第40話 驚異的な飛躍のキッカケ


俺が配置されたのは、モード町の東地区だ。


最も被害が出るだろうと言われている。そのため、半数以上の戦力をこの東地区へ集めている。




昼前。


東地区の第一防衛ラインには、多数の騎士団と冒険者が待ち構えている。その中に俺も配置されている。


東地区の冒険者リーダーは『双剣』の二つ名を持つ金プレートのスワイクだ。スワイクのPTメンバーも参戦しており、東地区は盤石な体制となっている。金プレートが6人もいる。



「いよいよだな。」


周りからは、「うおぉーやってやるぞ。」「掛かってきやがれ!」などとの自分を奮い立たせたり、互いに鼓舞し合う様な言葉が飛び交う。


そして・・・

森から夥しい数のモンスターが出てくる。種類も様々だ。統率されていない、烏合のモンスターの集団である。







目の前にウルフの大群が迫ってくる。それと同時にどこからともなく、無数の矢と魔法が飛んでくる。


迫ってきていたウルフの大群は、次々と倒れていった。その光景を見た冒険者達の士気が上がる。


こういった光景が3度ほど続くと、冒険者達のボルテージも最大限となる。


そこへ『双剣』のスワイクが皆の前に出る。


「魔法と矢は一旦打ち止めだ。ここからは、俺達冒険者が前半を受け持つ!気合を入れてモンスター共をブチのめすぞ!!行くぞー。」


「「「「うおおお〜〜〜。」」」


一斉に無数のモンスターと冒険者達の戦闘が始まった。


そう、スタンピードは夜間問わずに引っ切り無しにモンスターが攻めて来る。そのため、冒険者と騎士団とで交互に防衛を行う算段になっていた。


俺もこの流れに乗って走り出し、で戦闘を行う。魔法は温存である。


最前線には配置されずに、前から3列目ほどにいる。2列目から漏れたモンスターを流れるような動きでバッタバッタと倒していく。


俺自身もある程度の力が付いてきているので、こんな緊急事態にわざと力を隠す必要も無いと思っている。逆に力を示して、今後絡まれるリスクを極力減らしたい。


2時間が経過した・・・。


俺の周りには無数のモンスターの死体が横たわっている。200体以上は越えているだろう。


近くで戦っている冒険者は、最初こそ「銅プレートがこんな前で大丈夫か?」などと話していた。しかし、この光景を目にして以降は、何も言ってこない。(俺にとっては、別にどうってことないが、体力の消耗はする。)


流石に鉄の剣もボロボロになっており、取り替えに後ろへ戻ろうとしたとき。


「こ、これを使って下さい。」


見知らぬ女冒険者が俺に新しい鉄の剣を渡してくれた。歳は俺と同じくらいだろうか。


「あ、ありがとう。」


その剣を受け取って、軽く素振りをしておかしな点が無いか確認する。問題なさそうなので持ち場へ戻ろうとしたら、近場の冒険者から声が掛かった。


「なあ、お前は最前線へ行ってくれないか?あと1時間もすれば、騎士団との交代になるのだが、それまでこの先頭の奴らが保たなそうだ。」


「・・・ああ、わかった。でも、俺なんかで良いのか?」


「・・・このモンスターの討伐数を見れば、誰も文句を言わないだろう。悔しいがここいらだと代われそうなのが、お前しかいないよ。」


その冒険者は俺の肩を軽くポンポンと叩いて、「よろしくな。」といって送り出してくれた。


「責任重大だな・・・。」


腰のポーチに手を突っ込んで、水を取り出して喉を潤す。


「ふぅ〜〜。」


一息ついてから前線へ歩いて行くのだった。



・・・・



「よう、交代だ。俺はエド。暫くの間、俺がこの場を受け持つから、あんたは後方で休んでいてくれ!!」


「・・・ありがたい。3列目で頑張ってたみたいだが、最前線は大変だぞ。気を抜くな!」


「わかった。せいぜい死なないように頑張るわ。」


そう言って、モンスターたちへ向かって走り出した。




◇◆◇◆◇◆




モード町の東地区での戦闘が開始された時間帯、1は森の中にいた。


北のアイスラン町へ向かうモンスターをなるべく減らすために森の中で戦っている。既に400体以上のモンスターを倒した。


剣術だけじゃなく、魔法も織り交ぜて戦いを繰り広げている。流石に1人なので、魔法も使い牽制しながら、戦っている。





このもう1人の俺は、で作り出している。3日前の『ガチャ』で、『ネコニンジャ』を獲得したのだ。


『ネコニンジャ』。50cmほどの可愛らしい黒ネコちゃんが、ニンジャの格好をしている。


可愛いいだけじゃなく、このネコニンジャは忍術スキルを使える。これは、遠藤の記憶の影響だろう。この世界に忍者はいないからだ。


俺の前世の記憶とスキルがマッチした召喚獣なのだろう!


なので、少年ジャンプの忍者マンガNARUT◯に出てくる様な分身の術が使えた。まだ分身を出せる数が少ないが、かなり使えるスキルである。



この3日間の検証の結果。


分身の能力値は、自分の能力値がベースになっている様だ。なお、分身スキルを使って2人になったからと言って、能力値が50%、50%の2人となる訳ではない。


能力値が「増加人数×10%」減少する感覚だ。


1人だと、100%。

2人だと、各々90%。

3人だと、各々80%。


この様な感覚だ。

正確な数値では無いだろうが、大体の感覚はあっていると思う。




魔力に至っても、能力値と同じ様な感覚である。


また、嬉しい事に分身で培った経験は、。これには、凄く可能性を感じた。


俺の前世の記憶をベースに忍者スキルが成り立っているなら、お分かりの人も多いだろう。


マンガのNARUT◯では、多重影分身の術を使って、技の特訓をしていた。それと同じ事が出来るのである。


つまり、分身スキルで5人になって、剣術の稽古をしたと仮定する。その場合、1人のときより5倍のスピードで成長するのである。


魔力の場合もほぼ同様である。ただ、単純に人数がそのまま倍率にはならないが、驚異の成長スピードである。


魔力の場合は、分身数が多くなるに連れて能力値が減少する。その為、この様になる。


2人の場合、90%×2人=180%の総魔力量。

3人の場合、80%×3人=240%の総魔力量。

4人の場合、70%×4人=280%の総魔力量。

5人の場合、60%×5人=300%の総魔力量。

6人の場合、50%×6人=300%の総魔力量。

7人の場合、40%×7人=280%の総魔力量。


となる為、魔力量を鍛える場合、5人〜6人で鍛錬をした方が最も効率が良い計算だ。



そして、この3日間で大きく成長する事ができた。




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