第42話 一緒に食べたかったからだよ~

「ごちそうさま~、お皿洗っとくなー」


「ん、いいよ…………私がやるから」


「お前は食べるので忙しいだろ」


「お皿洗いくらい――――食べながらでも…………出来るよ~」


「洗ったお皿にポテチのカスが付いても二度手間だから俺はやっとくよ」


「なら甘えさせてもらうね~ありがと~零二くん」


「あ、ついでにコーヒーも淹れようと思ったけど飲む?」


「飲む!」


 お皿をまとめてキッチンに持っていき、シンクに置くと皿を洗う。

 何でもかんでも奏に家事をやらせてたら彼氏兼同居人失格だ。

 出来る事は積極的にやっていくか、協力しよう。そっちの方が密着出来る時間が増えるしWINWINだ。


「零二くん!コーヒーびっきり甘いのでよろしく!」


「へいへい」


 パリパリとポテチを食べながら、奏は声を掛けてくる。

 食べ終わってから喋って欲しいものだ。頬張ってる奏はリスみたいで可愛いが、よく聞き取れないことがあるからな。


「うし、これでいいか」


 皿洗いが終わると、コーヒーを淹れる準備に掛かる。

 棚からマグカップを2個取り出し、ポットでお湯を沸かす。インスタントコーヒーのドリッパーをセットしその間にミルクや砂糖を用意しておく。

 にしても、奏の甘いってどれくらいだ?


 俺の感覚だと絶対に苦いって言われるし、スプーン4杯くらい入れておくか。

 お湯が沸くと、ドリッパーにゆっくり注ぎ香りを楽しみながら入れる。

 そこにミルクと砂糖を入れて、俺もケーキを冷蔵庫から出し、


「おまたせ~」


 と、奏のいるほうに向かう。


「うわぁ~、いい匂いだね~」


「このコーヒー、インスタントだけど結構いいやつっぽいぞ?」


「だからこんな良い匂いなんだね~」


 マグカップから出る湯気をスンスンと嗅ぐ。


「ポテチ、もう食べ終わったのか」


「いやぁ~、やっぱ食べると止まらなくてさぁ~」


「でもケーキは残してるんだな」


「それはね~、零二くんと一緒に食べたかったからだよ~」


「そっか」


 てっきりもう食べ終わってるかと持ったが、こうゆう所は気が利くんだよな奏。


「じゃ、一緒に食べるか」


「うんうん!早く食べよ!」


 ケーキの包装を剥がし、クリームのついた本体が露わになる。


「いっただっきまーす!」


 フォークで大きな一口を頬張ると、なんとも幸せそうになる奏。

 その笑顔を見ながら、俺コーヒーを啜る。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る