第2話 肉体の無い精神の話をしたことがある

 謀略は無かった。因果があるのみ。血は病。記す文字の、使古し着古しの意志は最後までヒカラビた無意志の亡霊で、通り過ぎた腐臭だった。

 人の罪に情欲を数えるのなら、試しに道子を縊ってみせよ。なぜなら情欲、そこに幸福の門扉を見出すことができるからである。

 世界において花とは何。世界は自である。自を愛する。自を愛せと世界に命ず。愛せずとも自れこそが愛になろう。罪の花が美しく転じ、新たな血を流したら、その血を自と名付け、殺しましょう。叛ねた血の、聞こえた跫、目覚ましく、安らぐ心根求める体に聞かせてみせましょう。咲かせてみせましょう。それが名というもの。頭の愚かしさを忘れ、踊るように、唱うように、主従をひしゃぐ、縁になる。

 優で身を装い、火を植える征矢になる。いつしか自の頭を貫き、無辜の標となるでしょう。

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