第35話 エプロン……いいな
これが無きゃ今日は乗り越えられない。
何故なら、誰にも邪魔されない空間での行為だからな。
2人だけの空間にダブルベッド。ゴムはワンカートン、大人の玩具。
激しくならないわけがない。
普段でさえ体力バカの奏に搾り取られるのに、今回は多分比にならない。
そう、奏は無知な割には何回戦も続ける。自分では分かっていないだろうが、相当性欲が強い。
いつも、俺の方が先に疲れ、行為が終わってしまう。
多分、今日はノンストップだ。
だからより長く、そして激しく楽しむ為に、俺には精力剤が必要なのだ。
「にしても、どれを買えばいいんだ?」
コンビニに着き、栄養ドリンクコーナーの上段をの眺めると、俺は呟く。
種類が多すぎてどれを買えばいいかイマイチ分からない。
ユンケル?ぺプチア?百凱王?それとも王道の凄十?
いや、迷うよりここは王道を選ぼう。無難な方がいいからな。
店員の視線を少しでも和らげようと菓子パンを買ってからレジに並ぶ。
少し冷ややかな目で見られたが、夜の事を考えるとそんなの痛くも痒くもない。
精力剤だけをショルダーバッグに入れ、菓子パンはコンビニの袋のまま持つ。
これで隠ぺいは完璧だ。
バレて「これな~に?」を回避することが出来る。
精力剤なんて買ってるのバレたら、俺がただ奏とやりたいだけのサルになってしまう。
否定はできないけど、もっと純粋なお付き合いもしたい。これは本心だ。
「おかえり~、早かったね」
「近くのコンビニだったからな」
家の扉を開けると、新妻のように奏は玄関へ駆け寄って来る。
手にはフライ返し、そしてエプロン姿を着用。これはエモい以外のなにものでもない。
「エプロン、可愛いな」
奏の全身を眺めながら言うと、
「でしょでしょ~?同棲する為に新しく買ったんだぁ~」
全体的にピンクで統一され、白のフリルの付いたエプロンをなびかせながらクルっとその場で回る奏。
なんでも似合うな。スタイルもビジュアルも、モデルになれそうだ。
天然キャラのモデル。タレントにもなって人気が出そうだ。
にしても、エプロン………いいな。
「ささ、もうすぐ出来るから零二くんは手洗って座って待ってて」
フライ返しで洗面所の方を指すと、キッチンの方へスキップをしながら向かう。
「あ、めっちゃいい匂いするやん」
洗面所へ行く途中、廊下に漂うお肉の香りとデミグラスソースの濃厚な匂い。
嗅いだだけでお腹が減って来る。
早く手を洗って、席に着こう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます