第18話 修行ってさ甘えることじゃないよね
「修行と言えば滝に打たれることよね!」
アウロラが言ってくれたことは聞いたことがあった。どうも、そういうのに憧れていたモニカが偉そうに語ってくれたことを覚えているのだ。
本人は討たれたことは無いが。
だから、とても気を引き締めて滝行にいそしもうと思ったのだが、状況は違っていた。
「あまえさせてあげますよ~は~い」
ヨゼフは滝壺の下にいて、水に打たれている――わけではなく、アウロラに抱かれて、滝に打たれているのだ。
「ピー、ピー?(なにやってんだこいつら?)」
「僕もわからない」
理解が追い付かない。何故、フワフワしたふくよかな10代後半に見える女性に抱かれて、滝行をしているのか。これでは、違う精神の修行がされてしまう気がする。
いやいや、もしかしたら、アウロラはヨゼフの精神力が甘い為にまずは、気持ちを聖者のようにしてから修行をしてほしいと思っているのだろう。
「うん。弟君の匂いは今でも私の気持ちを幸福にするのよ~。すんすん、ああ^~心がみょんみょんするのじゃあ~」
怪しい電波を受け取っているような気がする。
「何をやっているんですかこの駄目精霊さんは」
そこにモニカがやってきて、あきれた言葉をぶつける。
(もっと言ってモニカ。お願いだよ)
とヨゼフは言いたいが、今度は胸がヨゼフの敏感なところに当たって危ないっ。
顔が絶対に真っ赤になっている。
「まあ、世の男は多分喜ぶだろうと思うけど、お坊ちゃんじゃ無理だよね。ほれ、チェリーボーイ。童貞君。まあ、12歳ならモニカに手ほどきをされるような歳でも」
「馬鹿なこと言わないでっっっっ。まだ、12歳そういうのはまだまだっ。でも、私の水浴びの音を聞いて、そわそわしている姿をみたことがあっあっっっ」
(モニカの言葉。覚えておこう……じゃなくて、忘れなきゃ忘れなきゃ)
ヨゼフは顔を真っ赤にさせながら、頭を振ろうとするが、アウロラの柔らかいものが邪魔で余計に頭が熱くなる。
「なあにぃ、モニカとフェニさん。いきなりやってきて、酷いこと言うじゃない。修業をしているんだよ。ヨゼフは」
「どこがですかっ! ただ、ヨゼフ様をよしよしして、顔を真っ赤にして、えっと、その」
「まあ、むっつりスケベのエルフメイドさんは置いといて、あたしも気になるんだ。その滝行には見えないただのえっちぃ行為。ヨゼフは幸運だろうが」
にやにや。ニヨニヨ。ニカニカ。
「お、その真っ赤な顔。あたしの胸が気になるかな。スタイルもいいし、エルフさんはスットンだけど」
「アウロラさんはどこも出ていて、へっこんでいますけどね」
「はいはい。何を言っているんだか」
二人とも大分仲良くなったらしい。
それもそうだ、ヨゼフはこの滝に来てから2日間ずっと、アウロラに抱かれて滝行をしているのだ。
付き添いでやってきた二人もそれなりに話をするだろう。
「ここの空気や水を感じる。私の体や精神を感じることが精霊を感じることだから。重要なことだからね。二人も修行に来たんでしょ。精霊界の空気を吸って、何かわかった?」
「うーん、私はお尻にカメの精霊さんがいて、破廉恥な視線を向けているのが気になるのですが」
モニカさんは大変らしい。後でその精霊さんを探して、火の鳥さんで焼いてもらおうとヨゼフの心のメモに刻まれる。
「高位の精霊なんだけど、女の子のお尻好きだからね。ゆるしてあげ――」
「火の鳥さん、燃やしましょうね」
「ピーッ! ピーッ!(ひーっ! ヨゼフご主人の目が怖い)」
「あらら、亀さん、燃やされそうだね。あたしはまあ、ぼちぼち。そこの火の鳥さんが気にしてくれてね。まあ、付き添いだからいいよ。まあ、カメは許して」
「あげるかあああああああああああああああああああ!!!!! モニカのお尻は僕のものだあああああああああああああ!」
「どういうことですかっ! それっ!」
モニカの叫び声が精霊界にこだました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます