第31話 襲われた商人


転生60日目の朝。



昨日は冒険者ギルドでちょっといざこざが発生したが、何とかなった。銀プレートとは言え、訓練をサボっている冒険者なら俺の力は通用することが分かった。


この時俺は銀プレート上位ほどの実力があったと思う。金プレートはバケモノ揃いでまだまだ勝てないだろう。


だが、クズ職と言われる召喚士の俺は、一歩ずつ最強へ向けて階段を登っている。




俺が、穴熊亭の裏庭で朝早くから、訓練をしていると、昨晩同じキャンプ地で野宿をしていた商会が出発の準備をしていた。


同じ村で宿泊ということは、モード町まで同じなのだろう。それ以降、何処かへ移動するのか・・・それを想定するまで周辺地域の知識を今の俺にはない。



俺が朝食を取り終わる頃には、既に商会の人達は村を出ていた。


馬車による移動なのだが、大荷物なだけに移動が大変なのだろう。早めに出て次のキャンプ地に確実に到着することを目指しているのだ。



・・・。



俺は朝食を取ると、食料を多少補給して、足早に村を出た。昨晩のゴタゴタがあるので、冒険者ギルドには寄らずにだ。


特にあの後に何か宿に訪問客も無かったし、問題なかったのだろう。あったとしても、あの4人組が悪いことをギルド職員が証言してくれるばず。


最終的にお咎めはないだろう。と思っている。



・・・・。



昼過ぎ、これまで問題なかった旅に変化が起こった。


今朝、同じ宿に泊まっていた商会がモンスターの集団に襲われていたのだ。ゴブリンの集団だった。


モンスターの数は死体を含め10数体ほどだった。


ゴブリン10数体程度だけなら、護衛の銀・銅プレート混同の5人PTに取っては、問題ないだろうが。


問題は、その中にゴブリンナイトが存在していることだった。



俺がその場に到着した時には、最後の1人の冒険者がゴブリンナイトによって葬りさられた所だった。商会の一行は、全員がその場に倒れていた。


が、一箇所、ゴブリン共が4体が集まっている場所があった。馬車の影でよく見えなかったが、何をしているのか想像ができた。


そのゴブリン共は、武器を投げ捨てており、腰に巻いている汚い布を取っている最中だった。


「ギガガ」「グギギ」などと何かを話している。そして、空中で腰をカクカクする仕草をしている・・・。


不愉快極まりない。


ゴブリン2体はの両手足を押さえつけているようだ。


助けるなら、ちょっと急がないとな。






俺は、ゴブリン達へ駆け出す。それと同時にファイアアロー5本を出現させて、そのままゴブリン達へ放つ。


今の俺は、最大5本までのファイアアローを発動させる事が可能だ。だたし、数が多いとデメリットがある。消費魔力が変わらないが、1本づつのファイアアローの威力が落ち、命中率も下がる。


だた、今は一刻も早くゴブリンの殲滅が必要と判断して、攻撃する。5本中4本はゴブリンに命中し、命を奪う事に成功する。


ゴブリン達が俺の接近に気づき、こちらへ向く。


俺は、気にせずに走りながら追加でファイアアローを2本放つ。この2本は、勢いよく飛んでいき狙い通りにゴブリンの頭を撃ち抜く。


ファイアアロー2本同時までなら、40m以内の距離で100発100中である。



残りのゴブリン達は、立っているのが2体。後は、馬車の影にいる4体だ。


更にファイアアローを2本出現させて、立っているゴブリンを攻撃する。1体は倒すが、もう1体は攻撃を躱す。


ゴブリンナイトは、ファイアアローを躱すと俺に向かって、走り出してきた。距離があると、魔法で攻撃されると判断したのだろう。


上位種へ進化した個体だけあって、経験豊富である。そりゃ、冒険者も殺られるか・・・。


俺はショートソードを持ち、ゴブリンナイトへ向かって剣を振るうが、ゴブリンナイトはそれを受け止める。


鍔迫り合いで押し込まれることはないが、そこからゴブリンナイトの猛攻が始まった。


細かな剣捌きで、俺へ攻撃をしてくる。俺もその攻撃を剣術スキル、剣道の技術、日々の訓練で培った力で捌き反撃をする。


ちょっと、俺もこの時は焦っていて、リストバンドを外すのを忘れていた。リュックは走りながら投げ捨てた。


しかし、魔法攻撃をしていたので、リストバンドを外すまで気が回っていなかった。


一拍だけ、距離を取ることができ、利き手のリストバンドを引きちぎり外す。



ゴブリンナイトが詰め寄ってくる。俺はさっき迄の剣速とは段違いな攻撃を放ち、ゴブリンナイトを一刀両断した。


そして、馬車の裏にまわる。


ゴブリン達はあんなに戦闘音が聞こえているはずなのに、まだ俺に気づいておらず、目の前の獲物に夢中になっていた・・・。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る