第32話 羨む体型

「零二くんはそこら辺心配しなくて大丈夫!家計は私が管理します!」


 胸をドンと叩く椎名。


「いや、ダメだ。俺が管理する」


「零二くん、私が無駄遣いすると思ってるの?」


「もちろん。リビングがお菓子で埋まりそうだ」


「……………いや?そんなことないと思うけど?」

 おもむろに目が泳ぐ。

 これは、奏に管理を任せたらお菓子とジュース。あとはその他要らないものにお金が消えていくパターンだ。


「…………まぁ、お菓子とかジュースくらいはいっぱい買ってもいいから、管理は俺がする。それでいいか?」


「たしかに、零二くんの方がしっかりしてるから任せた方がいいかもね」


「任されましたよ」


「なら、後からお菓子とかいっぱい買い込んどこーっと」


 カートを俺に預け、前でスキップする。


「まずは食材買ってからな」


「あ、そうだった」


 あれだけ楽しみそうにしてたのに、自分の大好きなものを目の前にするとすぐに忘れてしまう。

 そこがめんどくさいんだが、可愛いんだか。奏だから許せるけど。


「んーっと、豚ひき肉と牛ひき肉を半々だね」


 精肉コーナに行くと、お肉を眺め眺める。


「なるべくあまりが出ないように買えよ」


「分かってるよ~、それに残った分は私が食べるから安心して?」


「それは大安心だな」


「あと、牛脂もお肉と一緒に混ぜた方がジュージューになるってレシピに書いてある」


「ぬかりないな」


「美味しいものにはぬかりない。零二くんのお母さん流石だよ~」


 美味しいのはいいことだが、脂っこくていかにも太りそうだ。

 にしても、奏。あんな脂の塊をあれだけ食べてよく太らないよな。


 ウエストもしっかりあって、無駄な脂肪がない程よい抱き心地。

 栄養が、すべて胸にいってるのが素晴らしい。世の中の女性が目から血を噴き出して羨むだろう。


「お肉はおっけ~だから、あとは玉ねぎとパン粉だね」


「玉ねぎだけでいいのか?」


「うん!だって零二くん野菜嫌いでしょ?」


「そうだけど」


「ハンバーグに野菜入ってたらお肉の美味しさ感じられないしね~」


 玉ねぎとパン粉をカゴの中に入れ、その他調味料を買う。醤油、みりん、酒、塩コショウ。

 これくらいあれば必要最低限だろう。


「ん~あとは、なにかあるかな?」


「そうだな、あとは日用品とかだな」


「だね~、なきゃ生きていけないもんね~」


「トイレットペーパーと、ティッシュと、あとは…………」


「お皿洗いに使うものと、ゴミ袋!ラップも必要だね」


「あとは適当に必要そうなものいれるか」


「ないよりは、あった方がいいもんね~色々と」


 と、色々な日用品をカゴの中に入れていく。すると、カートに積んでいたカゴ2つが満杯になった。

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