9/30 「お姉ちゃんってどんな仕事してるの?」
9月30日。早くも9月の終わり。
午前中。今日は『羊たちの沈黙』を見た。一度見たことのある映画だったけれど、再度見てもやっぱりいい。話の構成のスリリングさもテーマとタイトルの交差も面白いところだが、何よりハンニバル・レクターのダークな魅力。知性と狂気が同居した独特なキャラクター性にすごく惹かれる。現実でも創作でも、私は頭のいいひとが好きだ。
午後の早い時間に感想を書き終わり、午後は母に誘われてドライブに出かける。とはいっても、運転するのは母。早く運転したいのだけれど、心療内科が10月8日にあるので、それまで様子を見ようと言われている。
ドラッグストアでお菓子を飲み物を買い、いつもの海岸へ。今日は日差しが弱いからか、海の色がきれいなアイスブルーだった。
色んな話をした。母の過去のうつの話。母が家を出てから、いつも残してきた子供のことで魘されていたこと。だから今、頼ってもらえてうれしい、ということ。たくさん甘えてね、と母には言われた。
仕事についても相談した。今の自分を客観的に見たら単なる無職である。ニートである。「仕事をしていない」という状態はそれだけで劣等感につながる。けど、今社会復帰をして、ちゃんと働いていける体力と気力があるか、自分でもわからない。
とはいえ、である。衣食住は確保されているのはいいが、自分で自由に使えるお金がほしいし、本当なら今すぐにでも仕事を始めたい。
だけど、この島で働けそうなところは、車で1時間近くかかる市街まで出ないとなかなか見つけられない。私が自由に使える車はないので、毎回送り迎えが必要になる。それは現実的じゃない。
そこで、ネットを通じてできる仕事を探してみようかと思っているが、ネット環境は十分とは言えないし、どうしたらいいのかわからない。
「今は焦らなくていい」と母は言うだけだった。「今は、休む時期だから。自分の身体とか精神のことを知る時期だから」と。
そうか、と思いつつモヤモヤしていたところへ、夕飯時、妹が直球を投げ込んできた。
「お姉ちゃんってどんな仕事してるの?」
チビたちに、病気のことは言っていない。「お姉ちゃんはこっちがよかったから帰ってきたんだよ」としか伝えていないらしい。だからチビたちは、私が仕事をしていると思っている。
仕事してないんだよ、とは言えず、内緒、と濁した。
つらい。
今の自分の立場が。恵まれている状況に甘んじている自分が。周りの人はがんばって仕事をしているのに、ただ毎日をだらだらと過ごしている自分が。それでいて前に踏み出す勇気も気力もない自分が。
つらい。
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