第4話 でっかいヤツの小さいヤツと超おいしいギュウニュウ
今日は、なんだかバタバタしている。
さっきのことなんだけどさ。おとうさんが、でっかいやつの1つの前に立って、でっかいやつを見てたんだ、そしたら、でっかいやつのお尻から、なんか
「おい、お前、生まれたぞ。ほら、起きろ」
って、おとうさんが言ったらさ、そいつ、モゾモゾ動いてる。えーっ?! 何? 何?!
おとうさんが、そいつを、それを出したでっかいヤツのそばに連れてくと、でっかいヤツは、そのちっちゃいヤツを舐め始めた。ちっちゃいヤツったって、全然ちっちゃくないんだよ? でっかいやつよりは凄くちっちゃいだけで。ぼくがかなうわけがないくらい。
それで、おとうさんが、おかあさんを呼んだんだ。すぐおかあさんが来た。
「男の子だな」
「大きいねえ。飲ませるの大変そう」
そんな会話が聞こえた。
おかあさんが「ミソシル」っていうのを、一度ぼくが落ちたことのある、一番大きいバケツ2つ分作ったんだ。で、おかあさんが空っぽのタルって言う、もっとでっかいヤツと、「ビール」ってヤツを持って、おとうさんがミソシルの入ったバケツを両手に持って、さっきのでっかいヤツの前にタルを置いて、そこにミソシルを入れるんだ。そしたら、でっかいヤツがぞれをゴクゴク飲み始めるの。そこにすかさず、おかあさんがビールを注ぎ込む。でっかいやつが、それを飲んでいるすきに、おとうさんは、ちっちゃいヤツをギュウシャの中の小さい柵の中に入れたんだ。おかあさんは、その間も、でっかいヤツにミソシルを足して飲ませていた。
「味噌汁、飲んだ?」
「うん、ほとんど全部」
「じゃあ絞りますか。素直に絞らせてくれるといいんだけどな」
「そうだねえ。じゃ、用意しますか」
おとうさんとおかあさんは、そう言うと、バケツやら、何かわからないグニャグニャしたのに大きいバケツみたいのがついたやつを用意していた。
ぼくがぽかーんとして見ていると、
「ほら、チョコ、お湯使うから、そこどいてなさいよ」
おかあさんが言うから、慌ててよけた。
しばらくすると、おとうさんが、さっきの大きなバケツみたいなやつに白いものを入れて帰ってくる。
「なんとか絞らせてくれたよ」
「これだけあったら上等でしょ」
白いのを普通のバケツにうつしている。
そこで、ぼくは、初めて気がついた。
「ギュウニュウじゃん!!」
しかもね、しかもだよ? いつもより美味しそうな匂いがする!!
「なに? なになに、この匂い?」
ミントも来た。
「えっ? ギュウニュウじゃん! すっごいい匂い!」
ミントはギュウニュウがだ〜い好きだからさ、バケツに、そ〜っと近づいて、泡をペロッと舐めた。
「美味しい!!」
でも、そこで、おかあさんに見つかっちゃった。
「こらこら、ダメだよ。これは子牛のだからね」
コウシって何だ? って思ってると、おかあさんは、白い入れ物にバケツ半分くらいのギュウニュウを入れて、おっぱいの先っちよ(一回、兄ちゃんたちのママのを見たことがあるんだ)みたいなのをつけて、さっきのでっかいけどちっちゃいヤツのところに行こうとした。
そこで、バケツをじーっと見てるミントのこと見て、笑いながら、
「わかったよ、ミント。ほら、ちょっとだけね」
そう言って、器に泡がい〜っぱい入った美味しそうなギュウニュウを入れてくれた。
ぼくらは、もう夢中さ。泡は、フワフワであま〜くて、口の中で溶けちゃうんだ。ギュウニュウは、とっても甘くて、もう、ホントに、ぼくも一緒にとろけそう。ふぅ。
おかあさんは何をしてるのかな? 柵の中を見に行った。
「ほらぁ、ちゃんと飲んで! 暴れない! こらぁ!」
ちっちゃいヤツと戦ってる。ちっちゃいヤツの口の中に、さっきのおっぱいの先っちょを入れてる。時々飲んでるみたいなんだけど、暴れながらだ。ちっちゃくても凄く力が強いみたい。ニンゲンのおかあさんが
しばらくバトルを繰り広げてたけど、やっと終わったみたい。
「全部飲んだの?」
おとうさんが聞いてる。
「うん。2リットル全部いきました」
「そっか。よかった」
おかあさんが、その入れ物を洗ってるのをみて、ぼくは思った。あんなに飲むのか!! すごいな、あいつ!!
その後、美味しいギュウニュウを、いつもの器におんなじだけ入れてくれて、ごはんやカリカリももらって、ぼくらは、またたくさん食べて飲んだんだ。
お月様、今日はね、ものすごいもの見ちゃったんだよ、ぼく。でっかいやつからね、ちっちゃいやつが出てきたの。すごいよね。それからね、それからね、ギュウニュウもね、と〜っても美味しくて……おいしくて……う〜ん……ムニャムニャ……。
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