人間は必ずしも正しいとは限らない。常に疑ってかかれ。

春は出会いと別れの季節。


N氏は、今年度、自分の勤め先である学校を離任することになった。


「只今より、離任式を始めます」


「今年度は、N先生、S先生、E先生が学校をやめることになりました」


N氏はそれを聞いた後、生徒の方を見回した。


自分の持っていた生徒たちを見てみると、多くの生徒が別れの悲しみのためか、目を擦ったり、鼻をかんでいた。


N氏は、これまで学校の教師をやっていてよかったと考える。


「先生、今まで本当にありがとうございました......」


生徒が、自分に対して今までの感謝の気持をまとめた文章を読み上げる。


その生徒もまた、目を擦りながら読み上げている。


N氏は離任式が終わった後、大きな充実感を得て帰っていった。


その頃、一人の離任式に参加していた生徒が目を擦りながらこうつぶやく。


「全く、今日はなんて花粉がひどい日だ。目も鼻もとても痒い」

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