第10話 ハイスペックな憑依スキル



早朝は、1〜2時間ほどの訓練。

朝食は、スゥリールで食事。

午前中は、肉卸屋の運搬作業。

昼食は、スゥリールで食事。

午後は、西の森でハイラビット狩り。

夕飯は、スゥリールで食事。

夕方は、1〜2時間ほどの訓練。


こんな生活を続けて、転生12日目。


早朝の訓練で、まだまだ憑依スキル時の剣速までには達していないが、目に見えて剣術のレベルが上っている。自分でも実感できるほどの違いがある。


身体強化スキルも上昇している。昨日、60kgほどの岩を持ち上げてみたら、余裕を持って持ち上げる事ができた。瞬発力も上がっており、敵へ近づくための踏込み速度も上がっていた。



日本でのここまで努力した内容が、結果に出て来ることを経験することは中々ない。努力が報われることって凄く達成感があって、うれしい。心の中が暖かくなる気がした。



◇◆◇◆◇◆


午前中のメニューを終えて、午後は西の森に行く予定だが、今日はこれからメインイベントだ!


協会を訪れて召喚獣ガチャだ!!これは、ずっと待っていた大イベント。一歩一歩を踏みしめて、協会へ向かうのだった。


協会の門を開けるといつもの平穏な風景が流れっていた。


俺もその場に溶けいるようにゆっくりと歩き、教壇の前に行く。前回同様に両膝をついて両手を合わせて目を瞑る。「レアキャラよカモン。」


『召喚獣『フェアリー(火)』を獲得した。』


ノーマルキャラっぽいがフェアリーだと魔法が使えそうだ。次のガチャの機会は30日後。『忘却の騎士』はの切り札だ。果たして、魔法スキルを覚えるために『忘却の騎士』を消すかどうか・・・・。


フェアリーだと召喚獣自体は、相当劣ることになる。ただ、今後この世界で生き残って行くためには、自分自身の成長が不可欠だと思う。その時、魔法が使えると戦闘のバリエーションが格段に増える。生存確率が上がることになる。


ってなると、早い時点でフェアリーを獲得するのは、選択肢としてはありである。


・・・・良し決めた。


「フェアリーを選択する。」


周りに聞こえない程度の小さな声で呟く。


『召喚獣として『フェアリー(火)』が登録されました。』


『憑依スキルにより、『忘却の騎士』は憑依スキルにストックされます。』


「っえ?何じゃそりゃ〜〜!!」


またまた、協会で割と大きな声を出してツッコミを入れてしまった。口を片手で押さえて、協会を後にするのだった。


想定外の事が起きたが、良い方向に事が進んでいる。憑依スキルはチートスキルだ。更に俺の考えが正しければ、召喚士との相性が物凄い良い。






西の森。


「俺の考えが正しければ・・・。」


『忘却の騎士』を召喚してみると、目の前に現れたのだった。


「やったぞ。やっぱり、憑依スキルでストックした召喚獣は召喚できるんだ!!これで、召喚士が1匹しか召喚獣を持てないというデメリットが無くなり、無限の可能性が出てきた!」


嬉しくてついガッツポーズして喜んだ。


「後は、同時に2体召喚出来るかだな。試しにやってみるか。」


同時にフェアリーを召喚しようとした時、急に寒気と鳥肌が立ち、冷や汗まで尋常に無いくらい出てきた・・・。不吉な予感がして、召喚獣の2体動時召喚は辞めるのだった。


・・・・。


『忘却の騎士』を一旦戻し、『フェアリー』を召喚する。そして、『フェアリー』を憑依する。魔法を使う心理が感覚的に分かった。


「ファイアアロー」


試しに岩に向かって魔法を唱えると太さ5cm、直径60cmほどの火の矢が1本出てきて岩に直撃した。何か体内にある精神的なモノを消費した感じがした。ロープレに例えるとMP(マジックポイント)だ。


岩には直径5cmくらい深さ20cmの丸い穴が開いていた。フェアリーは下級精霊のハズだが、それでもこの威力だ。


感覚的にファイアアローは、後50発程度打てるように感じる。


他にもファイアボール、ファイアワイドがあり、3種類のようだ。


早く自分のモノにするために、ハイラビット以外は魔法を駆使して倒していく。5日目のことやっと『火魔法スキル』も取得することが出来た。



西の森。


「やっと、やっとだよ。ここまで毎日50発以上の魔法を5日間使ってやっと・・・。長かったがこれで、自身でも魔法を使える。」


早速、『フェアリー』との憑依を解く。念の為、『忘却の騎士』は召喚しておく。


火魔法スキルを取得したとはいっても、初心者である。ファイアアローなど発動しなかった。まずは、自分の中のMPを燃料にして、火を発動させるところから始める。


右手の人差し指を1本立てて、その指先に炎が出るのをイメージする。俺はガスコンロから炎が出ることをイメージする。燃料が指先から出て、そこへ熱が加わり段々と温度が上昇し・・・・発火する。


青色の炎が指先から出た。ガスコンロをイメージしたから、青色の炎だ。火はザックリ「赤⇒黄⇒白⇒青」の順に温度が高くなる。今回は、最も威力が高いと想定される色が出た。


指先から出た炎の色を赤色をイメージする。じっくりと青から赤に変化した。その後、黄、白の色へも変化させた。


イメージは出来たが、体内から燃料が発生しない・・・MP切れってことか。別に疲れ果てて動けなくなる様な感覚はない。ラノベだと良くMPが切れると体力まで消耗するようだが、この世界はそんな事はない。体力とMPは切り離されているようだ。


気になったが、身体強化スキルや剣術スキルは特にこのMPを消費している感じはしない。常時発動のパッシブスキルだろう。それはそれでありがたい。



今日の成果は、『火魔法スキル』を取得。火を発動させた事だろう。明日からは、これを更に伸ばす事に務める。



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