第17話 結婚するの!

「零二くんさ、なんで私とその、付き合ってくれてるの?」


 歩きながら唐突に奏は聞いてくる。


「なんだいきなり」


「いやぁ~?気になっただけだよ~?」


「そうなのか」


 奏と付き合った理由か。


「教えてよぉ~、気になる!」


「気になると言ってもな」


 言うのは恥ずかしくないか?

 よくラブラブなカップルがお互いの好きなところを言い合ってるけど、見てるだけで小っ恥ずかしい。


 でも、キラキラとした目を向けると言わない訳にはいかない。


「まぁ、なんだ。可愛いし、性格はいいし、ずっと一緒にいるからかもしれないけど安心するし、天然なところも…………可愛い」


 前を向きながら、なるべく顔を合わせないように言う。

 赤い顔を見られると、興奮してるとか言われそうだ。あの時も顔真っ赤だったし。

 とは言いながらも、奏の顔を横目で見る。


 すると、茹で上がった顔を俯かせていた。

 いくら天然でも恥ずかしいんだな。まぁ好きな人に言われたら分からなくもない。

 俺も赤面しすぎて頭から湯気が出るであろう。


「そ、そうなんだ……………零二くん、意外に私のこと大好きだったね…………」


 と、頬を赤くしながらも俺の方を見て微笑む。


「ま、まぁな」


 その表情に、俺も少し顔が赤くなる。

 昔ならニコッと笑いかけられてもなんも感じなかったのに、今では愛おしいく感じる。


「ちなみに、私はずっと零二くんのことが好きだったよ?」


 後ろで手を組みながら、少し体を仰け反らせる奏。


「いつからだよ」


「うーん、幼稚園くらいからかな」


「超昔やん」


「だってさぁ~?零二くん昔から優しいし、私の傍にずっと居てくれるし、好きにならないわけがないじゃん」


「そ、そうか」


「それに、零二くん言ってくれたもん!将来結婚しようって!」


「んなことまで覚えてるのかよ……………」


 確かに言ったかもしれないけど、それはよく子供が言う口約束でピュアだからだろ。

 よく、指切りげんまんで約束するやつ。


 どうせ、小中と上がっていくうちに段々と話さなくなって終わる。約束のことすら覚えいない。

 誰しもが経験したことがあるだろう。


 付き合うとかの概念がない。ただ好き同士ってことだけのピュアな時に。


「だから!私は零二くんと結婚するの!」


「唐突だな」


 結婚か。よく高校生カップルが「結婚しようね」とか言ってるけど、大体はそうゆうカップルほどすぐ別れている。


 まぁ、他の男子にも目移りしないピュアな奏となら全然あり得る話だが。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る