第41話 ヨゼフ、アウロラにあまあま襲われる

 ヨゼフはアネットの宿にあてがわれたベットに寝かされていた。

 どうも、目が痛い。

 精霊眼を使いすぎてしまったのだと、ウォータードラゴンが言っていた。

とても目が痛いのもある。どうやら、精霊眼を使いすぎて、体がついていけないというのだ。


 あとは気になることがあり、動きたいのだが、どうもそわそわするのだ。

 目が痛い。誰かにいやされたい。

 目が痛い。誰かにいやされたくありませんか。


(いやいやいや、何を考えているんだ僕は)


「性の目覚め。私は仕方ないと思う。まあ、仕方ないものだからね」

 アウロラが急に現れて、小声でささやく。


「はあああああああああああああああああああああいいいいいい? 何を言っているの? よくわからない。やめて、聞きたくない。というか、アウロラさん、どうして僕のベットに潜り込んで」

 恥ずかしすぎて、声が出ているのに、小声になってしまう。


「そんなのどうでもいいの。私はお姉ちゃんだから。性の目覚めにも理解があるんだからね。ほんと、とってもぎゅううううううっ。気持ちいい? 気持ちいいでしょ。家族だから、別に何でもないのよ。いいでしょ。あまやかしてあげる。ほれほれ」


 ほわ、ほわほわほわんほわんほわほわ。


 柔らかい芝生の上に寝転がったような匂い。気持ちいい匂い。柑橘類の匂い。

 光の精霊の匂いって、こんなに気持ちいいの?


「あわわわわわわわやめてっ。あっあっぁつぁつ」

 

「ぴゅーってしてもいいんだよ」

「何をあああああっ!!!!」

 

 多分ヨゼフも何となくわかる。自分よりも年下の使用人たちがどうも、エッチなことを言っていて、何かあるんだということを。


 ある時、ヨゼフにモニカは言っていた。


【大切なもの、性の目覚めは大切なものですが、まだまだまだ、12歳には早いのです。ずっと少年のままでわたしとしては、いてほしいのですが、ですが……ですが】


 何故か顔が赤かったのは理解できなかった。

 だが、どうも性の目覚めというのが迫っているのではないかと。


(いやいやいや、何で僕はこれを性の目覚めだと思うんだ。使用人たちがエッチなことを言っていただけなのに)


 なのになのになのに……。

(どうして、精の目覚めから、あれ、性だよね。精じゃないよね。うん。違う違う違う違う違う)

 顔が真っ赤になり、ふと、精霊眼の痛みが和らぐ。


「力の制御。上手くいったんじゃない?」

「あ、うん。とても、精霊眼の痛みが。これが力の制御のこと?」

「思春期だからね。精霊眼は思春期に目覚めたり、成長することがある――だから、年上のお姉さんに思うことがある。私はお姉ちゃんだから違う。そう、私はお姉ちゃんだから甘えさせてあげるの。はいはい、甘えて~~~」


 柔らかい胸を押し付けられると余計に。


(はわわわわわ~なんか、大切なものが大切なものがあああああああああああ)


「ええっと、う~ん、今日食べたクラーケンおいしかった?」

 気まずいアウロラの言葉。


「今、クラーケン臭いのは誰のせいでしょうか?」

 ヨゼフの何かがはじけて、しまった結果だった。

 

「ヨゼフ、ふぁいとぉっ!」


 アウロラのセリフはとても悲しい。

 ヨゼフはさめざめと泣く。


「おや、精の目覚めですか。精霊術士としては喜ぶべきことですよ。まあ、もっといろいろとあるでしょうから、これは続くので喜ぶべきですね」

 

 そこに現れたウォータードラゴンは精霊の契約をしているのか、すぐに気づいたらしい。

 ランドタートルも一緒だった。


「うん、まあ、男の子にはいろいろあるからやめてやるんじゃよ」


 おじいちゃんに言われてしまって、ヨゼフはもっと泣きたくなった。


(精霊術士として強くなっても、うれしくない)





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