第39話 迫りくる恐怖
転生101日目の朝。
<???視点>
モード町の森の奥深く。
「ククク。大体の仕込みは完了してきたな。あと、数日もすれば、準備も整うだろう。」
???の手には、黒い結晶のような塊が握られている。それを地面に置き、何か呪文のようなものを唱え始める。
5時間ほどその呪文を延々と唱えていると・・・次の瞬間、黒い結晶から黒い霧みたいなモノが立ち上る。
???の額には汗が滲んでいる。
「ふうぅ〜〜〜〜〜〜。今日は、ここまでだな。」
暫くするとその黒い霧から、ウルフ系のモンスター達が一定周期で生まれるのだった。
次の作業に移るか・・・。そして、その場を離れた。
◇◆◇◆◇◆
<エド視点>
南の森にはそれほどの異常が見れなかったが、東の森の影響を少なからず受けている状況だ。
今まで生息していなかった、獣系やリザードマンなどの人型のモンスターの個体も発見された。
既存のモンスター数も増えており、かなり危険な状況なのは明らかだ。
魔力溜りによるモンスター異常発生の影響は、東の森から北へ向けて広がっている模様だ。
そうなると、モード町だけではなく、北のアイスラン町へも影響が出るのは時間の問題だ・・・。
モード町を守るか、アイスラン町を守るか・・・選択を強いられる可能性が出る。
冒険者ギルドでも
・武器、治療薬、食料の確保
モンスターとの戦いへ備えて、なるべく良い武器を用意している。命を賭けて戦うので、十分な用意は必要である。また、遠距離攻撃が出来るように、弓などを用意している。
・町の防衛体制造り
モンスターは一気に雪崩の如く攻め入って来るが、町を攻め滅ぼそうとしている訳ではない。もちろん、人間達を食料として見ている面はあるだろう。ただ、防衛線を引いてある程度持ち堪えれば、違う場所へ走り去っていく。その為に数日間持ち堪えれば良い。
町を覆う塀の外側に柵を立てたり、穴や掘を作って、モンスターの進行を遅らせる対策をしている。
・モンスターの数を減らす対応
討伐隊の結成を行う。なるべく、スタンピードの規模を縮小させるためにモンスターの量を減らす。実際に規模が縮小したかどうかは、過去の出来事からでも分からない。しかし、モンスターを事前に間引く事でスタンピードの規模が小さくなると伝えられている。(何もしないで、じっとしているのも出来ないので、討伐しているのかも知れない。)
モード町にはアミノさんがいるので、最大限、町の防衛に協力するが、アイルラン町にも孤児院がある。
とりあえず、アイルラン町に『
既に冒険者ギルド同士では連携が図られているとは思うが、シキには冒険者ギルド宛の手紙を持たせている。
俺は、副ギルド長からの依頼を受けて、モンスターの事前討伐を受け持っている。毎朝晩の訓練もそっちのけで、対応している。
日に100〜200体のモンスターを狩りまくっている。フェアリーも参戦させて、消し炭になるモンスターも含めると、更に数は増える。
転生105日目の朝。
とうとう、時は満ちてしまった。
スタンピードが始まったのだ。
日々のモンスター討伐をしてもスタンピードを止められなかった。実は魔力溜まりの近くで黒い結晶を発見し回収している。しかも、2ヶ所発見しているので、スタンピードが止まる可能性もあると考えていた。
だが、そうはならなかった。こうなってしまったら、もうやる事は決まっている。スタンピードによる被害を最小限におさえる事だ。
・・・・
冒険者ギルドのホール。
ホールに入りきれない人まで合わせると数百人の冒険者が集まっている。
「〜〜〜〜という事で諸君、何としても町壁内にモンスターを入れないように死力を尽くしてくれ!お前たちの頑張りに住民の安全が掛かっているんだ!」
副ギルド長が冒険者の皆を鼓舞する。それに応えるように皆も応える。
「「「「オォー!」」」」
俺の実力は銀プレート相当と既に認められているが、実績のある銀プレートが多数いる。その為、俺が直々に副ギルド長に呼ばれて、個別に依頼を受けるような事にはならない。
何処かの小説の主人公辺りなら、町のお偉いさん達から個人的な依頼を受けるのだろう。俺にとっては、そうならない方が自由に動けるので助かる。
なお、今回の防衛線作戦は、騎士団と冒険者の混合チームで行われる。
領主が冒険者ギルドへ依頼を出す形であり、指揮系統は騎士団→冒険者ギルドとなる。ただ、冒険者達なので、その指揮系統通りに動くとは限らない。
事実、冒険者達も東西南北の4つのチームに分かれており、各々チームリーダーが配置されている。
各冒険者ギルドはそのチームリーダーの命令を聞く事が基本的なルールとなる。
今回の作戦の大方針は・・・。
①遠距離攻撃
可能な限り、敵が町壁に近づかせない。倒せれば良いが、最低限モンスターの進行を受け流せれば良い。受け流せれば、最終的にモンスターが散り散りになってスタンピードは自然消滅する。
②近距離戦闘
町壁外の柵でモンスターを迎え撃つ。今回、第3防衛ラインまで設定してある。この3つの防衛ラインを全て死守出来れば最高だが、難しいだろう。各々防衛ラインの放棄は、各チームリーダーに任されている模様だ。チームリーダーの力量次第って事だ。
そして、刻一刻とその時が迫る。
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