第7話 こうゆう所は素直で可愛い

 マジで天然で助かった。

 こういう時だけは、天然で良かったと思う。それ以外は嫌でしかないが。

 どっちかというと、性知識に関して天然というよりただの無知だと思うが、どっちにしろ今回は助かった。


「とりあえず、俺の上から降りろ」


 このままだと、マッキーペンが脈打ってるとか言われて詰みそうだ。


「そうだね、マッキーペンが零二くんのお腹に刺さったままだと困るもんね」


 ハッとした顔を浮かべると、奏は俺の上から急いでどく。

 マッキーペンは俺から生えてるものだけど、そんなこと口が裂けても言えない。


「早速始めるか」


 何事もなかったかのようにスマブラを起動すると、対戦画面へと移動する。


「よ~し、零二くんのこと倒しちゃうぞ~!」


 キャラクターを選択しながら、フンスと鼻を鳴らして意気込む奏。

 自信満々なのはいいけど、毎回俺にボコボコにされてるよね?


 そんでもって、リアルで攻撃を仕掛けて、俺をボコボコにしてるじゃないか。

 連続コンボを決めたら、くすぐりと胸のコンボをしてくるし、一撃で沈めたら胸に顔を沈めさせてくる。


 ゲーム開始になると同時に俺たちはコントローラーを動かす。


「いけいけいけ~!」


 奏はゲーム内のキャラとシンクロして、自分の体をクネクネと動かす。


「チっ、なんだ上手くなってやがる」


「そうだよ~、零二くんの陰に隠れてコッソリ練習してたからね~

 」

「ゲームごときで練習すんなよ」


「いいじゃん~!私の夢は零二くんに圧勝することなんだからさぁ~」


「それより勉強しろよ」


「それは……………ゲームで勝ってからにしようかな?」


「なら一生無理だな」


 ダメージを削った俺は、奏を一気に畳みかける。


「うわ~~!なんで負けちゃうの~!あんなに練習したのに~!」


 ゲームセットになると、後ろに倒れ込みジタバタと暴れる。

 こうゆう所も、奏は天然というか素直でいいと思っている。


 だって、可愛いんだもん。

 普通の女子より100倍は可愛い。


「零二くんもう一回!もう一回だけだから!」


 人差し指を立て、もう一回戦と懇願してくる奏。


「それ、勝つまでやるだろ」


「ん~?バレた?」


「まぁいい、今日は夜更かしするんだろ?」


「そう!絶対に勝つまでやめないから!」


 ビシっとその人差し指を俺に向けると、意気込む。

 この流れ、あと2時間もすれば睡魔がくるのだろうけど、それまでは付き合ってあげるとするか。


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