第3話 女性の多様な美

ゆるぎ期の女性は白髪や顔のしみ、しわなど悩みは尽きない。

そこに体調の異変がくるのだからたまったものではない。

幸い私はしみは多少あるものの、白髪もまだ数えるほどで、しわもほとんどない。

しかし世の中には必死に若い頃と同じ美を追求するお方もいる。

別に批判をする気はないが、歳をとるのは当たり前のことであるし、見た目も変わってくるのは普通だと思うのだ。

私は年を取ると一番大事なのは清潔感だと思う。

特に一か月に一度美容院に行くことにしている。

歳をとると髪につやもハリもなくなるし、メンテナンスとして利用をしている。

ショートヘアということもあるが、1か月もすると違和感を感じるヘアスタイルになる。別にそのまま伸ばしてもいいのだが、やはり美容室にいってしまうのだ。


昔祖母に言われたことがある。いくら良いおべべを着ていても髪型か決まってないと台無しなんだよと。

まさにその光景に遭遇したことがある。

知り合いで11万のニットにスカート(こちらもお高いと思われる)を着ていたのだが、伸ばしっぱなしの髪をただ一つ縛りにしているだけであった。

うーーん、11万に見えないな・・なぜ??と思ったところ、その祖母の話を思い出した。

逆を言えばユニクロなどを自分のサイズを把握してきちんと着こなして、髪型が決まっていれば服も高見えするのだ。

なるほど、カギは髪型なのねと気づいた瞬間であった。

しかし若い子と違い、ハリも艶もない髪をそれなりの髪型にするには手をかけなくてはならない。

歳をとるとお金もかかるが、時間もかかるのだ。


私は割とマニッシュなスタイルが好きであまりフェミニンなものは好きでない。

今流行りの骨格診断でもストレートとわかり、色診断でもウィンターのブルーベースということが判った。

骨格ストレートはやはりフリルなどのものは似合わないらしい。

そこは自分でわかっている。

昔から着ると似合わないのはわかっていた。

色もウインタータイプなので、黒やネイビーグレーなどが得意だ。

オールブラックのスタイルが似合うのはウィンタータイプだけらしい。

確かに私は真っ黒くろすけが似合うと自分で思う。

逆に黄身の強いベージュなどは顔がくすむ。

こういうベージュが似合う人は顔立ちが優しい。

ウィンタータイプの顔立ちは割と目力があるタイプが多いらしく、私は学生時代はこの顔立ちで損をした。

高校のころ、モテるのは可愛らしい感じの子ばかりであった。

私は性格もわりと女性的ではない。非常にそういう点ではかなり不利であった。


忘れもしない高校時代のエピソードがある。

クラスの女子同士で「誰か気になる人いる?」と女子トークが始まり、凄く好きというわけではなかったが「私はkくんかな」と言った。

そうすると「仲を取りもってあげる!」と一人の女の子がいうのだ。

珍しいタイプの子だなと思ったが、特に気にせず過ごしていたところ、なんと数週間後にはその二人が付き合っているのである。

私は啞然としたのを覚えている。

確かに彼女の方が女性らしく、目も日本女性といった感じの優しい顔立ちだ。

やはりこういう子の方がモテるのか・・・と複雑な気持ちになった。

今、あの二人に、いやあの女の子にあったら聞いてみたい。

あれは何だったのかと・・・

そしてこの話にはオチがある!

私も結婚をし、娘が小学生のころである。

父が県庁を退職し、測量会社をはじめたのである。

父はどちらかとうと気質的には公務員というよりは、会社を立ちあげてバリバリやる方があっている。

念願叶い、父は第二の人生を歩き始めた。

会社は順調に成長し、人を増員して雇うことになった。

その時に応募してきた人がKくんである。

なぜそれを知っているかというと、ある日突然父に「Kくん知ってるか?同じ高校で同学年だっそうじゃないか?彼どんな人だい?いい人か?」と聞かれた。

いやぁ~知ってるも何も強烈に覚えている人物だわ!と心の中で思ったが、父には「いい人だよ。真面目な人だと思う」とだけ答えた。

いやぁ、世間は狭い。

もうとうに忘れていた記憶が蘇り、よりによってなぜうちに?と思った。

父はKくんを大層気に入り、しばらく一緒に働いていたが、しばらくするとKくんは辞めることになった。

父は信頼していたのでショックを受けていたが、なぜ辞めたのかということも個人的に聞いてみたいものだ。

ちなみにあの二人は結婚していなかった。

高校時代は毎日のように放課後一緒にいたのをよく見かけていたが…


話が反れてしまったが、歳をとると色々顔のパーツがぼやけてくる。

目力のある顔がやっと日の目を見るときがきたのだ。

マニッシュな服装が多いため、一応メイクはする。

若い頃はボーイズライクなんてスタイルは可愛いが、ゆらぎ期のオンナがボーイズライクを目指すとジジイライクになるのである。

それゆえ、少しのメイクで女性らしさを足さなくてはならない。

ゆらぎ期ですっぴんでいられるのはある特定の人だと思う。

雰囲気というかバランスが良い歳の取り方をしていて、なんとも自然でとても素敵なのだ。

私がお世話になっている某ブランドのスタッフさんなのだが、まさにその方がそうであった。

髪は一つに束ねていて少し白髪もある。でも清潔感があり逆に白髪が交じっているのが返って自然で趣がある。

顔立ちもとても優しい顔をしているが、ほぼすっぴんである。

本人の持ち合わせている雰囲気と丁寧に年を重ねてきた清潔感が今の彼女を作っている気がしてならない。

彼女とは共通点があり、昔ピアノを習っていて、発表会に出るワンピースが苦痛だったということだ。

私は今でもピアノは弾き続けているが、ドレスを着るなんてとんでもない。

私は最初の発表会でワンピースドレスを着たくなくて当日大泣きをしたのを覚えている。

ここ最近は発表会には出ていないが、シャツにパンツスタイルというのが定番である。

今年はメンズの上質なウールのパンツを買った。

ジェンダーレスの時代でメンズを試着するお客様も増えて。あえてメンズを着る方も増えているそうだ。

彼女もメンズライクなパンツがよく似合う。

でもそれでも女性らしさを感じ、本当に自然で素敵なのだ。

身長がスラリとしているのもプラスになっているのだろう。


こういう人を見ると、ある番組に出ていたビューティーアドバイザーの方が「炊飯器を捨てた」というのを思いだす。

彼女は彼女で彼女の美を追求をしているのだから、とやかく言うつもりはもうとうない。

しかし炊飯器を捨てなくとも綺麗に自然と年を重ねる事ができるのだ。

私はそれが自然の摂理であり、普通のことだと思う。

人を感動させるのはしわしわになったおばあちゃんの生き様だったりする。


歳を取ったらある程度の体型は保つようにし、健康に生き、そして読書や語学など自分の内の宝になるものを得る方が魅力的に思える。

だから私はこれから歳をとっていく一日、一日、ピアノに向かい、読書をし、いつか行きたいドイツ旅行の為にドイツ語も習おうと思っている。

内面の美は歳をとるとじわりと表に出てくるようになる。

不思議と顔つきにも出てきたりする。

生きることが自体が女性の美を作るのだと、色々な女性を見て思う今日この頃である。


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