第22話 ハンバーグだって!

「お泊りね~」


 俺は顎をさすりながらうなる。

 すると、奏は俺の顔を覗き、


「零二くんは私とお泊りしたくないの??」


 上目遣いと甘い声で攻撃してくる。


「べ、別に嫌じゃないけど」


 猛攻撃にやられながらも、俺は必死に耐えて答える。

 嫌なではない。むしろ嬉しい。


 だけど、次の日は学校で、それに親がいる。

 ヤッたりなんかしたら、次の日に起きれないかもしれないし、親に声が聞かれるかもしれない。

 色々とリスクがある。


「そう?なら良かった!」


「でも、何するんだ?」


「え?何が?」


「またゲームとかするのか?」


 まずはこれを聞いておかないと。最初からエッチするとか言われたら理性が持たなくなる。


 それで、親に勘づかれて多分俺の部屋の前にはゴムが2つほど置かれるだろう。そんな地獄絵図にはなりたくない。

 あくまでも普通のお泊りとして話を進めなければ。


「そう!前全然出来なかったらもっとやりたい!」


「ならいいんだが」


「次は零二くんをこてんぱんにするんだからね!」


「威勢だけはいいんだよなー」


「実力もありますから!」


 と、腕を曲げてポーズをするが、筋肉などなく、ただ白くハリのある二の腕があるだけであった。


 よくよく考えたら、奏が最初からソレ目的で泊りに来るはずがない。

 ただでさえ、顔にすぐ出る性格なのに。もしそうであったら、今にも煙が出そうなくらい真っ赤なはずだ。


「よし、なら家向かうか」


「だねだね~」


「ご飯はどうする?食べてくか?」


「ううん。零二くんのお母さんが用意してくれるって~」


「またやり取りしてたのかよ」


「うんうん!今日はハンバーグだって~!やったね零二くん!」


「お前の大好物なだけじゃないか」


 俺の親…………ノリノリになってやがる。

 平日のお泊りが珍しいだけでここまでやるなんて…………どんだけ奏の事大好きなんだよ俺の親。


 俺も奏の事は負けないくらい好きだけども。

 そんな事考えながらも家に向かう。隣駅ともあって、手を繋いで奏と話をしているとすぐに到着する。


 なるべく親とか会話をしたくないなこれ。なんか色々聞かれそうだ。

 でも、それは避けれない。どうせテーブルを囲んで食事をするからな。

 その前に、奏に地雷を踏ませないことに集中しよう。


 口を滑らせて「私達付き合ってるんですよ~」とか言ったらその場は修羅場と化す。

 加えて「それに………エッチもしました」とか言われたらカオス以外のなにものでもない。

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