第19話 ヨゼフの精霊眼が発動した

「ヨゼフ様の目が金色に……なっていますね」


「精霊眼。今まで、なっていなかったのに」

 アウロラが驚いていた。さっきまでは顔を真っ赤にして、固まっていたはずのヨゼフ少年の目に恐ろしいほどの気迫が宿っている。


「あと、何で泣いているんですか。私もすごく泣きたい気分になっているので何も言えないのですが、どうして……? 精霊眼が発動しているのに、どうしてですか?」


「うん、そうだね。モニカ。目から色が抜けているみたいなんだけど、大丈夫?」

 フェニがモニカに何かを言っている。だが、どうでもいい。


「亀。許せない」


「ピーッ! ピーッ!(駄目っ、えろがきっ!)」

 火の鳥の大きさが小鳥サイズだったが、なぜか大人に近いサイズに大きくなっていて、赤いオーラが見える。

 非常に汚いことを言われていることはわかっているのだが、どうでもいい。

 

「僕だって、見たいんだ。僕だって――」


「私なら、アレ、見せてあげるよ。だって、お姉ちゃんは慈愛だから。弟君を愛しているから。でも、何も覆うものがないかもしれない。だって、精霊だから」



「恥じらいがあるのがいい。モニカはとてもいい人で、僕を叱ってくれて。厳しくても甘い人だった。何よりもちょうどいいお尻。アウロラさんはおっきすぎ。そうだ」





 ヨゼフの中に激しい感情が渦巻く。

「――パンチラは恥じらいが無いモロじゃないからいい」




「がーん。私のスタイルが良すぎるが故の悲劇。本当はわんわん泣きたいけど、なんか勝った気分になるからいいや」


「わたしは何か嫌です。何でこんなエロガキを慕っていたかというと涙が出ます」

「うんうん。わかるよ。ヨゼフ、あんなにモニカを慕っていたのに、それがただのエロガキだなんて」


「あ、この滝なんだけど、精霊の滝(欲望)っていうの。強くなるためにはすごく手っ取り早くてね。欲望だからね。リスクが大きい。こんな感じで」


 アウロラの言葉がなんか変なことを言っているようだが、どうでもいい。今から、亀を見よう。

 そうだ、精霊眼っていうから、精霊を見つけるのに適しているのだろう。ほら、ほぅら。


 ヨゼフの目が痛いほどに精霊の世界のすべてを射抜き、気配をとらえていく。なぜか、過去も未来も見抜けるような万能感さえもある。

 だが、体が痛い。全体が痛くて神経が焼き切れてしまいそうだ。亀、エッチな顔をした亀がいるはずだ。


 いた。少し大きなブラウニーの子のパンツをのぞこうとしているじじい亀がいた。


「あいつかあああああああああああああああああああああああああああ!!」


 体が熱い。背中から、羽のようなものが生え、空を一瞬だけ跳ぶ。



「ひやああああああああああなんじゃあああああああ!」

 えろ亀がいた。白髭の生えた青っぽい亀。専任のような雰囲気のする亀だが、顔が明らかに、


「エロ亀じじい覚悟しろ!」


「なんでええええええええええええええええええ!」

 明らかにとばっちりである。


 だが、精霊眼の暴走したヨゼフは亀を燃やそうと巨大な火のハンマーを持って、燃やそうとしている。

 火の鳥の羽を模した炎も見え、亀を明らかに燃やそうとしている。


「ピーッ!(やめろっ)」


 火の鳥が慌ててやってきて、火を消した。


「恥ずかしいのでやめてくださいッ!」

 メラメラと燃えたエルフの平手打ちがヨゼフに決まる。


「ぐえっ!」


 ヨゼフは干からびたカエルのようにあお向けに倒れて、気を失った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る