第6話 ご新規さんは異世界転生者!?(後篇)

???「――――ふむふむ。なるほどなるほど・・・・・」


あれからどれだけの時が経ったか。

老魔法使いは書庫に引きこもって例の書物をひたすらに読みふけっていた。

時折、知人がふらりとやってきたり、時代の変化を確認する為に

街へとぶらつくことはあったが大半の時間は寝食を除いて読書に費やしていた。

そして彼が最も熱意を向けていた書物はやはり例の本である。

異世界転生に纏わる術式をまとめたこの書物を読み返すことで

色々面白いこともわかってきた。

どうやらこの術式は元々この世界に存在していた物ではなく、

この術式によってこの世界に転生してきた異世界の住人の一部が

古代の魔道士や賢者たちと研究することで書き残した様だ。

どうやら相当研究熱心だったのだろう。


???「お陰でこちらとしても大助かりだ」


そう呟いて彼は席を立ち、床に用意していたその術式の為の魔法陣へと移動する。

上手く行くかどうかの保証は残念ながらない。

だが、転生者たちの経験からしてある程度の制御が可能なのは確かだ。


???「博打だがはてさて、しかしてワクワクするなぁ・・・」


年甲斐もなく内心はしゃいでいることを自覚する。

これから己に試すことは正しく自分にとっての未知の領域だ。

だが好奇心というものは歳を取ろうとも変わらないものだと確信もした。


???「さあ、異世界転生をしようか!!」


         ★ ★ ★


――――そして舞台は再び現代に戻る。


マギ「ンー、お蕎麦美味しいです~!!天ぷらもサクサク~!!」


舌鼓を打ちながら悦びの感情を全面に出しながら蕎麦を味わうマギ。

彼女が持ってきた引っ越し蕎麦をマオウが調理し、セカイの部屋で

3人で食卓を囲んでお昼ご飯としていた。

食卓に置いてある更にはそこそこの量の天ぷらが盛り付けられている。

内容は縦長にカットしたちくわに玉ねぎのかき揚げだけだが

とても美味しそうに綺麗な衣を伴っている。


マオウ「ありがとうございます。とても美味しくなるように練習しましたから」

セカイ「マオウさんの天ぷらもだけど料理はどれも美味しいんだよね」

マギ「ン~この美味しさ、魔王級ですね~!!」


サクサクとパクパクと食べるマギ。

その笑みはとても嬉しく幸せを充満に感じさせる。

そんなマギの様子をセカイとマオウは蕎麦をすすりながら見ていた。


マオウ&セカイ「「―――――――」」

マギ「うーん、ワサビのこのツーンとしたこの風味・・・!まさにザ・和食!!」


なにやらレビューらしきことを無意識なのか言い出しながら蕎麦をすするマギに

セカイはふと思い浮かんでいた“ある疑問”を口に出す。


セカイ「マギ・・・・・さん」

マギ「なんです~?」

セカイ「マギさんって――――もしかして配信者?」


ブボっ!!!という何とも言えない音を出しながら吹き出すのを抑える様子を見せるマギ。

その後、残っていたそばつゆが器官に入ったのか軽くむせ込む彼女に慌てて水を渡すセカイ。

マオウも慌てた様子でセカイを問い詰める。


マオウ「セカイさん!何故急にそんなことを!?」

セカイ「いや~レビューっぽい感じが何となく堂に入っていたというか」


少し申し訳なさそうに謝罪するセカイ。

落ち着いたのか、水を飲み干したマギはひと息付く様に大きく息を吐く。


マギ「えっと、ですねぇ・・・そこら辺はちょっとお答えできないですね」

セカイ「あっ、やっぱそうだよね」

マオウ「身バレは色々と危ないですからね」


色々と察したのか改めて謝罪の姿勢をするセカイにいえいえと言うマギ。

マオウはふとマギの方に何かを察したかのようなそんな視線を密かに向けていた。


マオウ「―――――――(この人から感じるこれは・・・“魔力”?)」

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メイドさんは元魔王!? 貴宮アージェ @takamiya_aaje

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