★グリフォンの翼③


必死に準備を行い、臨時参加PTまで求めて挑んだダンジョン探索だったが・・・また失敗に終わった。


先に臨時PTの2人が報告したのだろう。俺達が冒険者ギルドへ帰ると白い目をされた。


どいつもこいつも雑魚のくせしやがって。口から出そうになる言葉を飲み込む。


そんな中、ヤジの一つに耳を疑った。


PTなんかと全然違う待遇だな。ククク、いい気味だぜ。」


「っし、聞こえるぞ。もうちょっと小さな声で喋れよ。」


俺はそのヤジが飛んできたテーブルへ向かって走った。仲間達にも聞こえたのだろう、俺の後を追って来た。


「っおい。さっきの話は本当か!」


「ん?何だよさっきの話って?俺は何も言ってないぞ。」


相手は気まずそうな顔をしている。


「だからさっきクズ召喚士の話をしてただろう。その話だ。何が全然違う待遇なんだよ!」


「っぁあ〜〜。」


すごく罰の悪そうな顔をしていると、隣の仲間が語りだした。


「その話は、笑って悪かったよ。最近注目されてるシキって冒険者が、お前さんの元PTメンバーとツルンでいるようだったから、ちょっと口がすべっちまった。」


ホタンがその男の胸ぐらを掴んだ。


「っその話は、最近のことなのか!!」


「ああ、10日以上前の事だけど、シキって冒険者とお前さんの所の子エドと会ってるのを見たって言う噂を聞いたぜ。 なあ、これ以上は俺は知らん。手を放してくれ。」


もう一人の仲間がホタンの手を振り払うのを手伝う。ホタンも少し呆けており、簡単に手を放してしまう。そこへカレンが追加の質問を飛ばす。


「ねえ、その話って誰から聞いたの?」


「・・・すまねえな。そこまではちょっと覚えてねえな。どっかの酒場でそんな話を聞いただけだ。」


「そっか、わかったわ。ありがとう。」


そして、カレンが一つの提案をしてくるのだった。


「ちょっと、エドについて調べて見ましょう!!」


「「「おう。(うん。)」」」





・・・・・。



色々と調べるが、中々情報が集まらなかった。


しかし、シキとエドが一緒にいるところが東の森で目撃されている事が分かった。しかし、目的のエドはおらず最近、シキだけとのことだった。


だが、あいつが生きているとの事は確かなようだ。


そして、シキと接触を図ると、あの日の事を思い出す。そう!あの冒険者シキは、エドの召喚獣と類似しているのだった。


シキはマントを羽織っており、詳細までは確認出来ていないが、間違いなく、エドの召喚獣だ。





PTハウスで、俺達は集まっている。


「あの状況でどうやったか知らないが、確実にエドは生きていることが分かった。これからアイツをもう一度PTへ加えてどうにか今の状況を挽回するぞ。」


「そうだねホタン。そうすれば、今まで通りにダンジョン攻略を行って、元の暮らしに戻れる。それにあのシキとか言う冒険者がエドの召喚獣なら、もっと下の階層を目指せる!今まで以上の生活も夢じゃないよ。」


「ピットその通りよ。あのシキって冒険者まで加われば、鬼に金棒よ。まずは、エドを捕まえないといけないわよ。」


「そうなんだよ。最近のエドの目撃情報が全くない。冒険者のシキが消滅していないから、生きていることは確かだろうが、どうやって見つけようか・・・。」


「だが、あいつを見つけてPTへ戻せば、また立て直せるんだ。どうやってでも見つけ出せ。」


「「「おう。(うん。)」」」



それから、暫く俺達はエドの行方を探るのだった。


そう、あんな事になるとは知らずに・・・。





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