第31話 どっから出てくるんだよ

「ハンバーグの具材を買います!」


 スーパーにつき、カゴを持つと、燃える目をしながら言う奏。


「そんなに真面目にならなくたってただ材料買うだけだろうが」


「そう!でもそれが重要なんだよ」


「ハズレではないけどさ……………」


 結局、作る料理は奏の大好物のハンバーグになった。

 ハンバーグ自体は俺も好きだが、最近食べ過ぎているとは思う。

 奏が家に来るたびにハンバーグだし、昨日だって奏が家に来たからハンバーグであった。


 週4で食べてる気もする。

 そろそろ嫌いになりそうだ。

 でも、レシピは完璧だからマズい物は出来ないだろう。なにせ、俺の親からレシピを貰っていたからな。


「さてと、最初はお肉から調達しにいこ~」


 買い物かごをカートに入れると、押しながら歩く。


「必要なモノって、肉と、玉ねぎとかの野菜と………あとなんかあったっけ」


「えとね~、あとスパイスとか、パン粉とか、これから必要になりそうなものも買おうかな~って」


「洗剤とかスポンジとか?」


「それもあるけど~、あとは、お菓子とかジュース?」


「お前が食べたいだけじゃねーか」


「えへへ」


 と、奏はテヘッと舌を出す。

 確かに、必要なものは買い込んだ方がいいな。どうせ親から生活費は貰っているし。


 銀行に振り込まれた額20万円。これが毎月振り込まれるらしい。

 いや狂ってる。うん。


 子供の同棲生活にここまでお金を出す親いるか?

 生活費は確かに必要だけど、光熱費、水道代、ガスや携帯などは親が払ってくれるし、俺達が使うのは、食費と雑費。


 それ以外は俺達が自由に使える。

 デートとか、その他娯楽に。

 俺も、銀行に振り込まれた時はビビり散らかした。ありえない額だからな。


「お金の心配はしなくていいから、いっぱい使おうよ~。せっかくだし」


「でも、予想外の出費があるかもしれないからちょっとくらい溜めておいた方がいいんじゃないか?」


「え~、でも40万円も月に使わないじゃ~ん」


「40万?」


「うん!私の20万円と零二くんと20万円で40万円!あれ、計算合ってるよね?」


 顎に手を当てながら小首を傾げる。

 あの親ども…………てっきりに俺の銀行に振り込まれたお金が生活費だと思ってたが、まさか奏も貰っていたなんて。


 どっから、そのお金は出てくるんだよ。月に20万なんて、新卒以上に貰ってるだろ。

 まぁ、でも貰うだけありがたい。それだけ自由なお金が増えるってことだ。

 このくらいなら、少しくらい無駄遣いをしても大丈夫だろう。まぁ、俺は月7万ほどは将来の為に貯金しようとは思うが。


 せいぜい俺が趣味で使うのはゲームくらいだし。あとコンビニとか。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る