第4話 無知な男キラー

「零二くん今日も泊りに来たよ~!!」


作戦実行の日が来た。

土曜日、夕方の5時に奏はピンクのパジャマ姿で現れた。


「毎週毎週飽きないのか?」


「飽きないよぉ~、零二くんと居るだけで楽しいんだから~」


「そうですか」


と、俺は呆れた顔をしながらも奏を家へと上げた。

毎週泊まりに来ると、流石に飽きるが今日は違う。


寝る前、あいつが部屋から出た瞬間に枕元へとコンドームを置く。


そして、どんな反応をするのかを見る。

あわよくば、そのゴムを使ってエッチまで持っていけるかもしれない。


まぁ、そんなことはないだろう。

なにせ、あいつは高校生にも関わらず無知だ。


下ネタすら意味が分からないのなら、コンドームなんか尚更だろう。


「よぉーし!ベッドへダイブ!」


階段を駆け上がり、俺の部屋に入ると、ベッドに頭から飛び乗る奏。


「おいやめろ、自分で布団ひけ」


「ちょっとくらいいいじゃーん、零二くんのベッド柔らかくて気持ちいいんだもん」


ゴロゴロとベッドの上を転がる奏だが、その度に揺れる胸の方がよっぽど柔らかいと思う。


「いいからさっさと降りろ」


マットレスを持ち上げ、奏を床へと落とす。


「厶〜っ、零二くんのケチ」


プクッと頬を膨らます奏に、


「お前だって自分のベッドに他人が寝っ転がられるのは嫌だろ」


「それは知らない人だったらやだよ?変なおじさんとか。でも友達なら全部おっけー!零二くんなら大歓迎だよ〜!」


「歓迎するな」


「あうっ」


頭をチョップすると、目を><とさせながら頭を抑える。

異性のベッドに寝転ぶとか、完全に誘ってるだろ。


しかも無防備に空いた胸元から谷間が見えてるし、お風呂上がりなのか、体は少し火照っていて髪だって少し濡れて色気がある。


そんな幼馴染で尚且つ俺のことが大好きな美少女が俺のベッドで寝転んでる。


誘っている以外のなにものでもない。

その意味を知らず、純粋な気持ちでやってる奏はある意味男キラーだな。


理性という理性を破壊しようとしている。


「まーいーや、お布団ひこー」


諦めた奏は隣の部屋にある来客用、もう半分自分のものになっている布団を取りに行く。


「ったく、最初からそうしろよ」


部屋から出る奏の後ろ姿を見ながら、ベッドに腰掛ける。

すると、先程まで無かった甘い香りが鼻腔をくすぐる。


これも、無知な男キラーの屍というやつか。

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