第50話 察しが悪い


「ちょ、流石に休憩…………」


 4時間ほどが経過し、俺は近くのベンチへうなだれる。

 最初のアトラクションが終わってから次のアトラクション、また次のアトラクションと園内を駆け巡り、俺の体力は限界を迎えていた。


 しかも、乗るアトラクションは絶叫系。その合間に落ち着いたもの。

 怖がると思っていた奏が喜んでジェットコースターに乗っていた。


「零二くん大丈夫?」


 横に座っている奏は優しく俺の頭を撫でてくる。


「ちょっとだけ休憩すれば大丈夫だ」


「次のアトラクションまで時間あるし、私も少し疲れたから休憩しよう」


「………だな」


 絶叫で三半規管と心身やられたところに、園内をランニング。これを4時間ぶっ続けだ。

 疲れないわけがない。

 でも、奏は元気そのもの。その体力を少し分けてもらいたい。


「いや~。どれも面白かったね~」


 グーンと伸びをしながら言う奏。


「久しぶりにジェットコースター乗ったけど、やっぱり面白いよな」


「だよねぇ~、なんかビューンてしてドーンてなってズバババ~!って面白かった!」


「一回転するのは心臓に来たからもう乗りたいとは思わないけど」


「そう?私はあれが一番面白かったけどな~?」


「俺はあーゆうTHEジェットコースターとかよりも、もっと世界観を楽しみながら乗るやつの方がよかったな」


「インディージョーンズとか?」


「あとセンターオブジアースとかな」


「なんかあの2つは怖いキャラ出てきて私は苦手だったかな」


「だから乗ってる時も俺の肩にしがみついてたのか」


「うんうん。なのに零二くん私が助け求めても無反応だったし」


 プクッと頬を膨らませる奏。


「アトラクションの音でなんも聞こえなかった」


「私が肩を掴むっていう事は、そうゆうことだからね?」


「これから気を付けます」


「零二くん、ちょっと察しが悪いよね。そうゆう所も好きだけど」


 察しが悪いのはどっちだよ。

 パス発行を待ってる時に周りの目を気にしないでイチャイチャとくっ付いてくるし。どんな目で見られてたか。それこそ察しが悪い。

 まぁ、そうゆう所が可愛いんだけど。


「あと1個絶叫のやつ乗って、あとはのんびり園内周りながら空いてるやつ乗ろーね」


「そっか、あと一つ残ってるのか」


「うん、でもこれ、私も苦手そうなやつ」


「確かに」


 あと一つ残っているパスは、タワーオブテラー。

 ホラーと絶叫のダブルパンチだ。絶叫が良いにしてもホラーだ。それもガッツリとした。

 これは耐えられそうにないな。

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