第13話 ………恋人になろ?

 ゴクリ、っと俺は喉を鳴らす。

 これ、許可が出たってことだよな?そうだよな!?

 でもちょっと待て。落ち着け俺。


 このままだと、雰囲気に流されてヤって後々後悔するかもしれない。

 それに、奏が知識不足なのも否めない。

 男の勃ったアレをマッキーペンと言って信じるのは重症過ぎる。

 全て俺が教えるのも、気が引けるし、盛り上がらない。


 初々しいのはいいのだが、ある程度やり方を覚えてからでも初々しさはあるだろう。

 しかも、最初から本番はハードルが高すぎる。

 いくら一緒に居て、添い寝することやくっ付ていることがあっても、本格的なハグやキスなんてしたことがない。

 しかも、今は“まだ”ただの仲がいい幼馴染だ。


「ちょっといいか!」


「う、うん」


 赤面する奏の肩を掴む俺。


「俺もその、シタい気持ちはある。でも、そうゆうのはちゃんとしなきゃいけないって言うのがあって、だから――んっ―!?―――」


 言いかけた刹那、俺の口は止まる。

 故意的に止めたわけではない。

 俺の唇には、目を><と瞑った奏の唇が重なっていた。

 そして、そっ糸を引きながら顔を離す奏は、


「なら…………恋人になろ?」


 両手を握ると小首を傾げて聞いてくる。

 その表情に、俺は顔が茹で上がる。

 恋人。恋人になれば確かに合理的な理由でエッチが出来るだろう。


 天然な幼馴染とラブコメになるはずがない。

 つい先日まではそう思っていた。

 だが、その時が来てしまった。


「奏」


 俺は奏をベッドに押し倒す。

 重なり合う火照る体。緊張と恥ずかしさからか、目を背け、口元を手で覆う奏。

 心臓の鼓動がよく聞こえる。全身が以上ない速さで脈打っているのが分かる。

 それは奏も同じであった。

 ジッと彼女を見つめていると、


「零二くん…………きて//」


 両手を広げ、赤面しながらもこちらを見つめくる。

 はだけちゃパジャマから見えるブラジャーが今までの何倍も俺を興奮させた。

 言われるがまま、俺は再度奏と唇を重ねた。


 枕元にコンドームを置いて反応を楽しもうとしてただけの、不純極まりない始まり方をした幼馴染とのラブコメ。


 だけど………………


 案外悪くない幕開けであった。


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