第25話 襲撃 後半


孤児院に着いたが入口の扉はズタズタになっている。そして、外には3人の見張りが立っていた。



「俺も良い状態で女を抱きたかったぜ。アイツらの後だと絶対に壊れてるだろ。」


「俺もそう思う。ただ、かなりの別嬪と聞いてるから、壊れててもマシかもよ。」


「だったら、まともな状態で犯したかった。どうか神様俺の願いを聞き入れて下さい。女どもがまともな状態であららます様に。」


「何言ってんだ。お前が神様に祈っても願いなんて聞き入れてくれる訳ねーよ。」


「そうだ、日頃の行いを考えてから言え。」


「確かにそりゃそうだ。」


「「「ブハハハハ。」」」



カス達が下衆な話をしている。そこへ俺は向かって走り出した。


「何だお前は?ここは取り込み中だからあっち行け。」


「っち、止まらないなら、痛い目見るぞ。」


「・・・。」


俺は無言でそのまま走り続ける。盗賊共が剣を抜く。俺は拳に力を込めて手前の盗賊の顔面を思いっきり殴る。


ドゴッ。


盗賊の顔が半分弾け飛んだ。後ろの2人はその光景を見て、一瞬たじろぐ。俺はお構いなしに2人目の盗賊に蹴りをカマシ、3人目の盗賊に1人目が持っていた剣を拾って投げつけると首に刺さった。


