第51話 行くしかないでしょ!


「で、でも!それを乗り越えたらのんびりとライトアップされたパークをゆっくり回れるから頑張ろ!」


フンスと張りきる奏。


「人も少なくなりそうだし、いいなそれ」


ロマンチックだ。

そのまま真ん中にある運河の前でベンチに座りコーヒーを飲む。

最高だろこのシチュエーション。


「零二くん、そろそろ大丈夫そう?」


「ん、なんとか大丈夫だ」


「まだ時間あるからもう少し休んでても大丈夫だよ?」


「うーん、時間あるならご飯食べたいかな」


「あー確かに!」


と、ポンと手の平を叩く。


「アトラクション周り過ぎてお昼ご飯食べるの忘れてたからな」


「私もすっかり忘れてたよ~」


「お前は合間合間でなんか食べたからな」


「えへへ、そうだった」


お茶目に笑う奏の首元には、キャラのデコレーションがされたポップコーン入れが4個掛かっている。

これ以外にも、軽食だけでもう4000円は使っている。


ここまで来たらもう大食い選手だ。

それに出費もバカにならない。まぁ、親のお金だからそこに関しては心配いらないけど。


「次のアトラクションの近くになんかレストランあったっけ?」


「ちょっと待ってね~、今見てみる!」


奏はポップコーンの入れ物に手を入れると中からマップを取り出す。


「そこに入れてたのか」


「うん!物入れにちょうどよかったから!」


確かに、サイズ的にはちょうどいいかもしれないけど、ベトベトになりそうだ。

さっきまでポップコーン入ってたから。


「近くに良さそうなレストランあるよ!」


マップをまじまじと見ると、大発見したかのように指を差す。


「ホントだめちゃくちゃ近いな」


「でしょでしょ~?あ、でも行く前にメニュー見ておかなきゃ」


「ぬかりないな」


「これでメニューがイマイチなものだったら嫌だもん」


「ここに来て嫌なモノあったか?」


「ううん?ないよ?」


「なら大丈夫だろ」


「一応だよ~」


もし、好き嫌いが分かれそうなメニューでも、奏は美味しいと喜んで食べそうだ。

好き嫌いなくなんでも食べるからな。それも美味しそうに。

スマホを見ながら奏は、


「ベーコンエッグバーガー、グラタン仕立て?と、コールスローとスパイシーソースだって!すごく美味しそうじゃない?」


「バーガーか、いいな」


「それにポテトまであるよ!」


「いたでりつくせりだな」


「これは行くしかないでしょ!」


メニューに目をキラキラさせる奏。

お気に召したようでなによりだ。


それに、俺もガッツり食べたい気分だ。ハンバーガーとポテトはちょうどいい。

胃もたれしないようにコールスローまで付いてるしな。



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