第34話 ケーキ!?

「これで買うものは全部かな?」


 満杯になったカゴを見ると、奏は腰に手を付く。


「大丈夫じゃないか?少しお菓子とジュースが多すぎるかもしれないけど」


「これはストックの分と、今日の同棲生活初日パーティーをするためだよ~」


「だからハンバーグなのか」


「そう!大好物でパーティー!」


「2人だけだけどな」


「いいじゃん~、零二くんと2人だけのパーティー」


「ならケーキも買わないとな」


 初日くらい、パーッと盛り上がるものありだな。これからの事を話しながら2人で雑談するのを悪くない。

 俺の言葉を聞くと、


「ケーキ!?」


 パァっとした笑みを浮かべながら顔を近づけてくる。


「って言ってもコンビニのだけどな」


 今からケーキ屋に行くのは流石に無理だ。

 両手にパンパンのビニール袋を持ちながらケーキ屋に入るのは周りの視線が痛い。

 コンビニでさえちょっと戸惑うのに。

 あと、コンビニに行きたい理由はもう一つあるからな。


「コンビニでも十分だよ~、ケーキはケーキ!」


「ならいいんだけどさ」


 レジに並び、お会計を済ませると、袋に大量の購入品を詰める。


「……………流石に買い過ぎたな」


 大きめのビニールにしたはずなのに、はち切れそうだ。


「ちょっと……………重いかもね」


 よいしょと両手に袋を持つと、苦笑いする奏。


「だから言っただろ?」


「でも~、お買い物って楽しくてつい~」


「持ち帰ることも考えような?」


「次からはそうするよ~」


 ジュースの袋も重そうだが、こっちの荷物も相当重いな。

 いい筋トレになりそう。


 でもどうする。このままだとコンビニでケーキは買えそうにないな。

 一回に家に帰ってから行くか。


 そっちの方が、俺にとっては都合がいい。

 奏がいたら、ちょっとめんどうな事になりそうだからな。


「んじゃ、ケーキは荷物置きに帰ったら俺が買いに行くよ」


 スーパーを出て、帰り道を歩きながら奏にそう言う。


「え~、私も買いに行きたい~」


「でも奏は料理という重大任務があるだろ?」


「そうだけど~」


 眉をひそめて残念そうな表情を浮かべる。


「好きなケーキ言ってくれたらちゃんと買ってくるからさ」


「何個?」


「2―――」


「2~?」


「分かった3個」


「やった!」


「その代わり、最高のハンバーグ作って置いてくれよ」


 袋を肘に掛けると、空いた手で奏の頭を撫でる。

 こう、もので釣れるのは素直で可愛い。


 俺だって奏と一緒にコンビニだが、ケーキを買いに行きたかった。だけど、今日ばかりはやめてもらおう。

 ケーキ以外にも買いたいものがあるし。


 今日は金曜日、明日は休み。そして同棲生活初日。


 という事は必然的に夜は激しい運動をする。ゴムは家に既に常備されてる為、俺が買うものはあと一つ。


 精力剤だ。

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