雨時々君
@Mammga
第1章 出会いの天気
プロローグ 御子神希
八月の真ん中。私は暑さから目を覚ました。ふと足元見ると掛け布団が丸まっている。
「あーくるまってたいのに」
そう心の中で愚痴を零すとメガネをかけベットから足を下ろした。
私の家には今は両親が居ない。
俗に言う共働きと言うやつだ。小中学生の時は登校するまでは家に居たが高校生なれば料理にも慣れ家事も出来るようになったので平日は全く顔を合わせないほど時間が合わなくなった。
いつものように朝ごはんを作りテレビをつける。
スマホをいじっているがテレビの音が無いと少し寂しい。ふとテレビを見ると綺麗なアナウンサーの人が映っていたから耳を傾けてみた。
「今日は大雨の予報でしょう。場所によっては冠水などの被害も出そうです。皆さん気をつけて下さいね!それでは今日も良い1日を!!」
「ありえないでしょ」
私は思わず口に出して呟いてしまった。
朝ごはんを食べ終わりいつもの通りに支度し
「行ってきます。」
誰も居ない家に挨拶をする。
「あっそういえば雨だのなんだの言ってたな。」
一応傘を持ち家を出る。自転車に跨り今日のやっていない宿題のことや今日の夜の献立を考えながら学校へのペダルを漕ぐ。
学校までは20分ほどで着いた。珍しく献立が浮かばなかったがまぁいいとして靴を履き替えクラスに入る。
「昨日のテレビ見た〜?」
「見た見た!!」
「塩田くんかっこよかった!」
「あのシーンのさ~」
そんな会話が耳に入るが私は入る気がない。というか話す友達がいない。別に私は話すのが嫌いとか苦手とか人前に出れないとかは全くないが話すのが無駄と思っている人間だから話したくないだけだ。だからいつも本を読み勉強をしている俗に言う「陰キャ」だ。
でも案外私はこの立ち位置を気に入っている。
誰とも話すことなく安心して1日を過ごしきった私はクラスを出る。
靴を履き替えていると外から音が聞こえる。
「最悪!!!」
「今日持ってきてないよぉ!!」
そんなつまらない会話をしているからだ。
そう思うが心に留め傘を持ち外に出る。自転車に跨り帰っているといつもの道のマンホールが浮いていて怖かったので遠回りした。
公園を横切るとき同じ制服の女の子がベンチでびしょ濡れになって座っていた。同級生かも分からないし私には関係ないので帰ろうと思ったが次の瞬間には女の子の目の前に自分は立っていた。
よく見ると中々の美少女だ。
聞こえないように少しため息を吐く。
「ねぇ君何してるの?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます