第2話 講義にて
ドアを開けて教室に入ると教室内は昨日のニュースで持ち切りだった。いつにも増して騒がしい室内で後ろの席に1人で座っている友人を見つけ、隣に座る。
「おはよう汐梨ちゃん。」
「おはよう、健くん」
スマートフォンをいじっていた東汐梨に挨拶をして席に座る。
「昨日のニュースでの話題でいっぱいね。」
スマートフォンを机に置いてそう話かけてきた。
「まあ、そうだね。結局嘘なんじゃない。」
汐梨ちゃんは少し考えて、喋り始めた。
「本当に嘘なのかな、そんな話緊急のニュースで流れたりするのかな。」
「え、何で?エイプリルフールなんじゃない。」
「エイプリルフールは大分先でしょ。」
「というか何でそんな話しになるんだっけ?」
「健くん、ニュースの内容見てないの?」
汐梨ちゃんはため息をつき呆れた様子だった。昨日は正孝の電話が終わって直ぐに寝てしまいそのまま大学に来ていたので詳細は気にしていなかった。
汐梨ちゃんはスマートフォンのニュースを見せながらポツリと話し始めた。
「隕石が衝突するらしいよ、3年後に。」
ネットニュースをスクロールしながら説明する。
「誤差はあっても大体3年後には地球に衝突するらしい。」
現実味の無い話だというのが正直な感想で、特に思うことは無かった。
「さながら昔々の恐竜の気分だね。」
「恐竜は自分たちが滅びるなんて思いもせずに過ごしてたと思うど。」
「じゃあ今の人類の方が不幸ってことだね。」
ちらっと腕時計に目を落とすと時刻は9時を少し過ぎていた。数秒後に教授が教室に入って来た。「遅れてすいません。講義始めます。」と教授はおっしゃり講義が始まった。
「そういえば正孝来てないわね。」
確かにと思い、辺りを見回すが姿は見えない。
「まあ、いつも通りでしょ。どうせ後半に来るよ。」
「一応連絡入れておくね。寝てるかもしれないけど。」
「寝てたら今日は来ないね。」
講義は本格的に始まり、僕も汐梨ちゃんもいつも通りに講義を受け集中していた。
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