第43話 体、熱くない?
幸せだ、このひと時。
リビングで2人ケーキを食べながらコーヒーを飲む。
これほど普通で最高なことはないだろう。
「やっぱさぁ~、こうして零二くんとくっ付いてると落ち着くね~」
俺の肩に持たれかかると、目を瞑りながら奏は言う。
「前もよくこうやってくっ付いてただろ」
「そーだけどさぁ~2人きりではなかったじゃん?」
「まーな」
「それに零二くん嫌がってたし」
「別に嫌がってはなかったぞ?」
「ならなんでくっつくなっていったの~」
「流石に、付き合ってなかった時にされたら反応に困るだろ」
「それって、恥ずかしかったってこと?」
「…………まぁそうだな」
恥ずかしいし、反応に困るし、男子の部分が元気になるからな。
天然だからか気付いてないだろうけど、胸を押し付けてくるし本当に反応に困る。
今だってそうだ。谷間に俺の腕が埋まっている。
しかし、関係性が変わったことでそこまで動揺はしなくなった。
それにエッチしたからもうそのくらいではドギマギはしない。
「零二くん恥ずかしがり屋なんだぁ~」
「お前が恥ずかしがらな過ぎなだけだ」
「そーかな~?昔から変わらないと思うけど~?」
「普通だったら変わるんだぞ」
「そうなの?」
思春期の概念すらないのか。
それはそうだ。性知識、てか中学で習う性教育の内容すら分からないんだからな。
「うーん、でも相手が零二くんじゃなかったらもっと素っ気なかったかもしれないね~」
と、コーヒーを啜る。
「そうなのか?」
「かなぁ~?だって、私学校で男の子の友達いないし~。よくお昼休みとか放課後に呼び出されて好きとか言われるけど~、特にその子と仲良くないし?」
それ、告白って言うんだぞ?
さりげなく奏モテてるんだよなそうえば。
天然で可愛い所が、男ウケがいい。それにナイスバディだ。
男なら誰しも彼女にした存在だろう。
ま、それが幼馴染兼彼女なんだが。なんとも誇らしい。
「ねぇ零二くん」
ちょんちょんと服の袖を引っ張ってくる奏。
「ん?コーヒーお代わりか?」
「ううん、違う」
こちらを奏の目は、つい数分前とは打って変わっりトロんとした目になる。
多少だが息も荒いし、くっ付いている体も火照っているような気がする。
「なんか体熱くない?」
汗をかく額を手で拭いながら、胸元をぱさぱさと仰ぐ。
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