第30話 結構なイケメン
<冒険者ギルド受付嬢視点の回想>
今日は夕方に初めて見る青年が冒険者ギルドを訪ねて来た。
結構なイケメンで身体つきも程よく筋肉が付いており脱いだら良さげだった♡身長は170cm程と私の好みとしては、もう少し欲しいくらいだ。ただ、成人仕立てらなまだまだ伸びる可能性がある。今後に期待だ。
「こんばんは。こいつを引き取って欲しいんだが良いか?」
「こんばんは。では、ギルドカードをご提示下さい。」
名前はエドくんって言うらしい。成人仕立てなのに既に
ただ、他から流れて来たなら、ここに留まるとは限らない。
「銅プレートの方ですね。討伐した対象は何ですか?」
「ハイラビット3匹とウルフ2匹だ。そのまま持って来ているから全部引き取ってくれ。」
「分かりました。では、あちらのカウンターの上に置いて下さい。確認をして査定を行います。」
エドくんは大きな袋を私が指定した場所へ置いて、中身のモンスターを並べてくれた。私はそれを他のギルド職員と運んで裏に行った。
そして、私がモンスターの査定で裏に行っていると、このギルドの害虫である4人組が選りにも選ってエドくんに絡んでいた。
変なことが起きたら、エドくんがこの村を選んでくれなくなるじゃない!!
「ちょっと止めなさい。その子に何かしたら、サブマスを呼びますよ!」
「っち分かったよ。」
エドくんの肩に手を回している害虫がそのまま自分達の席へ帰っていく間際に何か耳元でエドくんに話している。
確かにギルドの害虫ではあるが、銀プレートであり、そこそこの実力者だ。銅プレートがかなうような相手ではない。
何も起こらないに越した事はない。
「じゃあなぁ〜兄ちゃん。」
「ごめんなさいね。あの4人組には気をつけて!ちょっと素行が悪いのよ。関わらない方が良いわ。それとこれが報酬です。銀貨1枚と銅貨52枚となります。」
「忠告ありがとう。ところで、この辺の宿でオススメを教えて欲しいんだけど。」
「だったら、穴熊亭がオススメね。この村には3つの宿があって、一番高いけど確かな宿よ。あなたの稼ぎがあれば余裕よ。あの4人組は一番安い宿に泊まっているから、遭うことも無いわ。」
「そうか、ありがとう。これで飯でも食べてくれ。」
エドくんは、私が渡した報酬の中から銅貨を10枚ほど取って私へ渡してきた。「っえ!」何で?と驚いてしまった。
ただ、単に宿屋を教えた程度なら別に普通のことだし、銅貨なんて受け取れない。私が銅貨を返したが、彼は強引に私の手をそっと握って押し返してきた・・・。
そのまま、ちょっとポーっとしているとエドくんはそのままバイバイと手を振って去っていった。
「年下だけど、ちょっと良いかも・・・。」
そこら辺の冒険者には無い何か品がある。そんな事を考えていると・・・。
エドくんが例の4人組に絡まれてギルドの外に連れ出されてしまった。
私はすぐにサブマスターにこの事を伝えに裏に駆け出した。
「サブマス、大変です。さっき初めてこのギルドを訪れた冒険者が、イオンさん達4人に絡まれてます。ギルドの外に出たので、喧嘩になったら大変です。」
「・・・私も暇じゃないんだ。ただ、ギルドの外に出たってだけで、喧嘩になるって誰が決めた? それに、そんなの冒険者なら日常茶飯事だろ。いちいち、全ての事を仲裁していたらキリがない。」
「でも、相手は成人したての冒険者ですよ。この村に残ってくれるかもしれませんし・・・。」
「そんなの放っておけ!冒険者ってのは、何があろうと結局は自己責任なんだよ。こういった事は、そいつにいつれ訪れる。今回がその勉強だと思ってやれ。」
「・・・でも。」
「そんだけだ、わかったら、とっとと仕事に戻れ。」
そういって、サブマスは相手にしてくれなかった。確かに冒険者として、こういった同じ冒険者との関わりは少なくとも出てくる。
その時の勉強と思えば、町中でのことなら、最悪の事は起こらないだろう。だったら、良い勉強なのだろうが・・・。
エドくんだから・・・少しでもあの顔に傷をつけてほしくない。
私が受付へ戻って来る間約10分ほどだろうか。その間に何故か、外に出た3人の内1人が勢いよくギルド内に入ってきた。
「おい!た、た、助けてくれ〜。」
えらい顔をしながら入ってきたのを見て他の冒険者達は互いにゲラゲラと笑っている。
「なんだ?あの坊やにやられちまったのか?ブハハハ。」
「イオンも飲み過ぎなんだよ。ハハ。」
「何でお前だけ逃げ帰って来てんだ!お前も行ってこいよ!」
「イオンは気持ち悪くて吐いてるのか?ブッハ。」
「腐っても銀プレートだろ、どうにかしてこい。」
いろんな声が飛び交っている。私はちょっと理解が出来ていなかった。ただ、エドくんは無事そうだとの事だけは分かった。
「よかった。」
その後、ギルド内に残っていたもう1人の仲間と合流して、外に出ていくのだった。
暫くすると、重症のイオンさんを担いで入ってくる2人がいた。服はボロボロで、顔面も腫れている。顎が砕かれているようだ。もう1人は自分で歩いているが、頬がかなり腫れている。
それを見た冒険者達がシーンと静かになる。
「金は払うから、誰かポーションをくれ。それか、回復魔法を掛けてくれ。頼む!」
それから、イオンさんたち4人組は、おずおずとその場を後にしたのであった。
暫くすると、ギルドの脇の酒場は、またいつもと変わらずの賑わいを取り戻した。
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