盗賊の首に刺さった剣を抜くとそこから血が吹き出す。そして、2人目の盗賊が蹴られて苦しんでいる所を俺は剣で切り捨てた。


外の制圧が完了した・・・。


それでも、怒りが収まらない。


俺は玄関に入ると『忘却の騎士シキ』をこの場に召喚し、2階の状況を見に行かせた。盗賊を討伐するように指示も出した。


俺は玄関の広間を抜けてダイニングに入るとそこら中に物が散乱している。そして、5人の男が暇そうにテーブルに据わっていた。


ここでも、女の順番待ちをしているようだ。そんな会話をしていた。


「なんだてめぇわ!」


「外の奴らは何やってんだ!」


「ピィー。ピィー。ピィー。」


俺は、ファイアアローを3本出し、手前の盗賊共の顔面へ目掛けて放つ。一瞬にして、3人の頭に穴が空きそのまま絶命した。


そして、笛を吹いている奴へ向かって手に持っていた盗賊の剣を投げつけ仕留める。


俺は残りの1人の盗賊に対して、自分の剣を構えて一刀両断で叩き切る。


そこへ、剣の振り下ろしを狙われてダイニング奥の料理場から盗賊1人が俺へ斬り掛かってきた。


一瞬反応が遅れて肩を少し切られてしまった。まあ、大した傷じゃない。


「なんで、それが避けられるんだ。バケモノかよ・・・。」


「死ね。」


盗賊の首を刎ねた。不意を突かれなければ、相手にならない・・・。


ドタドタ。ドタドタ。


先程の笛の音を聞いたのだろう。裏口から誰かが走ってくる足音が聞こえる。


「どうし・・・・た。」


ドサッ。


ダイニングに入って来た瞬間に首を刎ねる。言葉も途中で盗賊は崩れ落ちた。


残りの1人は俺が廊下へ飛び出すのを待っているのだろう。廊下で待機している。


俺はダイニングの部屋の中から、盗賊が待機しているであろう廊下の壁を力いっぱい殴った。


俺の拳は壁を貫通して、廊下にいた盗賊の顔面を捉えていた。そして、倒れている盗賊へトドメを刺した。


そして、2階からシキが盗賊の首を8つ持って降りてきた。


これで19人目か、残るは1人だな。


「きゃーー。」


さっき迄は、戦いの最中だったので気づかなかったが、トリートの悲鳴が聞こえて来ていた。


メリーさんの部屋からだ。


俺は急いで、メリーさんの部屋へ入る。ベッドの上に服がビリビリに破かれて半裸のメリーさんが横たわっている。


そして、トリートも服が破れて胸が出ている状態で床に倒されて、その上に盗賊が覆いかぶさっている。


「な、なんだてめぇは!」


皆言うことは同じなんだろうか?まあ、そんな状況になれば俺も一緒か・・・。


盗賊はとっさにトリートを人質に取ろうと動くが、俺にとっては遅すぎる。一歩踏み込み思いっきり顔面に拳を食らわす。


結構本気で殴ったので、死んだかと思ったが、頬骨が折れているだけで生きている。中々しぶとい。


俺は、運び屋スキルから布を取り出してトリートへ掛けてやる。


「大丈夫か?」


「うん。怖かったよ〜〜。」


トリートが抱きついてくる。それより、メリーさんの状態が気になる。


「それより、メリーさんは?」


「そうだわ。私もメリーさんも乱暴される寸前だったから助かったわ。」


俺はトリートの言葉を聞いて少しホッとした。トリートは腰を抜かして座り込んだままだった。


そして、メリーさんの方へ言って布団を掛けてから、メリーさんを起こす。


「メリーさん、メリーさん。」


「・・・きゃー。」


メリーさんがバシバシと目を瞑りながら、俺を叩いてくる。


「メリーさん、俺だよ。エドだよ。もう大丈夫だから。」


「っぇえ、エドくん。本当だ。」


薄めを開けながらこっちを見てきたが、俺だと分かるっと安心したようだ。ただ、ちょっと俺は目のやり場に困る。


「エドくん何でそっちの方を向いてるの?」


「メリーさんの服が・・・。」


そう、メリーさんの服が破れていたから、布団を被せたのだが、俺を盗賊と思ってポカポカ殴る間に布団がとれて、胸がポロリと出ていた。


「きゃ。」


メリーさんは、自分の服を見て顔を真っ赤にしすぐさま布団で体を隠した。


「エドもメリーさんも何やってるのよ・・・。」


トリートの恐ろしい視線が俺に突き刺さる。




「それより、ちょっとコイツをどうにかしないと・・・。」


メリーさん達に後で全容を聞くとして、俺は瀕死の盗賊を部屋の外へ連れ出した。そして、盗賊を気絶させて袋に仕舞うとシキに例の場所に運ばせた。


子供たちの姿も見えなかったし、多分あそこに隠れているのだろう。


盗賊達の遺体は、既に運び屋スキルに収納してある。19人の遺体など見つからずに簡単に運べてしまう。



まず、家の外を片付けないと。


血痕が残っていると目立つので、桑で少し掘り起こし、運び屋スキルへ仕舞う。


ダイニングの血痕もなるべく拭き取っておく。後は、衛兵がくるまで時間の問題だな。


コンコン。


「入るけど大丈夫か?」


「うん。もう大丈夫。」


メリーさんとトリートは新しい服に着替えていた。そして、子供たちは無事との事だった。




よし、こっからが一芝居だな。取り敢えず、シンプルなストーリーとしよう。


「メリーさん、トリート今から衛兵が集まって来るから、次のストーリー通りに行動してくれ。」


「「え?どういうこと?」」


「トリートも領主宅へ行く必要も無くなり、援助も継続させるために一芝居打つぞ。まあ、なるべくシンプルにするから。で、メリーさんにはちょっと犠牲になってもらうけど・・・。」


「トリートが助かるなら、何でもするは!言ってちょうだい。」


「分かった。よろしくお願いします。」



こんなお話だ。


・盗賊がやってきた。

・若い娘トリートとエドが連れ去られた。

・メリーさんはこの場で蹂躙された。


 おしまい。


※メリーさんは、蹂躙された悲壮感を出す。

※トリートは、一時的に身を潜める。


<効果>

・悲劇が起こった孤児院を演出して、民衆の目を集め支援を継続させる。


<Q&A>

Q:なんで、私は蹂躙される設定なの?

A:美しいメリーさんに手を出さないのは、現実的に考えて有り得ないから。


Q:私(トリート)はいつまで身を潜めて置けばいいの?

A:2〜3ヶ月で良いと思う。孤児院に戻る時は、盗賊から逃げ出して来た設定にする。身を隠す宛はあるから、今から俺と行くぞ。



俺とトリートが孤児院を後にしてから、暫くすると、衛兵たちがやってきて、事情聴取が始まった。



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