第37話 お風呂にする?ご飯にする?それとも……………
「ちょ、奏!?」
「だって、零二くんはこれをしたかったんでしょ?」
「まぁそうだけど」
「えへへ、ならいいじゃん」
クソ、可愛い。なんだこの守ってあげたい笑顔。小柄なのが相俟って更に守りたくなる。
しかも否めない新妻感。エプロン姿に幼馴染より狭まった距離感。
最高過ぎる俺の彼女。
「あと~これもかな?」
刹那、奏は背伸びをすると俺の唇へと自分の唇を合わせる。
「………クっ」
唇を離すと、俺は赤面しながら口元を抑える。
「なんか、新鮮だね。こう………普通の時にするキスって」
体をもじもじとさせながら言う。
それはそうだ。
いつも奏とキスする時なんか、エッチする時くらいなんだからな。
完全にヤる気満々で、服を脱がせながら。
でもいいな。さりげなくするフレンチキスって。
「お、お前も唐突だな」
「え~、好きな人と向かい合ったらシたくなっちゃうじゃん」
確かに、その可愛い顔を見たら思わずキスはしたくなる。
「俺と同じ理由かよ」
「やっぱ零二くんとは心が通じ合ってる?」
「かもな」
多少は通じ合ってるかもしれないが。根本的に違う部分もある。
今、胸を押し付けられて興奮してるとか。
あんなたわわなモノを体に密着させられたら興奮しないわけがない。
「この流れでさ、一回してみたかったことがあるんだ」
「ん、なんだ?」
「よくさ、新婚さんとかがする定番のやつなんだけど」
なに、台所でエッチとかか?いや絶対にありえない。その変態思考を持ってるのは俺だけだ。
「いいよ、なんでも言ってみ」
ピンクな妄想をしてないかの様に振舞う俺。
「それじゃ、言うね……………絶対笑わないでよね!?」
「笑らないから安心して」
「うん、ならよかった」
コホンと咳ばらいをし、深呼吸をすると、
「零二くん、お風呂にする?ご飯にする?それとも私にする?」
頬を赤く染めながら、小首を傾げる奏。
「……………。」
その瞬間、俺は言葉が詰まる。
なに、可愛すぎるんですけど?言うタイミングを間違ってるとは思うけど、可愛いから問題ない。
そうゆうのは玄関とかで言うセリフだとか、ご飯出来上がってから言うもんじゃないとかいう以前に可愛い。
「零二くん、流石に静かにされるのは恥ずかしいんだけど」
ちょんちょんと俺の肩をつつく。
「これで…………もし奏にするって言ったらどうするんだ…………?」
選択するは一つしかない。
もちろん奏。
ご飯が用意されてようが、お風呂が沸かされてうようが「奏」という選択肢があるなら選ぶのは一つ。
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