第5話   自律神経

季節の変わり目は体調を崩す人が多い。

私も8月下旬はこんなにしんどい日々が続いたのは初めての経験だった。

今年は暑さが来るのが早かった。

6月から猛暑になり、酷暑という日々が続いた。

それがお盆を過ぎたころから少し秋風が吹くようになり、涼しい日もあった。

例年だとまだまだ残暑が残り、まだ暑い時期である。

私は暦が地球の季節と一か月ズレてきているのでは?と思った。

夫はスノーボードが趣味で1月から3月まではほぼ毎週滑りに行く。

昨年は12月からドカ雪が降った。

こんなことはあまり記憶にない。

予定を早め12月に滑りに行ったのである。

ゲレンデのコンディションはここ何年かで最高でTHE・DAY(降った後の晴天)だったそうだ。

そして今年の夏の状況だ。

なんとなく暦の感覚がこれから変わっていくのではないかと思った。


この時期に体調を崩すのは気温差だ。

昼間はまだ暑く、夜は涼しいを超えて肌寒い時がある。

この時期にめまいや頭痛などを訴える女性は多い。

都会で働く娘も秋と春に必ず病院を受診する。病院は混んでいて大層繁盛しているそうだ。

都会で働く女性の環境は過酷で、常に交感神経が活発で副交感神経に切り替わりが上手くいかない事が多いだろう。

その上、月のものや女性特有の脳の使い方が不調の原因に繋がっているのではないかと思う。

女性はマルチタスクが得意な脳の仕組みで、一度に多くの事を処理する能力を持っている。

私は朝に弱く、夫が朝ご飯を作ってくれる(ゆで卵を作るだけだが・・・)。

どうやらゆで卵を作ることと並行して何かをすることが難しいらしい。

寝ていると「あっ!」とか「うわぁ!」とかでかい声が聞こえるので、気が気でなくなり結局起きるのである。

ゆで卵に集中するとパンを焦がすのはしょっちゅうだ。

1年ほど前の話だが、もう今は廃盤色になったイッタラの皿を夫が割った。

しばらく気づかなったものの、お気に入りの色だったのでないことに気づきあの色の皿がないないと騒いでいると、とんでもない所から割れた皿を出してきたのである。

なぜ言い出せなかったかというと、私が月のものの時期であったからだ。

私はその時期はイライラし、夫は何事も起こらないように願いその日々が過ぎるのを

待っているようである。

28年も連れ添っていれば、妻のバイオリズムもわかってくるらしい。

そのイライラ期が過ぎ去った日に皿を割ったことを白状したのだ。

他にも限定もののマグカップも割られた・・・


それに対して女性は料理を作りながら、洗い物をし、次のご飯の下ごしらえさえできる。

これは脳の違いらしく、けっして男性が能無しではないのだ。

そういうわけで、女性の脳は常にフル回転となり、自律神経のバランスを崩すことが多い。


私の友達で7代続いている大きな果樹園のおかみさんがいる。

彼女は美人さんで初めて会った時は農家のお嫁さんとは思えないほど綺麗であった。

しかし彼女の一年は過酷だ。

サクランボとリンゴを栽培しているのだが、果樹というのは本当に手間がかかり猫の手も借りたいほど毎日忙しいのだ。

私なら倒れてもおかしくない忙しい日々を送っているのだが、更年期も大きな病気一つしたことがなく、健康だけが取り柄だというのだ。

この果樹園さんは品質も良く某フルーツのバイヤーさんなどが訪れるほどだ。

そして伊勢丹新宿店にも卸していて、味、見た目も完全なりんごとサクランボを作る果樹園なのである。

さぞ神経をすり減らす仕事だと思う。

このおかみさんと友達になりもう10年近くにもなる。

そして今年2月に私が北へ赴き、一緒に温泉に入ろうと弾丸温泉ツアーが決定した。

場所は彼女が手配してくれた。

いつも御用達の秘湯なのだそうだ。

某オリンピック選手も愛用の湯であり、彼は今年の冬季オリンピックで金メダルをとった。

乳白色の色をした古い温泉があり、歴史のある温泉宿で湯治パックプランもある。

私は一泊二日で行ったが、何回も温泉に入った。

彼女と美味しいものを食べ雪景色を見ながら、秘湯の湯に入る。

最高の休みであった。

あとで気づいたのであるが温泉から帰ってきてからしばらく体調がいい。

なんというか体のバイオリズムが整っていて、悩んでいた便秘も快便だし、冷えもない。

たった一泊二日の温泉で?と思うほどである。

実は彼女は仕事で疲れると日曜日にその温泉に入りに行き、自然をたのしむそうだ。

夏は八幡平の散策をし、温泉に入るということしている。

温泉に一緒に入ったときに見た彼女の体は中年太りとは無縁で若く健康的な体であった。

旦那様も同じ生活をしているので、20代の頃から体重が変わらないらしい。


私は思った。

やはり人は自然に触れ、そして自然の恩恵である温泉などに入って生活するのがいいのではないかと。

緑に触れ、温泉にはいっていれば結構医者いらずなのではないかと思う。

一泊二日の旅でさえ自覚があるのだ。

世の女性たちは具合が悪くなったら土日と有給を利用し、4日ほど東北などに行ってハイキングをし、温泉に入るといいと思う。

別に東北でなくても自然があり、都会の喧騒を忘れて温泉に入るのが一番の治療法な気がする。

昔の人も湯治で色々な病気を癒してきたのであろう。

是非、ゆらぎ期の女性たちにもお勧めしたい。


昨今、秋バテ、冬バテ、春バテ、夏バテという言葉を天気のニュースで聞くようになった。

今は秋バテに注意をと気象予報士の方が言っていた。

ではバテていない時期はいつなのか?

私は洋服などの物を買うことを減らし、今は景色を楽しめる自然多き場所に行き、散策し、温泉に入る3泊4日の旅を計画している。

服はお金で買えるが、健康はお金では買えない。

歳を取ると健康のありがたみが良くわかる。

50代を健康に過ごすために、そしてほんの少しの美をもらうために温泉をフル活用したいと思っている今日この頃である。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る