第52話 第二回戦
転生112日目の昼。
〈エド視点〉
俺はマリアさんを助けて冒険者ギルドへ送った。他の住民も逃げ込んで来ている人がいた。
俺とギルド長のやり取りを知っている受付嬢を見つけて、マリアさんの保護をお願いしておいたので大丈夫だろう。
・・・・
そして俺は南門を目指して走った。
俺が南門へ到着すると門は破られていた。ただ、それにしてはモンスターの侵入が少なかった。
南門の内側では、冒険者達がモンスターを討伐している。
南門の外へ出ると南門を中心に冒険者達が扇状に対置されて、モンスター達と戦っていた。俺はその中に分身2人の姿を見つけると彼等に近づく。
「遅れてすまん。マリアさんは無事だ!危なかったがどうにかなった。それで、こっちの状況は?」
「おお、それは良かった。こっちの状況は、門の内側を制圧して、門の外側へ前線を押し返し始めた所だ。」
「お前も同じ対応で良いと思うが、あそこにギルド長が居るから一応確認して来い。」
分身が指差す方を見ると、ギルド長が最前線でモンスターを倒していた。
俺はギルド長の所へ駆け寄る。
「遅くなってすまない。とりあえず、ここでモンスター供を倒せば良いのか?」
「おお〜、エドか。お前は俺の代わりにこの場でモンスターを倒してくれ!俺はちょっと暴れ回って来る!」
「…わかった。この場は任せておけ。」
「頼むぞ!」
ギルド長はそう言うとモンスターの群れへ1人で向かっていく。ゴブリンが5匹一斉にギルド長へ飛び掛かる。ギルド長は剣を2振するとあっと言う間にゴブリン5匹を葬り去った!
オークやウルフはギルド長に向かって飛び掛かるが、あっという間に切り倒され動かなくなった。流石、冒険者ギルドを任される事はある。
しかし、暫くすると事態が急変した!
ギルド長が俺の方へ吹き飛ばされてきた。
「っぐ。」
ギルド長は致命傷を負っていないが全身怪我をしている。そんなギルド長の元へ俺と冒険者達が駆け寄る。
「何があった、大丈夫か?」
「……手練れを可能な限り集めてくれ!亜種のブラックウルフが出た。ここでどうにかしないと……町中で暴れられると手におえないな。」
数名の冒険者が急いで町中へ戻って行く。
そして、俺はギルド長が弾き飛んできた方に顔を向けると……数日前に戦った奴がいた。前回、分身がボロボロの状態で戦って完敗だった。が……、今回はほぼ万全の状態でしかもあの時よりも大幅に力を付けている。
「ギルド長、あいつは俺に譲ってくれ!ちょっとこの前世話になったんだ、その借りを返すわ!」
「っな、何を言ってるんだ!俺がここまでやられた相手だ!お前も少しは強いのだろうが、1人でかなう相手じゃない。みんなで協力して、退治するしかない!」
ギルド長が必死に説得をしてくる。
「どうせ、みんなが集まるまで時間を稼がないといけないんだ……それを俺がやると思えば良いだろう?それに、本当にヤバイと思ったら、直ぐに戻って来る。」
ギルド長はエドを1人で行かせて良いのか迷っている様だ。
「まあ、無理はしない範囲で行ってくる!」
俺はそう言うと、ブラックウルフの亜種へ向かって走り出した。後ろで何か騒ぎ声が出ているが、聞こえない事にする…。
目の前に数日前に世話になったブラックウルフがいる…。余裕の表情でこちらを見ている。
「ようイヌッころ。この前は世話になったな!今回は全力を出せるから、この前の借りを返すよ……じゃあ楽しもうか!」
俺とブラックウルフとの第二回戦が始まった。
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