ゲロ乳白色

有界多 世も子

第1話 Ich.の無限は有限の中にあった

 花は彼を[おそらく]八月十一日に喚んだのかもしれない。どんな人も教わることがない。終末機関との出会い。彼の顔がわからない。彼の顔がわかる。彼の顔がわからない。瞑想で落とした頭のすれた音の次の、唸る腹懐の音は事実ではない。目を閉じる。目を開く。現れる手、浮かぶ足。もう消えた。昼なのに暗い。何も彼も明らかならず。

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