プロローグ 黒羽瑠奈

8月の真ん中。暑さで目を覚ました。

「あっつい」

眠い目を擦りながら上半身を起こす。

2階から降りる途中朝ご飯のいい匂いがして少しだけ目が覚める。


「おはよう〜」

「おはよう」


母親が返事をするがあまり愛想がない。まぁこの家の落ちこぼれの私には興味がないのだろう。

まぁその点では不満はないが、、、。

それに慣れてしまってこんなにも何も感じなくなってしまっている自分が怖い。

「まぁまだ準備してくれるだけマシか。」

少しため息をつき自分の準備を始める。

少し寝癖がついていて直すかどうか悩んだが直すことにした。

コンタクトを入れ前日に準備していたカバンを持ち家を出る。


「行ってきま〜す」

「。。。」


まぁ返事はない。

最寄り駅から電車に乗り学校に、向かう。

私は学校では目立ちさえしていないが学校内では有名なほどの隠れ美少女として有名らしい。

勉強もそこそこ出来るのでそこも含まれているのだろう。

まぁそんなことを言われて悪い気はしないので特に何も言うことはない。

色々言われることもありそこそこ、友達も居る。


「瑠奈〜〜」

「何よ。」

「あんたさ〜また男子振ったの?」

「え?私振ったっけ?」

「はぁ〜またあんたは無自覚なのね!分からないわ〜これだから可愛くて綺麗な少女は!」

「それやめて」


久住小春。私の幼なじみ?なのかもしれない。

小さい頃の記憶はあまりないから一緒に居たかも分からないが小春がそう言うならそうなのだろう。まぁそこら辺は興味が無い。別に今友達でこうして楽しく喋っているのだからいいだろう。

大体は小春と喋って1日が終わる。

今日もその1日だったはずだった。

何故か今日は放課後急に降り出した雨のせいでなんだか気持ちが落ち込む。

電車が止まっているというのを小耳に挟んだのでどうしようかと考えている矢先に駅まで向かっているとたまたま横を大きなトラックが通った。その時

バッシャーーーーーーン!!!!!


「あぁもう最悪なんだけど、、、」


漫画やアニメでみるような水のかかり方をした。

傘も差す気も失せる。

なんか今日は心まで暗くなっているのかもしれない。

もう今日は夜遅くに帰ろう。どうせ怒られない、気にもされないのだから。

傘は一応差し駅の反対方向に歩き、たまたま見つけた公園のベンチに座る。ここら辺なら誰も居ないだろう。

「傘もいいや。今日ぐらい悪いことしよ。」

そんなことを呟いてどのくらい経ったのだろう10分くらいか。

少し雨足も強まりさすがに差そうとした瞬間だった。

私の前には少し見覚えがあるようなないようなそんな同じ制服の生徒が立っていた。見覚えがあるかは分からなかったが同学年の子だということが分かった。


「ねぇ君何してるの?」


そう言われて私は何故か心が苦しくなって

あなたを見つめることしか出来なかった。


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