回し蹴り

そのまま意識を無くす?

いやいや

私丈夫だから

平手打ち

してやった

顔を見て

息が止まるかと

銀髪がキラキラ輝いて

不思議な瞳の色

うまく説明出来ない

ただ

甘い甘い

桃の香りがした

酩酊しそうなくらい

強いお酒を飲んだらこんな感じかな?

みたいな

匂いはドンドン

頭はクラクラ

喉はカラカラ

訳わからない

意識が保てない

体の力が抜けていく

「顔を見せろ」

低く全身が温度計だったら

爆発しちゃうような

体温の

上昇

助けて

逃げないと

帰れなくなる

顎クイ

顎クイ

2度言いました

小説の世界だけだと思っていたから

「離して」

何とか力を振り絞って逃げようとする

不思議なくらい

離れたくない

凸凹がそろったみたいに

でも

私は私は

この人に捕まったら

帰れない

本能

「お前が伴侶か、分かるかこの魅惑的なお前の瑞々しいローズの甘い香り」

私はまだまだ

この世界にいたい

やっとやっと

にげたのに

何から

分からない

酩酊する

桃の甘い甘い

媚薬のような香り

私は

この世界の人間じゃない

小さな穴を見つけて

訳の分からない

匂いで

伴侶だのなんだのが

決まる

世界が嫌いで

ほんの3日前

3日前に逃げたの

実家は農家で

普通の家庭

恋愛がしたいの

落ちていた本で

何度も

電車で会う

偶然会社で会う

そんな運命のドキドキが欲しいだけなのに

「名前は?」

「リン」

抱きしめられる

どくどく

毒毒

恋は?

運命は

必然的に離れられない

しなやかな筋肉

綺麗な銀髪

オッドアイ

右がブルー左が虹色

不思議

体が熱い

燃えあがるように

私は

家族の中で異端の存在

みんな

熊の獣人なのに

わたしだけ

繭につつまれて

蝶の妖精

何度も何度も

見世物にされ

私が15歳になった3日前にすけべ変態爺さん

に売られる所だった

だから

小さな穴を見つけ

蝶の化身になり

逃げた

恋をしたかった

人間界の

普通の恋愛

階段を昇るように

ゆっくりと

ダメね

見つかった

見世物小屋?

もうヤダ

蝶なんて

「名前を教えて」

全てを委ねてしまう前に

最後に

私を捕獲しに来た人を見る

「ケイ」

そうなんだ

私がこの世界で最後に見る者

モノ?

嫌なんだ

本能で結ばれるの

ケイ

もう

私の本能は貴方に捕らわれた

凄い嫌な体

恋も

ドキドキもない

本能の恋

嫌なものは嫌なの

恋は雨上がりのように綺麗な

ドキドキ

切なく

涙したりするの

小説に書いてあった

私は

万が一の時の為に用意していた

永眠の薬の入った

ネックレスの蝶の形をした

ピルケースを

ケイの綺麗な顔を見ながら

飲もうと

蓋を開けたと同時に

ケイにふわりと甘い砂糖菓子のような、初めてのバードキスをされる

握っていたピルケースは遠くに投げられ

もう一度

チュッ

とキスをされる

「リン、俺は銀狼の次期王だ。伴侶のお前が生まれた時に金の瞳は、オッドアイになりこの虹色の瞳に君はいつも辛そうな顔と場面で映る。助けたいと、君が15歳になるのを待った。リン君は自分が蝶の獣人だと思っているが、君は銀狼の番である証の桃色の髪、薄紫色の瞳、そしてリンは妖精なんだよ。君の両親は熊の獣人に売られ君を、繭を奪われ母君と父君の最後の魔力で妖精の力は封印され蝶の怪しい獣人になったんだよ」

額に優しく口付けられる

お母さんも、お父さんももういないの?

涙がポロリと零れる。

それは

桃色の宝石に姿を変える。

「ケイごめんね、私は恋がしたいの。

運命がいいの。決められた伴侶や番は要らないの」

何とか言えた

美形は眩しい

チュッ

チュッ

チュッ

顔中にキスの嵐

そしてケイは首筋にチュッ

ダメ‼️

逃げようと必死に力を込める

首筋を噛まれたら

永遠の番

やだやだやだやだやだやだ

私は

沢山恋をするんだ

二股とかするんだ

ホスト通いもしたい

心の声がダダ漏れだとは知らなかった

知らなかったんだよ

神様

私は

ホストみたいな人が好きなの

お姫様のように扱ってくれる人

回し蹴りするような人論外

いくら

本能が求めても

無理

全部言葉にだしていたなんて

ケイが魅惑的な笑を浮かべる。

私の右手を掴み指先を1本、1本、甘く舌を絡めながら噛む。

そして反対の指先も。

頭がポーとする。

「リン、君は俺の番だ。二股や、沢山の恋愛は永遠に出来ない。なんせ俺は独占欲が強くて、君に触った男の腕はないんだ。君に触れていいのも、笑わせていいのも泣かせていいのも俺だけだ。俺の、俺だけの女王様、愛してるよ」

あーあー

私も一目惚れです。

黒のスーツ

サファイアのピアス

夜の帝王みたいな姿

極妻に憧れていたケイの危険な香りは一瞬で恋に落ちて、足掻いたけど。

強引な俺様が好きな私には理想

ドン‼️

何故かの地面ドン

首筋の匂いを匂われる。

ペロリと首筋を噛まれ唾液が、私の体内に入った。

これで永遠に

私はケイの物

ケイも私の物

温度計は弾けて粉々に

俺だけ見ろ

ってかっこいい

私はお返しに

ケイの首筋を噛む

これで満足?

「リン愛してる

どんなに嫌がっても逃がさない」

愛してる

「私もよ。

浮気は許さない。

ケイ、俺様のケイが好き」

もう限界

ケイに抱き着いて

「嘘を言ったら

私は貴方から離れる」

自然に唇を重ねる。


痛い程幸せ

あります

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好きの温度計 ハナミ @muneta

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