第24話 おい親!
「へいへい」
呆れた返事をしながら俺も席に着く。
「さぁ~!早速頂きましょう~!」
最初にナイフとフォークを持って食べ始めるのは奏。
「相変わらず奏ちゃんは食べっぷりがいいわね~、作った甲斐があったわよ~」
それを微笑ましく眺める母親。
「もうおいしいのでぇ~―――ずっとパクパク食べられますよぉ~―――」
「お代わりあるからいっぱい食べてね~」
「うわぁ~―――ありがとうございます~―――――」
もぐもぐと口を動かしながら答える。
「ホント仲いいよな」
横目で2人を眺めながら俺もハンバーグにかぶりつく。
「なに~、嫉妬してんの?」
「人にフォークを向けるな」
「あうっ」
不快な笑みを浮かべる奏の頭を叩く。
「そうよ~、2人の方が仲いいじゃない~」
そこに便乗する母親。
「そうですか?やっぱそう見えますか?」
「見えるよ~。というか昔から仲良いじゃない2人は」
「ですよね~、ずっと一緒ですもん!」
「ホントずっと一緒よね~高校も一緒に登下校して、放課後に遊ぶなんて~」
「いや~、やっぱ零二くんと居ると安心するんですよ~」
「もう兄妹みたいよね~、それか~、カップル?」
「ブっ―――!?」
カップルという言葉にお米を噴き出す。
「ちょ、零二くん大丈夫!?」
横にいる奏は、急いで水を差しだしてくる。
「だ、大丈夫…………ちょっと詰まっただけだ」
「…………ならいいんだけど」
来た、俺の親の爆弾発言。その場の空気も考えずに放つ言葉はいつも誰かの心に突き刺さる。
しかもこのタイミングでカップルとかいうのは、マジでKYにも程がある。
「まぁ、2人はカップルとか以前に仲が良すぎるし、いつも一緒にいるから~、そうね」
と、母親は顎をさすりながら、
「いっそ結婚しちゃえば!」
「ブっ――――」
落ち着こうとして飲んでいたお茶を再度噴き出す俺。
「おい親!」
耐え切れなくなり、机をバンと叩き立ち上がる。
「なによ~、そんな大声出して~」
「空気を読め!そしてもう口を開くな!」
「どうしたのいきなり~、そんなに奏ちゃんとの結婚がうれしかったの?」
「んなっ…………もう喋るな!」
赤面しながら怒鳴る。
ホント、ダメだ。この親。親ガチャ失敗したかな。
さっきの俺の反応を見て分からなかったのか?分かってるわけないよなあんな発言するんだから。
にしても、爆弾発言にしては的確な事言うよなこの親。
やっぱ、俺達の事をちゃんと見ているのか。いい意味でも悪い意味でも、ちゃんとした親だな。
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