第16話 放課後
「んん~っ!今日は天気いいね!どこ行こっか」
「それ朝言うセリフじゃないのか?」
月曜日、学校終わりの放課後。俺達は正門をくぐっていた。
「朝も言ったじゃ~ん、でも今も言うの」
「………そうですか」
「零二くん冷た~い、手も冷え冷えだよ?」
「心はあったかいんですー」
「それは納得だね」
学校の最寄り駅まで手を繋ぎながら歩いて行く。
恋人になったんだ。これくらいは普通のことだ。
奏と付き合った事を友達に行ったら引くくらい驚かれたし、2言目には「ヤれないじゃん」と真顔で言われてしまった。
既にヤってるんですけどね。ロマンティックな始まり方ではなかったけど。
「零二くんはどこ行きたいとかある~?」
繋いだ手をルンルンと振りながら、腰を曲げて俺の顔を覗き込んでくる奏。
これが本当に俺の彼女なのか。
今までは幼馴染、中学2年くらいまでは異性としては見てなく友達として見ていた。
ボディータッチは多いし、ずっとくっついてるし、いつも一緒だからな。
だが、思春期ということで徐々に意識すると、奏の女子の部分に目が行ったり、可愛いと思う事が多々あった。
恋人になった今、それが何十倍にも強く感じる。
とにかく可愛いし、合法的に女子の部分を見れるとなるとなおさらだ。
あんな豊満な双丘を見せつけられたら我慢できるわけがない。
「行きたい所かー、今からだと映画とかがいいんじゃないか?」
「いいね映画!見たいのあるの?」
「いや、近いしちょうどいいかなーって」
「だね!手を繋いで映画見るの素敵だよね~」
「付き合う前から手繋いできてたじゃねーか」
「それは違うよ!始まる前暗くなるのが怖いだけだし!」
「あとホラー映画の時は大体俺の肩に顔うずくめてるし」
「それも違う!まだ恋人じゃなかったし。それが一番の違いだよ」
人差し指をピシッと立てながら言う奏。
確かに言えてる。
これまで普通にしてきたことが、付き合った事によってちょっとのことでも意識してしまう。
奏も同じように思っているようだ。
「映画か~、なんかホントにカップルって感じだね」
スキップしながらはにかむ。
「まぁ、実際付き合ってるしな」
「そうだね、私にとっては夢みたいなことだよ~」
「でも現実だろ?」
「うん!夢みたいな現実!」
「なんだそれ」
「さいこうってことだよ!」
「最高だな」
幼馴染と付き合うなんてアニメでしかありえないことだと思っていた。
ましてや天然な幼馴染だ。
恋愛にも異性にも無頓着で、何もかもが無知。いくらこっちが意識したって無駄だと思っていた。
でも、奏は案外「好き」とか「恋人」などの純粋な事は頭の中にあった。だから俺とも付き合えた。
コンドームで繋がった俺達とはいえ、結果オーライだな。
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