第16話 食の見直し

昨今、少子化対策、そして社会保障費など、これから増税されることは大体皆考えているだろう。

新NISAやiDeCoなど新しく始めた方も多いと思う。


昨年は過去最高年収になるのだが、やはり老後の事を考えると生活レベルは下げていく方がいいのではないかと思い、先月の食費を計算してみた。

するとこちらも過去最高の金額で夫婦二人で2桁の食費であった。

この年収がずっと続くならいいが、人生は甘くない。

だから財布の紐を占めるべく、まず食費の管理をしようと思い立った。


我が家はほとんどキャッシュレス決済なので、意識をしないと中々いくら使ったのかということが把握しづらい。


おまけに夫は大のコンビニ好きときている。

新作のお菓子を買って、美味しくないと全部食べないというお大臣みたいなことをやってのける。


私が「せっかく買ったのに全部食べないなんてもったいない。もう新作というだけで買わないで。これを捨てるのに凄い罪悪感あるんだから」と言うと、

「だって不味いものは不味いんだからしょうがない」とケロリと言うのだ。


私は食べ物に保守的で新作に手を伸ばすことはほとんどない。

小さい頃から好きなお菓子も決まっていて、新作というだけで買うことはまずない。

自分でもつまらない食の好みだと思うが、はずれを引きたくないのだ。


コンビニに行っても大体同じものをくるくるとルーティン化で購入するくらいで、新作のものはほとんど買わない。

ランチもおにぎりとお味噌汁といった具合で、毎日違うものを食べる夫とは対照的である。


しかしいくら私でもずっと一緒とういうのも味気ない。

私は思い切ってお弁当を作ることにした。


これは今ゆらぎ期の体のメンテナンスにも繋がる

夫の為に朝から唐揚げやヒレカツを揚げることもある。

それに野菜などをつけ添えれば立派なお弁当だ。


自分が食べたいおかずをわざわざ作る時もある。

食べたいと思うのは身体が欲しているサインだと思っているので、お弁当の時間が楽しみである。


食材から買うので食費の節約になるし、おにぎりだけでは摂れない栄養もとれる。

最近はカロリーより栄養を考えて食べているので、食べたいものを食べている。


そうすると少し体に変化が起きた。

ずっとダイエットしても落ちなかった体重が緩やかに減っていくのである。


それと比例して体調も良くなってきているように思う。


そういえば昔、鈴木その子さんという美容家がいた。

顔が真っ白で、痩せていて、一時はその子ブームも起きた。

その人の本に【痩せたいなら食べなさい】という本がある。

読んだ事はないのだが、私は今その事を実践してるのではないかと思う。


糖質や脂質、タンパク質、ビタミン、食物繊維をバランスに摂っていれば、普通に仕事をしていればあまり太ることはないのかもしれない。


半世紀生きてきてやっと悟った。


日本には四季があり、春になると菜の花や山菜、そしてホタルイカなどこの時期ならではのものがスーパーにも並ぶ。


菜の花の辛子和えなど、白いご飯に焼き魚でもあれば最高の夕飯になる。

魚は焼くだけなので、結構食事の支度も苦にならない。


むしろ旬のものをじっくり味わうという満足感の方が高く、そんなに食べなくても満足するものだ。


最近はスーパーでの買い物が日常の楽しみの1つになっている。

高額なブランドものを買わなくても、丁寧な暮らしというのだろうか、心も満足なのである。


米国では貧困層ほど太っている傾向にある。

それは手軽に食べられるもの、例えば菓子パンなど、カロリーはあるが栄養がないもので食事を済ましているからだ。


バランス良く食べるというのは結構お金がかかる。

米国は特に食品の値段が高い。

だからこそ余計に自炊をするとは思うのだが、やはりパンなどの方が手軽なのであろう。


私は朝はフルーツとグラノーラ50グラムに牛乳をかけ食べている。

白米は大好きなのだが、朝にめっぽう弱く、朝から白米のご飯が食べられないもので、グラノーラのお世話になっている。


昼はお弁当を持っていき、会社で必ずインスタントのお味噌汁を飲み、ご飯の上には梅干を一つ入れる。


ご存知のとおり、アレルギーが酷いので、発酵食品をなるべく摂るようにしている。

やはり先人の知恵というか、日本古来の食べ物は身体にあっていると思う。


そんな生活を続けていたら、入らないパンツが入るようになり、体の調子が良くなった。

まだまだゆらぎ期の為、不安定な体調の日もあるが、英気が養われた気がする。


用事があり、ちょこちょこ都内へ行くのだが、行くと困るのが昼食である。

都内は手軽に食べるというとカフェなどでみそ汁などない。

ある程度のスポットを決めて和定食のお店に行くようにしている。


私は銀座、有楽町、丸の内あたりでお昼を食べることが多い。

大手町にはさんみという玄米食屋さんがあり、東急プラザ銀座店にはおしゃれな和定食がたべれるお店がる。

有楽町は交通会館やルミネのレスロラン街に和定食のお店があり、大体そこで食事をする。

東京駅を丸の内ビル側に出ると、茅乃舎さんの食堂もある。

外でもなるべく和食を食べるように心がけている。


どうしても時間がない時はコンビニのおにぎりと東京駅で売っているしじみの缶のお味噌汁でグリーン車に乗り食べて帰る。

というわけで、あまりパンやパスタを食べなくなった。


私はO型で白米とは相性が良く、小麦などは太りやすい傾向がある。

B型の夫はパスタやパンを食べても全く太らず・・・

血液型信者ではないが、やはりルーツというのはあるのかもしれない。


更年期のダイエットは若い時とは違い、ただ食べないダイエットをすると、痩せても凄く老けてしまう。

かといって運動で痩せるというのも結構苦労がいるのだ。

運動で菓子パン一個のカロリーを消費するのは大変だ。

それならば自然にカロリーをエネルギーに変える体質にする方が効率的である。

和定食にしたら便秘も治り、体の廻りが良くなって気がする。

必要な栄養がとれないと、体もガソリンが枯渇している状態で機能しないのだと思った。


ダイエットは健康な食生活とストレッチや週2回位のウォーキングで十分なのである。


考えてみれば髪の毛一本、自分の食べたものから体はできている。

若い時には気力、体力共にエネルギーがあるので、多少の栄養不足でもリカバリーがきくかもしれない。


50歳というのはもう日々の生活が全て体に出てしまい、ごまかしがきかない。

ご馳走でなくてもいいのだ。

卵焼きに鮭の塩焼き、それに漬物、お味噌汁、白米があれば50歳にとってはご馳走なのだ。


最初は家計管理から始まった食の見直しだったが、思わぬ効果をもたらした。

もう夜遊びもする体力もなく、日々平穏に暮らすことが幸せだと思う私は、スーパーで食べたい物の食材を買い、料理し、お気に入りの食器で味わうというのは、日常を丁寧に暮し、心の安定にも繋がる最高の方法であった。


先日夫とスーパーに行き、フルーツグラノーラの新しい味のチョコバナナ味が売っていた。

大きいサイズしかなく、チョコバナナ味が好きな夫はどうしても食べたいという。

仕方なくいつものグラノーラとその新作を買って帰った。


夫は嬉しそうに帰ると、早速食べていた。

そして一言「これ、美味しくない・・・」

チョコバナナ味のグラノーラはそれから封を開けることなく台所に隅に置かれている。

いつ捨てようか考えあぐねている私であった。










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