第25話 どう慰めるの?
「おい、行くぞ!」
「え?お代わりは?」
だがこれ以上ここにいると、身が持たない。てか色々問題がある。
お代わりをせがんでいる奏の手を引っ張り、リビングを後にしようとする。
「いいから部屋行くぞ!」
「え、あ、ちょ~~、零二くん~~」
調子に乗って奏が「いいですね~それ!」とか言ったら俺の親は本気にしてしまう。
俺達の家とか買ってきそうだ。
その前に。この場から離れてる方が吉だ。
「ちゃんとごちそうさましてから部屋行きなさ~い」
ドアを開けると、後ろから母親は声を掛けてくる。
「あーごちそうさま」
「零二くんのお母さんご馳走様でした~、とっても美味しかったです~」
吐き捨てるように言うと、リビングの扉を閉めた。
「お代わり食べ損ねたんだけど~」
部屋に入ると、プクッと頬を膨らませる。
「しょうがないだろ、あの場にいるのはマズすぎた」
「なんで?」
「なんでって、前にも言ったけど母親に俺達の事バレたら色々とめんどくさいだろ」
「そうかな~?私はいいと思うんだけど~」
「お前が良くても俺がよくないの」
「恥ずかしいから?」
「…………それもあるけど、干渉されるのが嫌だ」
言ったとしたら、毎日「奏ちゃんとどうなの?」とか聞いてきそうだ。本格的にウザい。
「零二くんが言いたい時になったら言えばいいよ。私はそれまで待ってるから」
奏は俺のベッドに寝ころびながら言う。そこに加えて、
「お代わり食べさせてくれなかったのはちょっとひどかったけど」
と、膨れ上がる。
「ごめんて」
「凹んでる私を零二くんはどう慰めるの?」
「慰める?」
「恋人がしょぼんとしてるんだよ?零二くんはそれをどう慰めるのかなーって」
ベッドに座り直すと、まじまじと俺の顔を見ながら言う。
奏のやつ、やけに積極的だな。そんなにお代わりの事を根に持っているのか。
ヒロインが落ち込んでいる時に、する行動といえば頭を撫でる。ラブコメの王道だ。
小っ恥ずかしいが、これ以上奏が不機嫌になるのは良くない。
まぁ、お菓子とジュースをあげれば機嫌なんてすぐ直るとは思うが、正直、俺も奏の頭を撫でたい。
行為の時、撫でたことはあるが、そっちの集中しててあまり覚えてないし感覚もない。
だから俺は、奏の横に座り、
「お代わりの件は悪かった。あと、母親に言うのはもう少し待っててくれないか?そんなには待たせないからさ」
頭を撫でた。
すると、奏の顔はすぐに茹で上がる。髪をかき上げた時に見える耳まで真っ赤だ。
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